尿細管障害、尿中NAG、尿中β2ミクログロブリンとは?

2018.07.18
尿細管障害、尿中NAG、尿中β2ミクログロブリンとは?
尿細管障害、尿中NAG、尿中β2ミクログロブリンとは?

腎臓の尿細管という尿の通り道が障害された時(=尿細管障害)とその時に上昇する検査項目である尿中NAG、尿中β2ミクログロブリンについて触れます。

尿細管障害とは?

腎臓は血管の塊の臓器で、体中の血液に老廃物などを集めて尿として排出する役割があります。まず糸球体(=しきゅうたい)というフィルターで必要な物と不要な物を選んで、尿細管という通り道に流します。この尿細管という通り道でも必要な物と不要な物のやりとりを行って、最終的に本当に不要な物を尿として、尿管、膀胱を経て体に出します。

尿細管障害の原因は?

原因は多岐に渡ります。下記に一覧を記します。

薬:抗菌薬、ロキソニンなどのNSAIDs、造影剤、抗てんかん薬、抗癌剤、アリストロキア酸を含んだ漢方薬

感染症:腎盂腎炎、腎結核

全身性疾患、血液疾患:サルコイドーシス、sjogren症候群、骨髄腫腎

代謝・電解質異常:痛風腎、高カルシウム血症

重金属中毒:リチウム、鉛、カドミウム、水銀

急性尿細管壊死:虚血、敗血症

基本的には、治療としては原因薬剤の中止、疾患の治療が中心となります。

尿細管障害の特徴は?

1:急性・慢性の腎機能障害がある事。

2:蛋白尿が軽微である事。(1g/日以下)

3:血尿/赤血球円柱よりも膿尿(白血球尿/白血球円柱)が見られる事。

4:多尿や夜間多尿等の尿濃縮障害を疑わせる症状がある事

5:その他の尿細管機能障害を疑う所見がある事。(尿細管アシドーシス、アミノ酸尿、腎性糖尿など。)    (日本内科学会雑誌 第97巻 第5号 引用)

尿中NAG、尿中β2ミクログロブリンとは?

尿細管障害の時に、尿所見として見るのが尿中NAG、尿中β2MGです。

尿中NAGは尿細管障害が起きて、尿細管の細胞が壊われている時に上昇する検査項目です。尿細管障害が起きた時に直ぐに上昇するため早期発見のために非常に有用です。一方で、尿細管障害以外の糸球体という腎臓のフィルターの障害でも上昇するため一概に指標とはいえないです。また、元々慢性腎臓病(CKD)の方でも上昇するため、元々腎機能障害が原因なのか、尿細管障害が起きたかは分かりません。基本的には『元々腎機能障害が無いのに、尿細管障害が起きている可能性がある時に測定する検査項目』という認識で良いです。

尿中NAGは早朝が高く、夜になると低くなります。早朝尿で測定したり、尿中クレアチニンという値で割り算をする事で補正したりします。

 

尿中β2MGは、尿細管障害が起きて、本当は再吸収されるはずのβ2MGが吸収されず尿中に出てくる事で上昇する検査項目です。尿細管障害が起きて、破壊されて再吸収が出来なくなった段階で上昇します。尿中NAGと同じで糸球体、腎機能障害でも上がるため、『元々腎機能障害が無いのに、尿細管障害が起きている可能性がある時に測定する検査項目』という認識で良いです。

尿中β2MGは運動時、妊娠の時増加するため解釈には注意します。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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