療法選択外来とは?

2018.07.12
療法選択外来とは?
療法選択外来とは?

腎臓内科医の森です。慢性腎臓病(CKD)が進行すると、体の毒素を尿として出せなくなり、腎代替療法(じんだいたいりょうほう)という腎臓の働きを他の方法で代替わりする医療が必要になります。具体的には、血液透析、腹膜透析(ふくまくとうせき)、腎移植の3つの方法があります。詳しくは下記をご参照下さい。療法選択外来は患者さんの意思決定をサポートするために行われている外来です。

実際、臨床で腎臓内科医をやっていると分かるのですが、いざ腎代替療法が必要になるという時に血液透析にするか、腹膜透析にするか、腎移植を検討するかを直ぐに決断する事は非常に難しく、長い時間をかけて、今後の患者さんのライフスタイル、家族のサポート体制、そして精神的な心の準備を行っていく必要があります。そのために前もって、腎代替療法の全体的な情報提供を受けて、患者さんの意思決定をサポートするために行われているのが療法選択外来です。ガイドラインには以下のように記載されています。

CKD症例に対して,CKDステージG4(GFR 15 ~ 30 mL / 分 / 1.73 m2)に至った時点で,公平かつ適切な透析療法および腎移植に関する準備のための情報提供を本人および家族に行うことは,腎代替療法開始後の生命予後を改善するのでこれを推奨する。(CKDステージG3b-5患者のための腎障害進展予防とスムーズな腎代替療法への移行に向けた診療ガイドライン2015)

実際、臨床医をしていると見かけるのが、主治医に全く腎臓が悪くなっているという話をされず 腎代替療法になる直前に腎臓内科に紹介されて、中々心の受け入れを出来ずになんとなく他の人が行っているから血液透析を選ばざる負えないケースが散見されます。

また、腹膜透析は残っている腎臓のサポートを受けながら行う透析であり、血液透析よりも早い段階で開始する必要があります。具体的にはeGFR15ml/min/1.73m2の頃には手術前の検査を始めて、手術を行う事が望ましいとされています。腎移植に関しても、移植前の検査に数ヶ月はかかりますし、血液透析、腹膜透析を行う前に腎移植を行う方(PEKTといいます)が生命予後が良いとされています。腎臓内科に紹介されるタイミングが遅すぎて、腹膜透析、PEKTが出来ない症例も散見され、前もってしっかり情報提供される方が望ましいと考えられます。

血液透析を行う場合でも、シャントという腕に動脈と静脈を繋ぐ通り道を作る手術が必要です。このシャントが作られないまま、腎不全の症状が出現して緊急で首の静脈にカテーテルという管を入れて透析をしなくてはならなくなります。飛行機で例えると緊急着陸をイメージして頂けると良いかと思います。しっかり羽を広げて、車輪を出せる状態にして着陸するのが望ましいのと同様に、血液透析に関しても前もってシャントを作って必要になった際に透析を開始する事が望ましいとされています。

療法選択外来では30分〜1時間ほど、模型やビデオを使って実際の透析をイメージして頂くような時間にしてもらい、患者さんのライフスタイルなども伺って情報を共有して、意思決定の支援を行っています。可能であれば、家族も同席して話を進めていくのが望ましいかと思います。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
管理人近況
  • (2018.11.04)
    ファンデリー様企画の数百人規模のイベント「ミールタイム健康フェスタ」で『生活習慣病の食事療法・運動療法の最新の知見』と題して講演させて頂きました!
  • (2018.10.27)

    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

  • (2018.10.10)

    ジャパンヘルスケアベンチャーサミットでCKDオンラインを発表しました!

  • (2018.09.21)

    日経メディカル様に取り上げて頂きました!詳しくはこちらへ!

    リンク先はこちら

  • (2018.09.06)

    週刊東洋経済2018/9/8号で少しお話させて頂きました!

     

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