C3腎症とは?

C3腎症とは?
C3腎症とは?

腎臓内科医の森です。C3腎症(しーすりーじんしょう)は非常に稀な疾患ですが、情報提供が必要な患者さんがいたので記事を書きます。C3腎症は近年新しく生まれた概念でまだまだコンセンサスが得られていないことも多く、このようなWebメディアで患者さんに情報提供出来ることも限られています。

今回の記事は私が私の担当患者さんに伝えたことを書きます。C3腎症については担当医によって考え方が変わるのでご了承ください。

C3腎症とは?

C3腎症とは、補体(ほたい)の異常によって起きる腎障害の一つです。補体という生体が病原体などを排除する際に活動する免疫の内の一つのタンパク質があるのですが、その補体に異常で起きることで起きることでC3腎症が起きます。この補体は実際、細菌などが体に入ってくると活性化(スイッチが入る)して働きをするようになるのですが、このC3腎症の患者さんはこの活性化に異常を来して(スイッチが入りすぎて)最終的に腎障害が起きるようになります。

C3腎症の症状・検査は?

小児から少年期に多い病気です。3割程が症状がなくて尿検査をしたところ、尿潜血(にょうせんけつ)、タンパク尿があり見つかります。また急激に腎臓の障害進んだり、尿に大量にタンパクが漏れ、ネフローゼという身体に必要なタンパクが不足して身体が浮腫んだり、体重が増えたり、呼吸が苦しくなって死に至る状態になる可能性が出る状態になることでみつかることもあります。目にみえる血尿でみつかることもあります。(ネフローゼについてはこちらでまとめました。

血液検査でクレアチニン、補体の値を測定して総合的に評価します。疑わしいときは腎生検(じんせいけん)という腎臓の組織を採ってきてそれを顕微鏡で評価する検査をします。(腎生検についてはこちらでまとめました。

C3腎症の原因と治療について

補体の第2経路という活性経路(スイッチの入る経路)が異常に活性化していると起きます。難しくなるのでこれ以上深くは言及しませんが、この活性経路が異常に活性化する原因として、自分の体を攻撃してしまう自己抗体(C3NeFなど)の存在や遺伝子異常(FactorH遺伝子など)が挙げられます。

同じC3腎症でも原因によって治療が変わります。自己抗体が原因ならステロイドなどの免疫抑制療法を行いますし、遺伝子異常ならエクリズマブという特殊な治療を行います。エクリズマブに関しては、現段階で日本では保険適応外となります。また血漿交換法(けっしょうこうかん)という血液を入れ替える治療が有用である報告もあります。その他腎臓を守る降圧薬RAS系阻害薬などを投与します。

C3腎症はまだまだ解明させていないことも多く、治療法や予後は正直さぐりさぐりなのが現状です。予後は不良で、無治療の場合10~20年で50~60%が透析や移植が必要な状況になると言われています。

C3腎症は新しい病気です。(医学生・研修医用)

C3腎症については、話をするときに理解を深めるためC3腎症の歴史みたいなものを簡単に触れます。

元々腎臓の世界ではMPGN(エムピージーエヌ)という病気がありました。MPGNもイマイチ原因がよく分かっていない病気だったのですが、近年様々なメカニズムが明らかになってきました。

MPGNの原因として、主に3つに分けることが出来て、「免疫グロブリン(めんえきぐろぶりん)」という体の免疫を司る物質によるものと、先程触れた「補体」という物質によるもの、あとは良く分からないものがあります。

この中で「補体」が関与するものに関して、メカニズムが少しずつ明らかになってきており、MPGNの「補体」が関与するものを「C3腎症」と呼ぶことになりました。よって腎生検の所見は、MPGNと似通っていることが多いです。

C3腎症・C3腎炎・DDDとは??

C3腎症の中にC3腎炎とDDD(dense deposit病)に分けられます。ただ、患者さん目線でこの2つを分ける事に関するメリットは議論が分かれる所で、話を複雑にしてしまうのでこの記事で簡単に説明します。

両者とも補体の活性経路の異常によって起きますが、腎生検の結果が少し異なります。DDDは比較的少年期に見られるのに対して、C3腎炎は成人期に見られます。両者とも血液中のC3の値が下がります。DDDの方が予後が悪いと言われています。ここらへんはまだ議論が分かれている所ですが、今後メカニズムを明らかなにするために医学の世界では分けて考えようという流れがあります。

ただ、患者さん目線でこの2つを分けて説明を受けるメリットは現段階ではないと思います。

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