膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)とは。

2018.07.12
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)とは。
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)とは。

前回書いた、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)と同様に非常に理解が難しいのが、この膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)です。2018年地点でこの疾患も病気の定義がしっかり定まっていなくて、医学生、研修医でもイマイチ勉強してもよく分からない疾患です。またここ10年程で、膜性増殖性糸球体腎炎の中でもC3腎症という特定の疾患は別個で考えるようになったり、昔よく使っていた分類に当てはまらない膜性増殖性糸球体腎炎もあり、現段階でごちゃごちゃしていてより理解が難しい病気です。

実はこの膜性増殖性糸球体腎炎は、『疾患』としての膜性増殖性糸球体腎炎と、『形』としての膜性増殖性糸球体腎炎があり、これが原因で議論が噛み合わなかったり、理解が進まなかったりします。今回は『形』としての膜性増殖性糸球体腎炎を話をしますのでご了承下さい。今回の記事の内容は若干正確ではない表現もありますが、そもそもこの膜性増殖性糸球体腎炎の定義すらまだ議論されている所であり、分かりやすく説明するためなので表現を崩します。

基本的に巣状分節性糸球体硬化症と同じで、膜性増殖性糸球体腎炎も病名というよりは形です。誤解を承知でラーメンで例えると、病名、例えばIgA腎症が塩ラーメン、糖尿病性腎症が醤油ラーメンだとすると、この巣状分節性糸球体硬化症は麺が太いラーメンみたいな概念です。醤油ラーメンでも、塩ラーメンでも太いラーメンがあるし、よく分からないけど麺が太いラーメンもこれに含まれます。腎生検(じんせいけん)という腎臓の組織を取ってきて顕微鏡で評価する検査をして、膜性増殖性糸球体腎炎の形であれば診断になります。(余計混乱させていないか心配・・・。)

『腎臓内科.com』は基本的に患者さん向けに記事を書いているので、比較的分かりやすい『原因』でのパターン分けを元に説明していきます。

膜性増殖性糸球体腎炎の症状と診断

基本的には、血尿と蛋白尿で分かることが多い疾患で、急性〜慢性的に出現する病気です。血尿に関しては、肉眼的血尿といって明らかに尿が赤くなる事もありますし、蛋白尿に関しては高度の蛋白尿でネフローゼ症候群になる事もあります。ネフローゼ症候群については下記をご参照下さい。

診断には腎生検が必要です。また採血、採尿検査を行い、膜性増殖性糸球体腎炎の原因を特定する必要があります。

膜性増殖性糸球体腎炎の分類

元々、膜性増殖性糸球体腎炎を病理学的に分けていました。他の情報サイトで古典的分類(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ型)という病理の目線での分類を説明しているものが多いと思います。この分け方はある程度予後を予測出来るという意味で意味があると思うのですが、イマイチ理解を混雑させてしまうので今日は触れません。

膜性増殖性糸球体腎炎の原因となる疾患は基本的に3パターンに分ける事が出来ます。

免疫グロブリン沈着型

体の免疫の中で大きな役割を担っているのが、免疫グロブリンです。体の中に慢性的な炎症や異常な免疫活動があると、この免疫グロブリンが持続的に働いた結果、体内の様々免疫活動が起きて、最終的に腎臓を攻撃してしまう事があります。具体的には、主に以下のような原因で免疫グロブリン沈着型の膜性増殖性糸球体腎炎が起きると言われています。

・慢性感染症:特定の細菌感染症、肝炎ウイルス、真菌、寄生虫など

・自己免疫疾患:関節リウマチ、ループス腎炎、シェーグレン症候群など

・異常なタンパク血症:慢性リンパ性白血病、PGNMID、イムノタクトイド糸球体症、混合性クリオグロブリン血症など

・その他:悪性リンパ腫、悪性黒色腫など

補体依存型

基本的にはC3腎症と言われるジャンルに属します。端的に、体の補体という免疫を司る機能に何らかの異常があって起きるものです。詳細はこちらへ。

どちらでもない

免疫グロブリンや補体に異常が無いのに、膜性増殖性糸球体腎炎の形をとる疾患がここに分類されます。これは誤解を生むかもしれませんが、『膜性増殖性糸球体腎炎のように見えてしまった疾患』がここに入ります。以下に示します。

・内皮細胞障害を来す疾患:糖尿病性腎症、抗リン脂質抗体症候群、悪性高血圧など

・放射線照射による腎症など

その他に原因がよく分からない一次性の膜性増殖性糸球体腎炎があります。(これが『疾患』としての膜性増殖性糸球体腎炎に当てはまる所です。)

小児発症で、比較的予後は不良です。(古典的分類の型によって大きく異なります。)

 

基本的な治療は背景に原因がある時は、原因に対する治療を行います。一次性の場合はステロイドによる治療を検討する事もあります。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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