巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)とは?

2018.07.11
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)とは?
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)とは?

今日は巣状分節性糸球体硬化症(そうじょうぶんせつせいしきゅうたいこうかしょう)についてお話します。実はこの巣状分節性糸球体硬化症という病気は、非常に理解が難しい疾患です。医学生だけでなく、研修医でもよく分からないと質問される事が多い疾患です。非常に理解が難しい原因として、そもそも巣状分節性糸球体硬化症はあくまで病理学的概念であり、病気の名前ではないからです。(よく分からないですよね、取り敢えず読みすすめて下さい。)

 

誤解を承知でラーメンで例えると、病名、例えばIgA腎症が塩ラーメン、糖尿病性腎症が醤油ラーメンだとすると、この巣状分節性糸球体硬化症は麺が太いラーメンみたいな概念です。醤油ラーメンでも、塩ラーメンでも太いラーメンがあるし、よく分からないけど麺が太いラーメンもこれに含まれます。腎生検(じんせいけん)という腎臓の組織を取ってきて顕微鏡で評価する検査をして、巣状分節性糸球体硬化症の形であれば診断になります。ちょっと違った概念で付けられる病名なんですね。(余計混乱させていないか心配・・・。)

 

以上を踏まえて、巣状分節性糸球体硬化症について話を進めて行きたいと思います。

 

巣状分節性糸球体硬化症の原因とは?

巣状分節性糸球体硬化症の原因は多岐に渡ります。詳細は下記に載せておきます。読みにくいのでスルーで良いです。

1:特発性

2:二次性

1、家族性:α-actinin4、podocin、WT-1、β-integrin、TRPC-6

2、ウイルス性:HIV、パルボウイルスB19

3、薬剤性:ヘロイン、インターフェロン、リチウム、パミドロン酸

4、機能構造的適応病態:低ネフロン(オリゴメガネフロニア、片側腎無形成、腎異形成、慢性移植腎症など)、正常腎(腎硬化症、腎動脈塞栓、肥満など)

基本的には、二次性(背景に何らかの原因があるもの)とそうでない特発性で分ける事が出来ます。二次性の中にも色々ありますが、それぞれの原因によって治療が大きく変わってきます。具体的にはステロイドを使うか、使わないかで分かれます。家族性や、機能構造的適応病態による巣状分節性糸球体硬化症はステロイドを使用しない事が多いです。最終的には、後述する病理像(腎生検の結果)を見て判断していきます。

 

巣状分節性糸球体硬化症の病理について

基本的に、『腎臓内科.com』では腎臓の病理までお話をしませんが、この巣状分節性糸球体硬化症に関しては、病理の結果が非常に大切でありこちらについて触れます。というのも、巣状分節性糸球体硬化症は5種類のパターンがあり、パターン毎に『原因』、『治療』、『予後(今後の経過)』が推測出来ます。この分類を『コロンビア分類』といいます。この分類毎にザックリと説明を書きます。

1:collpsingバリアント

2:tipバリアント

3:cellularバリアント

4:perihilarバリアント

5:NOS

collapsingバリアント

最も予後が悪い分類に属します。原因としては、HIV、パルボウイルスB19、EBVのような感染症に加えて、血球貪食症候群などでも起きる事があります。治療も検討しますが、今後急激に腎臓が悪くなっていく事が考えられるため医療体制をそれに向けて医療体制を組んでいきます。

tipバリアント

比較的ステロイドなどの治療が効くためcollapsingバリアントと比較して予後が良いとされています。原因としては背景として何らかの原因がある二次性というよりは、原因がよく分からない特発性の方が多いとされています。

cellularバリアント

こちらもある程度ステロイドなどの治療が効くためcollapsingバリアントと比較して予後が良いとされています。ただ様々なタイプがあると言われています。原因としては特発性の方が多いとされています。

perihilarバリアント

比較的蛋白尿が少なく、予後が悪くないとされておりステロイドを使いません。原因としては、低形成腎、腎硬化症、肥満、遺伝性などが考えられます。ざっくり申し上げると、体の血流分に比較して腎臓の負担が大きく、その負荷の結果を見ていると思って下さい。なので、基本的な治療は腎臓の負担を抑えるような治療、具体的には降圧、減量、内服などで対応します。

NOS

上記4つに分類されないものです。

 

各病理毎に予後が異なると言われていますが、尿蛋白が著名な特発性の巣状分節性糸球体硬化症に場合は20年で腎生存率(透析や移植が必要とならない状態)50%は以下となると言われており、大変予後が悪いと言われています。一方でステロイドを使用して治療反応性が良好な場合は、ある程度予後は担保出来ると言われています。

また違う記事で触れる予定ですが、巣状分節性糸球体硬化症(特に特発性)の場合、腎移植をしても再び移植した腎臓に巣状分節性糸球体硬化症を起こす事があります。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
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