常染色体優性尿細管間質性腎疾患:ADTKDとは?

2018.07.06
常染色体優性尿細管間質性腎疾患:ADTKDとは?
常染色体優性尿細管間質性腎疾患:ADTKDとは?

ADTKDは、非常に稀な疾患ですが、情報提供が必要な患者さんがいたので書きます。正直かなり難しい病気なので、該当する方以外は全く読む必要がありません。ADTKDは常染色体優性遺伝(じょうせんしょくたいゆうせいいでん)という遺伝形式をとる遺伝性疾患です。

ADTKDはどこの遺伝子に変異が起きているかによってタイプが変わります。現段階でよく分かっているのは以下の3つです。

1:ウロモジュリンというタンパク質に関わるUMOD遺伝子の変異→UKD

2:レニンという遺伝子に関わる変異→ADTKD-REN

3:ムチン-1という蛋白に関わるMUC1遺伝子変異→MKD

UKDなのか、ADTKD-RENなのか、MKDなのかで症状や特徴が変わってきます。

UKDとは?

ADTKDの中で最も頻度の多いタイプです。特徴としては以下の2つが有名です。

1:小児期より高尿酸血症、痛風があり、家族にも同様の症状の方がいる。

2:尿所見異常が無いにも関わらず、腎機能障害が進行する。

学生さんや研修医の先生も見ているので病態を書きますと、ウロモジュリンは尿細管上皮細胞機能維持、フロセミド依存性Na-K-2Cl輸送体に関与しているとされており、ウロモジュリンの機能不全で、尿細管上皮が萎縮したり、Na-K-2Clを介して尿酸排泄障害を起こします。(一般の方は無視して下さい。)

腎機能障害の進行は緩徐で、40-50歳代で末期腎不全(透析、移植が必要な状態)になると考えられていますが、60-70歳代まで腎機能が維持する事もあります。治療としては痛風の治療と一般的な慢性腎臓病の治療を行ないます。

ADTKD-RENとは?

極めて稀です。特徴としては以下の2つが有名です。

1:小児期より高尿酸血症、痛風がある。

2:高尿酸血症に加えて、低血圧、高カリウム、貧血が起きる。

こちらにも病態を書きますと(一般の方は無視して下さい)、レニン産生障害が起きる事によって低血圧、高カリウム血症になります。また異常なレニンが尿細管上皮に蓄積されて尿細管障害が起きるとされています。

治療は、なるべく塩分の濃い食生活をする事、ミネラルコルチコイドを内服する事が挙げられます。一方で減塩食、NSAIDs(ロキソニンなど)は避ける必要があります。

MKDとは?

ADTKDの30%がこちらです。特徴としては以下の2つが有名です。

1:UKDやADTKD-RENで見られる高尿酸血症、低血圧、高カリウム血症は認めない。

2:検尿異常が乏しい。

こちらにも病態を書きますと(一般の方は無視して下さい)、異常なムチンが遠位尿細管上皮に蓄積されて尿細管障害が起きるとされています。

 

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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