常染色体優性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)

常染色体優性尿細管間質性腎疾患(じょうせんしょくたいゆうせいにょうさいかんかんしつせいじんしっかん)について書きます。

取り敢えず、常染色体優性尿細管間質性腎疾患という名前は長くて読み辛いので現場ではADTKD(エーディーティーケーディー)と読んでいます。

ADTKDは、非常に稀な疾患です。腎臓内科をしていても一生に一度遭遇するかと言っても過言ではない疾患です。正直かなり理解が難しい病気ですので噛み砕いて説明してみようと思います。

ADTKDとは??

ADTKDは常染色体優性遺伝(じょうせんしょくたいゆうせいいでん)という遺伝形式をとる遺伝性疾患です。

腎臓の尿細管(にょうさいかん)と間質(かんしつ)という場所が障害される事で起き、数十年単位で進行して透析や腎移植が必要になる病気です。

このADTKDは非常に稀な疾患で、近年少しずつメカニズムが分かってきた病気です。ADTKDは何らかの遺伝子に異常があるとされていて、遺伝子によって症状や予後・治療法が異なります。

ADTKDの特徴・検査・診断

この病気の特徴は、

  • ゆっくりゆっくり腎臓の障害が進行すること、
  • 尿の所見が乏しいこと

が挙げられます。

ご家族に常染色体優性型の病気の方がいて、上の2つの要素があればADTKDの可能性を念頭に診察します。

ただし近年、家族歴がない症例も報告されています。

若い頃から高尿酸血症、糖尿病、性器異常などの腎外症状が確認できればADTKDの可能性が考えられて、腎生検(じんせいけん)という腎臓の組織を調べる検査で尿細管間質(にょうさいかんかんしつ)という場所に病変があれば積極的に疑うことになります。

最終的には、遺伝子の異常を検出する必要があり、診断をつけるにも遺伝子検査が必要です。(ただし、遺伝子検査にも限界があり異常が検出されないこともあります。)

ADTKDにパターンがある。

ADTKDはどこの遺伝子に変異が起きているかによってタイプが変わります。このタイプによって病態が異なります。現段階でよく分かっているのは以下の3つです。

1:ウロモジュリンというタンパク質に関わるUMOD遺伝子の変異→UKD

2:レニンという遺伝子に関わる変異→ADTKD-REN

3:ムチン-1という蛋白に関わるMUC1遺伝子変異→MKD

UKDなのか、ADTKD-RENなのか、MKDなのかで症状や特徴が変わってきます。

UKDとは?

UMODの変異で起きるADTKDの中で最も頻度の多いタイプです。特徴としては以下の2つが有名です。

  • 小児期より高尿酸血症、痛風があり、家族にも同様の症状の方がいる。
  • 尿所見異常が無いにも関わらず、腎機能障害が進行する。

難しい話をすると、ウロモジュリンは尿細管上皮細胞機能維持、フロセミド依存性Na-K-2Cl輸送体に関与しているとされており、ウロモジュリンの機能不全で、尿細管上皮が萎縮したり、Na-K-2Clを介して尿酸排泄障害を起こします。

腎機能障害の進行は緩徐で、40-50歳代で末期腎不全(透析、移植が必要な状態)になると考えられていますが、60-70歳代まで腎機能が維持する事もあります。

治療としては痛風の治療と一般的な慢性腎臓病の治療を行ないます。

ADTKD-RENとは?

極めて稀です。特徴としては以下の2つが有名です。

  • 小児期より高尿酸血症、痛風がある。
  • 高尿酸血症に加えて、低血圧、高カリウム、貧血が起きる。

こちらも難しい話をすると、レニンというホルモンが作られず低血圧、高カリウム血症になります。また異常なレニンが尿細管上皮に蓄積されて尿細管障害が起きるとされています。

治療は、なるべく塩分の濃い食生活をする事、ミネラルコルチコイドを内服する事が挙げられます。一方で減塩食、NSAIDs(ロキソニンなど)は避ける必要があります。

MKDとは?

MUC1の変異で起き、ADTKDの30%がこちらです。特徴としては以下の2つが有名です。

  • UKDやADTKD-RENで見られる高尿酸血症、低血圧、高カリウム血症は認めない。
  • 検尿異常が乏しい。

こちらにも病態を書きますと、異常なムチンが遠位尿細管上皮に蓄積されて尿細管障害が起きるとされています。(一般の方は病態は無視して下さい)遺伝子の異常が検出しづらいパターンの一つです。

ADTKD-NOS

前述の通り、遺伝子異常が不明であったり、変異が未知なものはNOSと分類します。

診断について

診断は病気の経過・検査結果(病理検査)に加えて遺伝子検索が必要になります。

但し、遺伝子検索も完璧ではなく、例えばMKDの場合遺伝子検索が困難であったり、また遺伝子検索・診断したところで必ずしも患者さんにメリットが生じる訳ではありません。患者さん本人の考え方・倫理的な側面を検討しながら、診断をつけます。

ADTKDは現段階で解明されていない事も多いのですが、腎臓内科.comでは随時情報提供をしていきますのでよろしくお願いします。

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