腎硬化症とは? 〜高血圧、動脈硬化による腎障害〜

2018.04.28
腎硬化症とは? 〜高血圧、動脈硬化による腎障害〜
腎硬化症とは? 〜高血圧、動脈硬化による腎障害〜

腎硬化症とは?

腎硬化症(じんこうかしょう)とは、高血圧の状態に長期間晒されたり、長期間の喫煙歴によって起きる動脈硬化の腎障害です。具体的には腎臓に100万個程存在する糸球体(しきゅうたい)という老廃物をやり取りするフィルターの入り口の血管である輸入細動脈(ゆにゅうさいどうみゃく)に動脈硬化が起きて、糸球体に圧力がかかり壊れたり、逆に動脈硬化が進みすぎて血管が細くなり血流が届かなくて障害が起きたりします。

腎硬化症の場合、腎臓だけでなく脳や心臓にも動脈硬化が起きており、脳梗塞、心筋梗塞になるリスクが高い可能性もあります。そのため血圧だけでなく、コレステロールのコントロールも必要と考えられます。

日本で透析になる人の10%-20%がこの腎硬化症で透析になり原疾患第3位です。そして最近高齢化に伴い増えていく事が予想されており、日本腎臓学会でも腎硬化症は最近話題になっています。

この腎硬化症は、ある程度まで障害が進まないと、むくみや尿が出なくなるなどの症状がでません。症状が出た頃にやっと医療機関に受診して、既に透析が必要な状況の一歩手前だったというケースは腎臓内科医をしていて良く遭遇します。

一方で、進行は比較的緩徐であり、正しい血圧コントロール、尿酸コントロールを行なう事で更に進行を抑える事が可能です。

どうやって見つけるの?

腎硬化症は、比較的尿所見が乏しい事が多く、採血で血清クレアチニンという値を見たり、眼底検査、腹部超音波検査などの検査を行って全身の動脈硬化を調べて診断をつけます。最終的には腎生検という背中から針を指して腎臓の組織を採ってきて、顕微鏡で観察する事で診断をつける事が出来ますが、一方で腎生検には出血などのリスクもあるため、ある程度腎硬化症であろうと判断した場合は腎生検をせずに、診断をつけます。

とはいえ、腎硬化症の動脈硬化性の病変に加えて、腎炎などの病変が加重されている時もあります。そのため腎臓内科医は、全身の動脈硬化がそこまで強くなかったり、尿所見で血尿が混じっていたりすると、腎生検を行って病態を明らかにして治療に結びつける事を考える時もあります。

どうやって治療するの?

基本的には、腎硬化症の治療は血圧コントロール、尿酸コントロールが治療の中心になります。具体的には、低血圧に気をつけながら以下のような目標値でコントロールします。

蛋白尿(+)の場合:血圧130/80mmHg以下

蛋白尿(−)の場合:血圧140/90mmHg以下

一方で、後期高齢者の場合は、血圧を下げすぎるリスクもあり、日本のガイドラインでも収縮期血圧150mmHg以下で良いという趣旨のコメントがされています。これは正解が無く医師の間で考え方が分かれるのですが、今の高齢者はとても高齢者に思えない程健康な方が多く、血圧140/90mmHg以下を目標にする事も結構多いです。また、中には健康で薬を飲んでいない事がその人のプライドであったり、生きがいである時もあるので、その場合は収縮期140mmHg台を許容して、内服加療ではなく、減塩を頑張ってもらう事もあります。

血圧を下げるためには、生活習慣を改善して、必要であれば内服加療を行います。生活習慣に関しては下記にまとめたのでご参照下さい。

内服加療に関しては、RAS系(ラスケイ)阻害薬という種類の降圧薬を使用します。このRAS系阻害薬は腎臓にかかる圧力を減らす効果があると言われています。一方で、進行した腎硬化症や高齢者に使用すると腎臓を悪くする可能性があり、慎重に使用する必要があります。

尿酸のコントロールも腎硬化症の際には積極的に行います。尿酸に関しては、食事だけでなく、睡眠不足、ストレス、肥満などの長期的な生活習慣が関わっている事が分かっています。詳しくはこちらをご参照下さい。

最後に伝えたい事!

2007年に『日本における危険因子に関連する非感染性疾患と外因による死亡数』という有名な発表がありました。日本人の死因をまとめた表になりますが、上位に喫煙、高血圧、塩分摂取、運動不足が関わっている事が分かります。

腎硬化症でも、喫煙、血圧コントロール、減塩は治療の必須です。血圧に関しては、ある程度内服加療でコントロール出来ますがタバコも減塩も本人の生活習慣、意志に強く依存します。自分の病気を理解する事が治療へのきっかけとなるため今回の記事で情報提供させて頂きました。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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