糖尿病性腎症とは? 〜日本で一番透析になってしまう病気〜

2018.05.02
糖尿病性腎症とは? 〜日本で一番透析になってしまう病気〜
糖尿病性腎症とは? 〜日本で一番透析になってしまう病気〜

糖尿病性腎症とは

糖尿病性腎症とは、糖尿病で血糖値が高い状態に年単位で晒された結果、腎臓に障害が起きた状態を言います。糖尿病による3大合併症である神経障害(痺れなど)、網膜症(目が見えなくなるなど)、腎症の一つで日本で透析になる人の40%-50%がこの糖尿病性腎症で透析になります。

この糖尿病性腎症は発症してから10-15年程、腎臓として症状は全くありません。ある程度まで障害が進むと、むくみや尿が出なくなるなどの症状が出現します。しかしながら、このような症状が出た時にはかなり障害が進行しており、頑張って治療しても中々コントロール出来ない事も多々あります。

仕事の健康診断で糖尿病を指摘されても、症状が無いし、仕事が忙しいから病院に行っていなかったという患者さんで、最近むくみが気になり始めて、病院に受診したら、既に透析が必要な状況の一歩手前だったというケースは腎臓内科医をしていて良く遭遇します。

糖尿病性腎症を理解するポイント

糖尿病性腎症のポイントは、ズバリ『早期発見して、早期治療する事』に限ります。

糖尿病を発症すると、以下の図のような経過を辿ります。この図は腎臓についてしか触れていないので、その他の合併症についても説明していきます。(CKD診療ガイドライン参照)

糖尿病を発症してから5-10年ぐらい経つと、神経障害が出現します。具体的には、痺れ、便通異常、立ちくらみなどの症状が出現します。その後、網膜症が出現します。具体的には眼底出血などを起こし、物が見えづらくなったりします。その後数年すると、急に腎機能が落ちます。上の図の赤い線が腎機能を示しています。赤い線がGFRが60以下のエリアまで入ると慢性腎臓病(CKD)という状態で特別な食事療法、薬物加療が必要になります。詳しくはこちら。(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/15)赤い線がGFRが10以下のエリアまで入ると透析が必要な状態になります。

何度も申し上げますが、腎臓という臓器は、しぶとい臓器である程度障害が進むまで症状は出ません。しかし一方で、『腎障害が進んでいますよー』というサインを出してくれます。これが尿蛋白で、上の図の緑の線です。

糖尿病性腎症の早期発見には尿検査が大切!

上の図の緑の線をよく見ると発症してから5~10年ぐらいの時から、既に蛋白尿が出始めています。この蛋白の量をみて、私達医療者は、どのくらいステージにいるかを分類します。具体的には、蛋白の一種に『アルブミン』という物があって、このアルブミンが30mg-299mg/gCr出ていると『早期腎症(第2期糖尿病性腎症)』と言います。これは尿検査を行う事で分かり、医療機関で行う事が出来ます。

『早期腎症(第2期糖尿病性腎症)』より更に蛋白尿が出てくると『顕性腎症(第3期糖尿病性腎症)』になります。この顕性腎症期になって数年経つと、赤い線のGFRが低下してきます。

『早期腎症第2期糖尿病性腎症)』の段階で正しい治療を行う事で、進行を防いだり、蛋白尿、アルブミン尿が出なくなります。これを『寛解』と言います。一方で『顕性腎症(第3期糖尿病性腎症)』の段階になると治療をしても進行が止められなる割合が増えます。つまり手遅れになる可能性が高くなります。

下の図で言うと赤のラインの所でしっかり介入する事が望ましいと考えられます。

実際に10年程前の研究では、以下のような結果が出ました。

早期腎症の寛解率は51%だった。特に以下の患者では高頻度に寛解した。

  1. 早期腎症になって期間が短い人。
  2. RAS系阻害薬(降圧薬の一種)を使用している人。
  3. 血糖コントロールが良好な人。
  4. 収縮期血圧が130mmHg未満だった人。(Araki S Diabetes 54 : 2983-2987,2005)

一方で、『顕性腎症(第3期糖尿病性腎症)』でも血圧コントロール、血糖コントロールを続けると、進行は遅くする事は出来ますが、再発する事も多くより厳格なコントロールが必要になります。

糖尿病患者には『蛋白尿(アルブミン尿)』を測定して、出現した際には、患者さんにフィードバックして、積極的な治療を行っていく必要があります。こちらもご参照下さい。

 

厚生労働省も国を上げて糖尿病性腎症重症化プログラムを作成して、糖尿病患者に積極的な尿検査を勧めています。(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121902.pdf

最後に伝えたい事

『糖尿病』+『尿蛋白』の状態は医療機関を受診する事を強くお勧めします。腎臓内科を受診した場合、糖尿病の評価をして、更に腎機能障害、蛋白尿の原因として糖尿病以外の関与が無いかを確認します。採血、超音波検査、眼底検査などを行って判断します。糖尿病の関与が強いと判断した場合、血糖コントロール、血圧コントロール、脂質のコントロール、食事指導、生活指導を行っていきます。

私自身も、都内で月1回〜2回程、土日に千代田区のお茶の水循環器内科で診療していますので、気になる方がいらっしゃいましたら以下のリンクで私の診察日を確認して頂き受診して頂いても大丈夫です。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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  • (2018.11.04)
    ファンデリー様企画の数百人規模のイベント「ミールタイム健康フェスタ」で『生活習慣病の食事療法・運動療法の最新の知見』と題して講演させて頂きました!
  • (2018.10.27)

    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

  • (2018.10.10)

    ジャパンヘルスケアベンチャーサミットでCKDオンラインを発表しました!

  • (2018.09.21)

    日経メディカル様に取り上げて頂きました!詳しくはこちらへ!

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  • (2018.09.06)

    週刊東洋経済2018/9/8号で少しお話させて頂きました!

     

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