多発性骨髄腫と腎臓について

2018.03.31
多発性骨髄腫と腎臓について
多発性骨髄腫と腎臓について

今日は多発性骨髄腫と腎臓について書きます。この記事を読んでいる方は、多発性骨髄腫の患者さんか、多発性骨髄腫を勉強している医療従事者だと思います。多発性骨髄腫そのものに関しては、国立がん研究センターが一般向けにまとめているのでこちらをお読み下さい。

1:多発性骨髄腫で腎障害起きる原因とは?

多発性骨髄腫の患者さんの2-5割が腎障害を起こして、1割が透析に至ると言われています。具体的なメカニズムに関しては、色々関わっており厳密に説明するのは難しいです。ざっくり説明すると3パターンあります。

1 尿の通り道を障害する。

多発性骨髄腫の時に作られる過剰な意味のないタンパク質が、尿の通り道を塞いだり、炎症が起こさせる事で腎臓の通り道である尿細管という組織を壊していくというイメージの病態です。この際は、検査結果としてeGFRという腎臓の点数の値が下がってくる事が特徴的です。

2 尿を作る部分を障害する。

腎臓には、不要な物、必要な物をやり取りしているような組織があり糸球体(しきゅうたい)と言います。こちらも多発性骨髄腫の時に作られる過剰な意味のないタンパク質などが糸球体を壊していくイメージの病態です。この際は、検査結果として尿検査で蛋白尿が検出されるのが特徴的です。

3 その他

多発性骨髄腫には色々な病態が関わります。例えば多発性骨髄腫になると、骨が障害されてカルシウムが血液中に溶け出して血液中のカルシウムの濃度があがります。カルシウムの濃度が上がりすぎると腎障害を引き起こします。また骨が脆くなり、痛みが生じた時に飲む痛み止めで腎障害を引き起こす事もあります。

2:診断について

多発性骨髄腫そのものの診断に関してはこちらをご参照下さい。

多発性骨髄腫による腎障害の診断は採血検査、尿検査に加えて腎生検という腎臓の組織を採って顕微鏡で何が起こっているかを診る検査で行います。

3:治療方法について

多発性骨髄腫そのものの治療法に関してはこちらをご参照下さい。

多発性骨髄腫の治療法は近年ドンドン進化しています。特にボルテゾミブは腎を守る作用があるとも言われており、腎臓が悪い患者でも比較的使用し易い薬です。また、透析で多発性骨髄腫で生じる不要なタンパク質を取り除く方法も期待されております。

4:最近のトピック

多発性骨髄腫より不要なタンパク質の量が少なく、症状が出ていない病気をMGUS(意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)といいます。基本的にはMGUSに対して、治療を行わない流れだったのですが、MGUSでも腎障害が進行する例(MGRS)の報告があり血液検査や尿検査で腎障害を示唆する所見があれば治療を行った方が良いのではないかという意見が出ています。

 

多発性骨髄腫は腰痛、貧血、尿所見以上で見つかる事が多く見逃されやすい疾患の一つです。近年治療法が開発されている病気であり早期介入が望まれます。臨床医としては必ず頭に入れておきたい疾患です。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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