痩せる手術、内服薬について書きました。

2018.03.31
痩せる手術、内服薬について書きました。
痩せる手術、内服薬について書きました。

以前お伝えした通り、肥満は腎臓に負担をかける事があります。実際、肥満関連腎症や血行動態性の巣状糸球体硬化症などは、肥満が関わっており、一番の治療法は減量です。過去に腎臓と肥満の記事も書いたので載せておきます。

1:まず食事、運動から開始しましょう。

減量の仕方は、まずは食事、運動が中心になります。世の中には糖質制限などの様々な方法がありますが、個人的には過度な糖質制限はお勧めしていません。(未発表ですが、過度な糖質制限が腸内細菌の破綻に繋がる可能性があると言われています。)バランスの取れた食事、適度な運動を地道に続けていくしかありません。

僕の場合、『体重の見える化』を勧めています。カレンダーに毎日体重を書いてもらっています。全くもって医学的な根拠はありませんが、意外と効果があります。後は、スマートフォンなどの1日の歩数を測るアプリを使ってもらって、これも見える化してもらってます。

最近は、気合でダイエットを頑張るのではなく、『習慣』を変える方が痩せ続けられるという考え方が出てきました。予防医学の研究者石川先生の記事はこちらへ。

2:内服でサポートする事もあります。

あくまで糖尿病患者に限った話ではありますが、SGLT-2阻害薬という薬が有ります。このお薬は尿から糖を排泄する薬で1日300kcal排泄出来ると言われています。この事を根拠に、SGLT-2阻害薬は痩せる!という噂が広まり、芸能人などの間で使用されているという噂もあるお薬です。

実際の所、SGLT-2阻害薬は食欲を増進させるので結局多く食べてしまいあまり変わらないのではないかという見方もあります。実際に例えばSGLT-2阻害薬が一気に注目を浴びるきっかけとなった『EmpaReg試験』ではSGLT-2阻害薬を使った患者とそうでない患者で4年後に体重の変化は1kgしか変わっていません。(紫と青の線がSGLT-2阻害薬を使った人、黒線が使っていない人)

また飲み会で食べ過ぎてしまった次の日に内服する人もいますが、基本的にはSGLT-2阻害薬は長期的に飲む事が望ましい薬です。すぐに辞めてしまう事で糖尿病のコントロールが悪くなる事もあるので、飲むと決めたら長期戦が望ましいです。

私は、糖尿病の患者さんで肥満を改善したい場合は、SGLT-2阻害薬とGLP-1を併用して加療する事があります。実は、この方法は仙台で行われた腎臓内科学会でも話題になっていた治療方法です。先程述べた通り、SGLT-2阻害薬を使うと糖を尿から排出するため、原理的にはカロリーを体外に出しているため痩せるという考え方になる訳ですが、一方で食欲が増えて結局食べてしまう患者さんが結構います。

GLP-1製剤は食欲を抑えるような作用があるためSGLT-2阻害薬と併用して、食欲増進を打ち消す事が出来るのではないかと考えられています。

またその他にも脂肪肝だったりする時は積極的にSGLT-2阻害薬とGLP-1製剤を併用して加療する事もあり、何かと併用する事でメリットを得る事が出来る印象です。以下の研究では、SGLT-2阻害薬とGLP-1製剤を併用して有意な体重減少とHbA1c減少効果を得ています。ただ1年間程度の短い研究で今後研究の動向に着目しています。

あくまで『肥満の糖尿病患者』で糖尿病を治療する治療です。決して痩せるために使う薬ではありません。基本は食事療法と運動療法で、薬物療法はサポートするイメージで内服してもらっています。SGLT-2阻害薬に関しては別記事を書いています。

3:減量手術は意外と確立された治療であり検討出来ます。

基本的には、食事療法と運動療法と薬物療法が中心ですが、手術を行うという方法があります。実は、減量手術は世界中で劇的な効果を出している立派な治療法です。体重を減らすだけでなく、糖尿病や高血圧などを改善する効果も認められています。手術方法や具体的な治療効果は下記のサイトに詳しく載っています。

とはいえ、現段階で10年程度のデーターしかないため、20年、30年後に合併症が出る可能性はあるかもしれません。またBMIが30以上、35以上でどうしてもダイエットが必要な方に行う治療であり、一般的な方の『痩せたい』という気持ちに答える治療ではありません。やはり食事療法、運動療法、薬物療法でダイエット出来るならそれに越した事はありません。

4:ダイエットは生活習慣を変える事が特効薬

結局、生活習慣を変える事が一番大切です。医学だけではなく、行動科学、心理学、脳科学などの知見を活かして、どうやってダイエットに取り組むかが一番大切です。予防医学研究者の石川善樹先生の本は様々な最先端の研究を背景に、地味で着実なダイエット法を作っているので個人的にはお薦めです。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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