高齢CKD患者の血圧、血糖コントロールに関して(2017年ガイドラインを参照に)

2018.01.04
高齢CKD患者の血圧、血糖コントロールに関して(2017年ガイドラインを参照に)
高齢CKD患者の血圧、血糖コントロールに関して(2017年ガイドラインを参照に)

今回の記事は、患者さん向けというよりは、高齢者の診療する研修医の先生や腎臓内科以外の先生向け、そして何より自分の知識のまとめとして書きました。12月の学会誌にCKDstageG3b-5診療ガイドライン2017が連載されました。高齢CKD診療におけるガイドラインの記載に関しては2015年に出されてたガイドラインと大きな変化はありませんでした。記載内容の変更点は以下の2点。

1:『後期高齢者』を『75歳以上』との記載に変更。

2:糖尿病併発したCKD患者の血糖コントロールに関して対象患者を『CKD G4.5』から『CKD G3b-5』に変更した。

 

今回のガイドラインで特に意識されていたのは、今後の超高齢化社会に向けた慢性腎不全診療の指針である。段階の世代が75才以上になる2025年に向けて書かれたと思われる。

75才以上になると男性、女性共に50%以上がCKDに相当する。ロキソニン、利尿剤による腎機能障害、造影剤、抗菌薬、抗腫瘍薬などの腎機能障害を意識する必要が生じてくるため注意深い診療が必要になってくる。また心血管イベントの発生のリスクも上昇する。

CKD診療では塩分制限、蛋白制限、血圧・血糖コントロールなど何かと押さえ込む治療が多いが、高齢者に行うと食事を食べなくなる事で虚弱になったり、低血圧、低血糖になる可能性がある。絶妙なバランスを求められる。今回ガイドラインで記載されていた血圧、血糖コントロールの記載で特に大事な所だけを切り抜いた。

1:血圧管理に関しては下記の主な3つ。
  1. 収縮期血圧150mmHg未満に緩徐に降圧する。
  2. 収縮期血圧110mmHg未満、ふらつき、めまいには注意を要する。
  3. RA系阻害薬、利尿薬よりCa拮抗薬が望ましい。

前の記事でも触れたが、糖尿病を有している場合や、蛋白尿が出ている高血圧性の慢性腎臓病患者の場合はRA系阻害薬を積極的に使う。何故なら、RA系阻害薬が腎臓を守ってくれる作用があるからだ。しかし高齢者では脱水になりやすい。脱水+RA系阻害薬や腎障害に繋がる傾向があるため2017年のガイドライン高齢者ではCa拮抗薬を勧めている。

2:血糖管理に関しては下記の2つ。
  1. 単一の血糖コントロール目標を設けない。
  2. HbA1c、グリコアルブミンは正しく反映しない。
  3. 低血糖が起きにくい薬を使用する。

 

決して血糖コントロールを気にしなくても良いですよという話ではない。ニュアンスとしては、端的に言うと、どのくらい血糖だと良いかの研究がまだ足りないのでお答え出来ないというスタンスのようだ。高齢になると低血糖のリスクが上がる。糖尿病を一生懸命コントロールしようとするあまり低血糖になって重篤になる可能性があるため緩く目標を定める必要がある。

 

以前のガイドラインにどのように書かれたかを確認していないが、下手に間違った事を書けないためフワッとした記載が多いガイドラインにしっかり、『血圧はこの値が目標』と数値が記載されており馴染みやすい。最近前医の処方を薬剤を半分くらい無くしてスッキリさせるのが個人的ブームになっています。高齢者は薬を飲む事がストレスになっている事が多く、薬を減らすと意外と喜びます。薬を減らすというのを目標にして盛りたてると、塩分制限を含めた生活習慣改善を意外と頑張ってくれたりします。

 

75歳以上の診療は半数以上がCKD診療になります。僕は腎臓以外の診療に全く自信が無いので、逆に腎臓以外の専門の先生にSimpleなガイドラインの記載が知れ渡ればと思って書きました。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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