慢性腎臓病(CKD)患者さんの血圧はどうすれば良いの?

2017.11.26
慢性腎臓病(CKD)患者さんの血圧はどうすれば良いの?
慢性腎臓病(CKD)患者さんの血圧はどうすれば良いの?

慢性腎臓病(CKD)患者では血圧のコントロールが重要!

日本で透析になっている患者の病気は主に3つあります。

1:糖尿病性腎症(糖尿病が原因の腎障害)

2:腎硬化症(動脈硬化が原因の腎障害)

3:慢性糸球体腎炎

その中でも、高齢化社会に突入して、問題になってきているのが2番目の『腎硬化症』です。糖尿病性腎症でも腎硬化症でも血圧コントロールは治療の中心を担いますし、その他の疾患であっても血圧は非常に重要なので今日は、慢性腎臓病(CKD)患者の血圧の話をします。

慢性腎臓病(CKD)で腎機能障害、心筋梗塞、脳梗塞が起きる。

0-40歳頃から加齢ともに腎臓が悪くなっていきます。これは避けられない訳でざっくり若い健康な人の腎臓を100点満点とすると、年間0.3点ずつ減点されていきます。ちなみに10点を切ると透析が必要になります。腎臓は減点法で一度減点されると良くなりません。この腎臓の点数に相当する医学的な検査項目を『eGFR』といいます。eGFRは本当は『年齢』、『性別』、『クレアチニンという検査項目』から割り出した値なのですが、難しいので腎臓の点数と言い換えて説明しました。具体的には以下に詳細なページを作成したのでご参照下さい。

動脈硬化性の腎障害である『腎硬化症』の場合、eGFRは年間4-8ずつ低下すると言われます。高血圧の度合いにも依りますが、しっかり減塩を含めた食事指導、薬物療法が必要です。高血圧になると、腎臓が悪くなり、腎臓が悪くなると高血圧になるという悪循環が起きます。慢性腎臓病(CKD)患者では夜間に寝ている時の血圧も高い事があり更に血管に負担がかかります。長期間の血管への負担は腎障害だけでなく心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす原因となります。

実際どのような治療をするのか?

まずは血圧を決められた範囲内にします。血圧の目標は、蛋白尿があるか、糖尿病があるかで異なります。

蛋白尿がある慢性腎臓病(CKD)患者、糖尿病がある慢性腎臓病(CKD)患者は血圧を130/80mmHg以下に、

蛋白尿がない慢性腎臓病(CKD)患者、糖尿病がない慢性腎臓病(CKD)患者は血圧を140/90mmHg以下にします。

以下のような治療をまず行います。

生活習慣の是正 〜食事、禁煙など〜

まず禁煙が必須。加えて、肥満改善、減塩を中心とした食事療法です。特に減塩は、血圧を下げる薬の効果を増進させるため必要です。どのくらいを目標にするかというと塩分摂取量6g/日以下を目標にします。ちなみに日本人の平均10-11g/日です。目標を達成するためには半分程度にしなければなりません。(私自身も1週間ぐらい実際やってみたのですが、最初はきつかったです。)

更に、実は慢性腎臓病(CKD)患者には味覚障害があり、濃いものを食べないと満足できません。なのでまた塩分摂取を増やして、血圧が上がり、再び腎臓が悪くなるという悪循環が生じています。あの悪循環を断ち切るには最初数週間は我慢してもらうしかありません。実際自分もやってみた体験と、実際患者さんの話を聞いて分かったのですが、減塩をすると最初の頃は薄味に満足ができなかったのですが、段々と慣れてきます。実は、減塩すると味覚の感度が上がる事が医学的に証明されており、辛い数週間を経ると減塩食に慣れます。

話はかなり逸れますが、5年くらい前にイギリスで面白い取り組みがあって、医療費を削減するために減塩をする必要があったが、摂取する6割ぐらいの塩分が加工食品から摂取されるため個人の努力ではどうする事も出来ないという現状があり、行政が食品メーカーに呼びかけて同時に、こっそり数ヶ月くらいかけて塩分を減らした所、多くの市民がその事実に気付かず秘密裏に減塩する事に成功したとの事です。(詳細は私自身も覚えていません。)

別途で高血圧の時の、生活習慣をまとめたのでご参照下さい。

降圧薬

生活習慣の是正をしてもコントロールが付かない場合は、降圧薬を使用します。降圧薬には色々種類がありますが、慢性腎臓病(CKD)で大切なのARB、ACE-I阻害薬です。商品名だと、ロサルタン、アジルバ、オルメテックなどがこの類の薬になります。何故この薬を使うと良いかというと、端的に言うと腎臓を保護する作用があると言われているからです。

高血圧になったり、動脈硬化になると腎臓の『糸球体』という場所に圧力がかかります。ARB、ACE-I阻害薬この糸球体にかかる圧力を抑えてくれる作用があります。但し、この圧力を抑える作用のせいで、『eGFR』は下がってしまいます。すると多くの患者さんが『腎臓の点数が下がった』と不安になりますが、これは無理をしていた腎臓を休めているようなものであり、長期的な腎臓の機能を守る事に繋がります。

 

とはいえ、このARB、ACE-I阻害薬は慢性腎臓病(CKD)患者全員に使うわけではなく、尿蛋白が無い場合、高齢者の場合や、腎機能障害が強い場合は使用しない事があります。

それでも血圧が下がらない場合は、更なる検査を

生活習慣を改善して、ARB、ACE-I阻害薬+Ca拮抗薬+利尿剤を全て使っても血圧コントロールがつかない場合は、専門医を受診して、二次性高血圧という生活習慣だけでなく、何らかの病気があって血圧が上がっている可能性を検討します。二次性高血圧の人は生活習慣是正をいくら頑張っても良くならない事が多く、特に若い患者さんでは積極的に二次性高血圧の可能性を検討します。(二次性高血圧についての詳細はまた違う記事で触れます。)

最後に

今後、高齢化社会に伴って動脈硬化による腎硬化症の患者さんが増えて、透析になる割合の多くを占める可能性があります。日頃からの積み重ねであり、進行してからでは遅いので早期から治療する事が望ましいです。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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  • (2018.11.04)
    ファンデリー様企画の数百人規模のイベント「ミールタイム健康フェスタ」で『生活習慣病の食事療法・運動療法の最新の知見』と題して講演させて頂きました!
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    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

  • (2018.10.10)

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