<腎臓内科医直筆>腎生検についてまとめました。

2018.12.18
<腎臓内科医直筆>腎生検についてまとめました。
<腎臓内科医直筆>腎生検についてまとめました。

腎臓内科の森です。今日は腎生検(じんせいけん)について記事を書こうと思います。自分自身も年間50件くらい腎生検を行なっていることもあり、患者さん向けに、何故腎生検が必要なのか、どのようなことをするのかなどを書いていこうと思います。

腎生検(じんせいけん)とは?

腎生検(じんせいけん)とは、端的に言うと腎臓に針をさして組織をとる検査のことを指します。その組織をとって顕微鏡でみて実際腎臓で何が起きているのかを細胞レベルでみる事ができます。腎臓病の原因を調べる検査の中では一番診断に結びつきやすい検査です。(腎臓病の原因をまとめました。

腎生検を行う理由

腎臓病の原因を調べる検査として、採血検査、採尿検査、画像検査などがありますが、採血や採尿検査と違い、腎生検は腎臓『そのもの』を見るためしっかり診断する事ができます。具体的には腎臓の糸球体(しきゅうたい)、腎臓に走っている血管や腎臓の尿の通り道である尿細管(にょうさいかん)を評価する事ができます。(腎臓の役割・働き・構造についてまとめました。

一方で、腎生検は簡単にサクッと行うような検査ではありません。背中に針を指して腎臓を取ってくるわけですが、仮に腎臓の血管を指してしまった場合は出血してしまいます。また菌が入れば感染してしまいます。腎臓は身体の深い所にあるため、治療に難渋する事があります。

特に怖いのは出血で、腎臓は血管の塊で大出血すると輸血や外科手術が必要になります。確率は稀で0.2%程度ですが、基本的には数日程度しっかり入院して行います。

まとめると、「診断力は抜群だが、リスクを伴う検査」という認識をいただければと思います。そのため診断をつけるメリットと検査のリスクを天秤にかけてメリットが勝れば腎生検を行ないます。

腎生検を行う患者さんはどんな人?

主に以下のような場合腎生検を検討します。

<緊急〜準緊急で腎生検を行う時>

1:大量のタンパク尿が出ておりネフローゼ症候群の状態の時。(ネフローゼ症候群についてまとめました。

2:腎機能障害が進行している時。

<待機的に腎生検を行う時。>

1:尿潜血・血尿が持続しており、腎障害が考えられる時。(尿潜血とは?

2:原因不明の腎不全がある時。

3:将来移植を考えている時。(腎移植についてまとめました。近日公開予定。)

4:0.5g/日以上のタンパク尿がある時。(0.5という値は施設により異なります。)

一方で、腎臓が小さかったり、のう胞がある場合は、出血するリスクがあるため腎生検を行わない事もあります。どうしても診断をつける事が望ましい時は、開放腎生検といい実際メスに入れて腎臓を同定して生検を行う事もあります。

腎生検の実際

http://renalmed.com/wp-content/uploads/2015/06/Kidney-Biopsy-300x250.png

患者さんにはうつ伏せになってもらいます。背中から超音波を当てて、腎臓の位置を探して息止めの練習をします。呼吸に合わせて腎臓の位置を固定して針を指します。痛くないように局所麻酔をします。現場の感覚としては、腎臓に針が刺さって痛いとおっしゃる方はあまりいません。検体を3本くらい取ったら終了します。

その後、腎臓から出血しないように圧迫します。終わってから10分ほど医師が患者様の背中を手のひらで圧迫します。その時少し息苦しい感じがあるかもしれません。この時に、血圧が下がり冷や汗をかく患者さまがいらっしゃいますので、その際は医師や看護師に伝えてください。

圧迫が終わったら仰向けになり、背中に砂嚢を入れて自分の体重で圧迫します。砂嚢は数時間で取れますが、腎生検から翌朝までずっと仰向けで寝て頂きます。

お食事に関しては、寝たまま串刺しの食事とおにぎりを家族の介助の元食べて頂きます。ご家族には腎生検をする際には来ていただくように宜しくお願いしています。

腎生検自体よりは、腎生検の後の安静がつらいとおっしゃる方が多いです。また男性の方は尿道のバルーンを入れる時が痛いかもしれません。

腎生検後の生活について

翌日に医師の診察と採血検査で出血がないかを確認して、3-4日入院を継続して問題がなければ退院とします。(翌日退院とする施設もあります。)腎生検翌日から普通に生活しても大丈夫ですが、腰をひねったり、腹圧がかかる激しい運動は控えて頂きます。結果は1週間後に出るのでその後に外来で結果説明と今後の方針決定を行います。(施設によって大きく異なります。)。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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