先行的腎移植(PEKT)についてまとめました。

先行的腎移植(PEKT)についてまとめました。

先行的腎移植:PEKTとは?

腎臓病が進行して、透析を始める前に行う移植を先行的腎移植(せんこうてきじんいしょく)と呼びます。日本ではペクト(PEKT)とも呼び、この記事でもPEKTと書きます。

末期腎不全になると血液透析、腹膜透析、腎移植の3つのいずれかが必要となります。この3つを腎代替療法(じんだいたいりょうほう)と呼びます。

腎代替療法の中で腎移植は一番生命予後が良いと呼ばれているのですが、その中でもPEKTは生存率及び生着率(移植した腎臓が保たれる率)が高いという報告がありPEKT が行われるようになりました。(本当にPEKTが生命予後、生着率に良いのかという点に関しては実は批判的に考える報告もあり、ここらへんはまだ明らかなコンセンサスがないと考えることも出来ます。)

透析を行うことで残腎機能が低下したり、心臓に負担がかかったり、低栄養、慢性炎症の状態になることがあります。PEKTはこれらの要素を防ぐことができると考えられています。例えば、PEKTは急性拒絶の割合が少ないのは慢性炎症が関わっていると考えられていたり、心機能低下がある患者さんにPEKTをすると改善するが透析を長期間続けている患者さんだと心機能改善が乏しいという報告もあります。

PEKTのメリット

PEKTのメリットは先程の生存率及び生着率が高いという点が一番ですが、それ以外にも以下のようなメリットがあります。

・透析による合併症を防ぐ(筋力低下、心血管イベントなど)

・医療費の削減

・透析による社会生活の損失を防ぐ

一方で、生存率及び生着率が高いという点に関して、批判的に考える科学的根拠もあるのも事実です。更に透析を経験しないことで移植の恩恵を感じることが出来ず、必要な薬を飲まなく腎臓を駄目にしてしまうリスクが上がるという報告もあります。

また、糖尿病性腎症のような急激に腎臓が悪くなることが予想される病気の場合は、手術の準備をしている時に腎代替療法が必要な状態になり透析を急ぎで行ったりすることもあり、実際には手術前に透析を数回を行って安定した状態にしてから手術を行うことも多々あります。逆に腎硬化症や多発性嚢胞腎のような比較的ゆっくり進行する腎障害に対する腎移植は比較的PEKTになることが多いと言われています。

PEKTのポイントとは?

PEKTのポイントは「早めから準備して、正しい時期に移植をすること」です。

移植をするには、準備が必要です。具体的には感染症のチェック、悪性腫瘍のチェック、心機能のチェックなどを行います。(詳しくは別記事でまとめる予定です。)これらの検査を行ったり、移植カウンセリン、様々な手続きを含めると準備期間は半年〜1年くらいかかるようになることが多いです。

そのため、腎代替療法が必要になる状態の半年から1年前から準備を行っておく必要があります。決して早ければ良いわけではなく、腎代替療法が必要になる直前が良いのですが、中々実際コントロールをするのが難しいのが現状です。目安としては日本では症状や他の採血項目などによりますが、eGFR8程度で行われることが多いようです。

最後に

PEKTはメリットも大きい一方、入念な身体的・精神的準備が必要です。個人的にはPEKTが希望の患者様にはeGFR20以下の時に情報提供を開始し、必要であれば移植専門の施設の外来を受診して頂き、eGFR15以下の時から移植前検査を検討しています。PEKTにこだわるあまり、検査前の検査を怠ったり、精神的な配慮を怠るのは本末転倒です。

何かございましたら診察を受け入れておりますので、適宜ご相談ください。

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