【勉強録】腎移植のドナーの長期予後について

【勉強録】腎移植のドナーの長期予後について
【勉強録】腎移植のドナーの長期予後について

管理人ブログでは、読んだ論文などの内容を記載しております。患者さん向けというよりは、あくまで備忘録として書いていきます。腎移植のドナーについていくつか論文をレビューしたので、まとめました。

NEJM 2009;360:459-469

これまで腎臓を提供して片腎になったとしても、非ドナーと生存期間、末期腎不全のリスクは変わらないとされていました。しかし、今までの研究では経過を観察する期間が短いことや、対象とした患者さんが少ないことなどが指摘されていました。

1963年~2007年に腎臓を提供したドナー3698人を対象に調査を行い、その中の2003年~2007年のドナー255人の腎臓の状態(GFRとアルブミン尿)と腎臓のリスク因子(高血圧の有病率、生活習慣、QOL)を調査しました。

結果、ドナーになっても生存率、末期腎不全になるリスクに大きく変わりありませんでした。またQOLに関してはドナーになった人の方が良いとされています。

この研究でのドナーは腎移植を行っても、85.5%がGFR60以上のもともとかなり健康な腎臓を持っている患者さんであり、ここは解釈に注意が必要です。

移植後にGFRが下がったり、血圧が上がる因子として年齢と肥満が影響しており、移植してからの年数はあまり影響しないようです。一方、アルブミン尿の出現は移植をしてからの年数の影響するという結果となっており、調査期間がもっと長ければ移植をしてからの年数がGFRに影響するのではないかと個人的には思います。

BMC Nephrology 2019 20 283

Prediction model of compensation for contralateral kidney after living-donor donation Open Access

腎臓を提供すると、GFRが3割程度下がり、9割ほどの人がCKDstage3になります。

腎臓を提供すると残った腎臓が代償的に大きくなります。この代償する能力は体重に対する腎臓の大きさ、年齢、性別、高血圧の既往があるかによって大きく変化します。

この論文では、CPSという腎臓の代償能力を調べる計算式を作っており、代償能力が低い場合はドナーになることを検討したり、移植後の治療をしっかりフォローする必要があるとしております。

あくまで推測の範疇ですが、体重が増えたり、血圧が高い状態を受けると腎臓は障害を受けます。腎臓が1つだと負担を1つの腎臓で受け止める必要があり、より細心の注意が必要になります。

(FSGS perihiller variantになるかはまだわかっていない。)

Long-term risks for kidney donors

Kidney International (2014) 86, 162–167

これまで、ドナーと一般人口を比較をして研究を行なっていたが、ドナーになる人というのは、様々な検査での異常を乗り越えてきた健康のエリートであり、本来の一般人口と比べるのは適していないのではないかという議論から行われた研究です。

この研究では1961年~2007年にかけてドナーになった1901人を中央値15.1年で追跡して、ドナーの健康状態と同じような健康のエリート達と比較したところ、死亡率(HR1.3)、心血管イベントによる死亡率(HR1.4)、末期腎不全(HR11.38)のリスクはドナーの方が高いという結果になりました。HRについては、件数が少ないため解釈に必要ですが、ドナーになっても慎重に腎臓の治療を行った方が良いことが分かります。

Risk of End-Stage Renal Disease Following Live Kidney Donation

JAMA. 2014;311(6):579-586

違う研究でもドナーになることで末期腎不全のリスクが上がるという結果もあります。ドナーの中で末期腎不全のリスクは、年齢、人種などで異なり、また腎移植をしてから数年(8-10年)くらいすると差が出てくることがこの論文の興味深いところです。つまり、観察期間が短くてドナーになっても問題という結果になっていても10年、20年スパンでみると話が変わってくるのです。

Long-Term Safety of Living Kidney Donors Aged 60 and Older

Transplantation Proceedings, 46, 318e320 (2014)

これらの現状を考慮すると、個人的にはやはり若い方をドナーにするのは慎重になります。日本では高齢化が進んでおり、ドナーの年齢も高齢化してきています。この研究では、60歳以上のドナーと60歳以下のドナーを比較して経過をみましたが、長期予後はあまり変わらなかったという結果になりました。

ドナーの年齢に関しては、世界中からガイドラインが出ています。日本は献腎の数

が少ないので生体腎移植に頼らざるを得ないので、少し基準が緩くなっています。ここについては別記事で掘り下げようと思います。

日本より出ているガイドライン

「生体腎移植のドナーガイドライン 2014」

KDIGOのドナーのガイドライン

「Summary of Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Clinical Practice Guideline on the Evaluation and Care of Living Kidney Donors」

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