【勉強録】末期腎不全における抗血栓薬の長所と短所

【勉強録】末期腎不全における抗血栓薬の長所と短所
【勉強録】末期腎不全における抗血栓薬の長所と短所

管理人ブログでは、読んだ論文などの内容を記載しております。患者さん向けというよりは、あくまで備忘録として書いていきます。

本日の論文:末期腎不全における抗血栓薬の長所と短所

Pros and cons of antithrombotic therapy in end-stage kidney disease: a 2019 update.(Nephrol Dial Transplant. 2019 Jun 1;34(6):923-933. )

末期腎不全では、心血管イベントの合併症のリスクが上がります。主に出血と梗塞(血が血管につまる)治療として血液をサラサラをすることで梗塞を予防することができますが、その代わりに出血するリスクが増えます。

現在まで末期腎不全における抗血栓療法について、明確な科学的根拠はなく限りある観察研究の結果などを分析しながら推測して探り探りの状態でした。

腎臓内科.comでもKDIGOのコンセンサスについて以前触れました。「」

今回のレビューでは、KDIGOだけでなくESC、Canadian Cardiovascular Society Guidelineなどの様々な声明を分析して、European Dialysis Working Groupが推奨をまとめています。

★心房細動に対する抗凝固療法

・ワーファリン

PT-INRのモニタリングをしっかり行い治療域の管理を行えることが条件で投与可能。コンプライアンスが良くない場合は出血のリスクが高いので注意が必要。

・DOAC

EMAでは禁止されているが、FDAではアピキサバン(エリキュース)、リバーロキサバン(リクシアナ)は使用可能であり、KDIGOではアピキサバンは減量が推奨されています。このKDIGOの減量の推奨に対してこのレビューでは梗塞を防ぐという効果が十分に発揮されないとしています。

★抗血小板療法

・単剤療法

一次予防や無症候性のCVDの抗血小板薬はデメリットがメリットを上回ると考えられるため推奨しないとされています。

・DAPT

末期腎不全における冠動脈ステント留置後6ヶ月間のDAPTや二次予防のアスピリン投与は観察研究でのエビデンスがあり推奨するとされております。

・TAT

抗血栓薬3剤併用療法についてはざっくり、患者さんのリスクに応じて行うか否かを考えることを推奨しております。具体的にはHAS-BLEDやABC scoreを利用して出血リスクを、急性期の症状や、狭窄部位などの評価で梗塞リスクの評価をして総合的に考えます。その上で下のようなアルゴリズムに沿って適宜調整します。

まだ科学的根拠がない領域ですが、こうやって限りある根拠からコンセンサスがまとまることは非常に助かります。2019年にはRCTの結果も出そうとのことで待ちですね。

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