腎性貧血に対するESAと新薬HIF-PHについてまとめました。

腎性貧血に対するESAと新薬HIF-PHについてまとめました。
腎性貧血に対するESAと新薬HIF-PHについてまとめました。

腎臓病になると貧血が起こりやすくなります。貧血の状態を放置しておくと、腎臓が悪くなるスピードが進行したり、心臓に負担がかかるのである程度腎臓病が進行すると貧血に対する治療を行う必要があります。

貧血は採血で評価することが可能で、Hb(ヘモグロビン)という値をみます。この保存期CKDの患者ではHbを11-13にコントロールすることが望ましいと考えられています。以下の図は、日本人のデーターでHbの値をコントロールをHigh Hb 11-13にした患者とLow Hb 9-11にした患者で分けて、比較したデーターでHigh Hbのグループの方が透析になる確率が低かったことがわかりました。

逆に海外のデーターでCHOIR試験という試験では、Hbを13以上にすると逆に脳梗塞などが増えたという結果となり、上げすぎるのも気をつけましょうという方針となりました。ただし、この研究では造血剤を使用してHbを上げたことに問題があり、造血剤を使用せずにHbが13以上になっている方は特に問題がないと考えられています。

Hbが11を切ってくると造血剤を使用します。ESA製剤と呼び、商品名としてミルセラやネスプなどがよく使用されます。これは腎臓で作られるエリスロポエチンという身体のヘモグロビンを生産する物質を投与することで貧血を治療します。ESA製剤は皮下注射の薬で4週間〜6週間の頻度で通院して頂いて投与します。

中にはESA製剤を投与しても改善が無い時があります。この場合は、エリスロポエチン以外の原因があり貧血が起きていることが考えられます。鉄分、亜鉛、葉酸などの成分や、出血、炎症などが関わっていることが多くて、適宜検査で調べることが可能です。

 

このような腎性貧血の治療において、ここ数年で新しい薬が出ることになりそうです。これがHIF-PHです。ESA製剤も良い治療なのですが、投与しても改善しない例がある、定期的な通院が必要、注射が必要など難点も多くありました。このESA製剤とHIF-PHの大きな違いは以下のようなものです。

・内服薬

・定期的な通院が不要

・エリスロポエチンだけでなく様々な貧血に関わる要素に対しての治療になる可能性がある。

ざっくりとしたメカニズムとしては、ランナーが高地トレーニングをすると低酸素状態でのエリスロポエチンの産生が上がり、血液成分を産生するようになるのですが、このメカニズムに関わるHIF(低酸素誘導因子)を活性化させることで腎性貧血におけるのエリスロポエチンの低下を改善しようとする仕組みです。

更に、このエリスロポエチンだけでなく、鉄の利用効率を上げたり、慢性的な身体の炎症所見で起きる貧血を改善する効果が期待されています。結果、ESA製剤では改善が無かった貧血が改善されたという報告があるようです。

ただし良いことばかりではなく、HIF-PHでは今の所報告はありませんが、癌や網膜症に対して使用が要注意と考えられています。なので、適宜使用する際はしっかり患者さんを見極めた方が良いと考えられています。

発売は2020年頃になるようですが、手数が増えることは良いことです。新しいデーターや発売が決まったらまたこのサイトでお伝えします。

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