日本腎臓学会から「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」が発表されました。

日本腎臓学会から「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」が発表されました。
日本腎臓学会から「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」が発表されました。

日本腎臓学会から「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」が発表されました。

腎臓病になると身体機能が落ちる

腎臓病の患者さんは、健常な人に比べて身体機能が7割ぐらいまで下がると言われています。

メカニズムは様々な要素が絡んでいて、クリアには分かっておりませんが、透析が必要になるほど重度な腎臓病患者では、身体機能は5割まで下がっているという報告も過去にあります。

そのため腎臓病の患者さんは他の方より意識的に運動をする必要があります。(腎臓リハビリテーションについてはこちら)

 

上記のごとく、腎臓が悪くなればなるほど、サルコペニアやフレイルのような筋肉が衰え虚弱状態になる患者さんの割合が増えます。近年、日本では腎臓病患者さんの高齢化が進んで、サルコペニアやフレイルが問題になっています。

身体機能を守るのか、腎臓を守るのか?

サルコペニア・フレイルを予防するためには、十分なタンパク質摂取が有効と考えられています。一方で、腎臓病患者では、これ以上を腎臓病を悪くしないためにタンパク質を控えるタンパク制限が推奨されています。

つまり、「食べて良い」と「食べない方が良い」が両方推奨されていることになり、診療をしていて多くの患者さんがどっちが正しいのか困っていて、腎臓内科.comでも多くの患者さんから診察依頼があります。

CKD診療ガイドライン2018でも「タンパク質制限の画一的な指導は不適切であり、個々の患者の病態やリスク、アドヒアランスなどを総合的に判断して指導することを推奨する」とされております。

今回の提言では、どのような患者さんにはタンパク制限を推奨して、どのような患者さんにはタンパク制限を推奨しないのか?加えて、だいたいどのくらいのタンパク質摂取が望ましいのかなどをCKD診療ガイドライン2018より踏み込んで記載されています。

今回の提言の特徴は、患者さんごとで具体的にどのような食事をとった方が良いのかが記載されており、食事でお困りな患者さんも多いので非常に画期的な提言なのではないかと僕は考えております。

最後に提言のステートメントを引用します。

Q1 サルコペニアを合併したCKDの疫学と予後は?

・CKDのサルコペニア発症には多要因が関与する。

・CKDにサルコペニアを合併する頻度は一般人口よりも高く、CKDのステージの進行とともに増加する。

・CKDにサルコペニアを合併した場合の生命予後は、合併しない場合より不良である。

Q2 サルコペニアを合併したCKDでは、個々の病態により、タンパク制限を優先あるいは緩和すべきか?

・サルコペニアを合併したCKDステージG3-G5では、タンパク制限の緩和を検討する症例がある。

・末期腎不全リスクが高いCKDでも、死亡リスクやサルコペニアの程度などから、タンパク質制限の緩和を考慮する。

・タンパク質制限の優先および緩和は、GFRと尿タンパク量だけでなく、腎機能低下速度や末期腎不全の絶対リスク、死亡リスク、サルコペニアの程度などから総合的に判断する。

Q3 サルコペニアを合併したCKDで、食事療法、運動療法および、両者の併用は、サルコペニアの改善に有効か?

・サルコペニアを合併したCKDで、食事療法および運動療法がサルコペニアの改善に有効かを直接的に研究した報告はない。

・保存期CKDを対象とした検討では、運動療法は筋量・筋力の改善に有効であることが報告されている。

・高齢者を対象とした検討では、運動療法と食事療法の併用は、運動療法単独よりもサルコペニア改善に有効であることも報告されている。

・サルコペニアを合併したCKDにおいても、運動療法はサルコペニアの改善に有効であり、運動療法と食事療法の併用は運療療法単独より有効である可能性が考えられる。

・その場合の食事療法はタンパク質摂取量とともに十分なエネルギー摂取量を確保することが重要である。

Q4 食事療法基準で、CKDステージG1-G2では過剰なタンパク質量を摂取しないことが推奨されているが、サルコペニアを合併したCKDステージG1-G2において、タンパク質摂取量の上限を考える必要があるか?

・高齢CKDステージG1~G2では、心血管疾患リスクの点から、タンパク質摂取量の1.5g/kgBw/日が上限の目安と考えられて、サルコペニアを合併したCKDステージG1~G2においても同様と考えられる。

Q5 サルコペニアを合併したCKDステージG3でタンパク質制限の緩和を行う場合、その摂取量の上限はどの程度か?

・高齢 CKD ステージ G3 では,たんぱく質制限の緩和を行う場合の摂取量は 1.3 g/kgBW/日が上限の目 安と考えられ,サルコペニアを合併したCKD ステージ G3 においても同様と考えられる。

Q6 サルコペニアを合併したCKD ステージ G3~G5 で、たんぱく質制限を優先する場合,その摂取量の上限はどの程度か?

ステートメント ・サルコペニアを合併した CKD ステージ G3~G5 で、たんぱく質制限を優先する場合、その摂取量の上限は,各ステージの推奨量の上限(CKD ステージ G3a では 1.0 g/kgBW/日、G3b および G4~G5 では 0.8g/kgBW/日)が目安と考えられる。

Q7 サルコペニアを合併したCKDの食事療法は基礎疾患や合併疾患によって変更が必要か?

・CKD の基礎疾患や合併疾患で、エネルギー摂取量は調整する必要はあるが、タンパク質の量を変更する根拠はない。

・サルコペニア肥満では、エネルギー摂取量制限とたんぱく質摂取量増加は、体重減少と筋量・筋力の改善に有効であると報告されているが、サルコペニア肥満を合併した CKD では一定の見解はない。

Q8 サルコペニアを合併したCKDの食事療法では何をモニターするべきか?

・食事療法の効果判定には、サルコペニア指標、栄養学的指標、腎関連指標の3つの指標と、実際のたんぱく質摂取量を総合的に判断し,それに基づいてたんぱく質摂取量およびエネルギー摂取量を適正に調整する必要がある。

Q9 サルコペニアを合併したCKDの食事療法に関する考え方、タンパク質摂取量の上限は何か?

・サルコペニアを合併したCKDで、サルコペニアを改善するためには、運動療法と食事療法(十分なエネルギー摂取量と適切なタンパク質摂取量)との併用が必要と考えられる。

・サルコペニアを合併したCKDで、タンパク質制限を優先するか緩和するかの判断には、GFRと尿蛋白量だけではなく、腎機能低下速度や末期腎不全の絶対リスクも考慮する。

・CKDステージが G1~G2では、過剰なタンパク質量の摂取を避けるのが原則で、サルコペニアを合併した場合でも、心血管疾患リスクを避ける点から1.5 g/kgBW/日が上限の目安と考えられる。

・サルコペニアを合併したCKDステージG3では、タンパク質制限を緩和する場合は 1.3 g/kgBW/日が上限の目安と考えられる。たんぱく質制限を優先する場合は、各 CKD ステージの推奨量の上限、すな わちステージG3aで 1.0 g/kgBW/日、ステージ G3bで0.8 g/kgBW/日が上限の目安と考えられる。

・サルコペニアを合併した CKD ステージ G4~G5では、推奨量の0.6~0.8 g/kgBW/日から摂取量を増加してもよいが、推奨量の上限の 0.8 g/kgBW/日が目安と考えられる。

 

 

診療依頼はコチラ > 記事の一覧へ >