高尿酸血症とは? (2019.5更新)

高尿酸血症とは? (2019.5更新)
高尿酸血症とは? (2019.5更新)

高尿酸血症とは

高尿酸血症とは尿酸塩沈着症(痛風関節炎、腎障害など)の病因であり、性別、年齢問わず血清尿酸値が7.0mg/dlを超えるものと定義されます。

30代以降の日本人男性の3割が高尿酸血症になっていると言われている国民病です。また女性では血清尿酸値7.0mg/dl以下でも、生活習慣病のリスクが高くなると言われています。

高尿酸血症の治療が必要になる理由は主に2つあります。1つ目は痛風のなる可能性が増えることで、2つ目は生活習慣病の発症のリスクが高くなり、動脈硬化が進行するなどのメカニズムを経て心臓、腎臓に悪影響を及ぼす可能性があることです。

高尿酸血症と痛風について

痛風はご存知の通り、足の指などに起きる関節炎です。医学的に言い直すと、関節内に析出した尿酸塩結晶が起こす関節炎で、第一中足趾関節・足関節に好発します。

こちらの表をみて頂くと、血清尿酸値が7.0mg/dlを越えてから徐々に痛風になるリスクが挙がり、9.0mg/dlを越えると痛風になるリスクが急上昇します。

痛風発作時の治療に関しては、治療の項目でまとめます。

高尿酸血症と生活習慣病について

血清尿酸値が高い集団は、高血圧、冠動脈疾患、心不全の罹患率及び全死亡率増加、心房細動発症が増加する可能性が高いと考えられています。またメタボリックシンドロームの発症頻度が増加するとも言われています。

更に、腎臓病の患者さんでは尿酸値をコントロールすることで透析・移植が必要になる末期腎不全に進行することが遅くなるのではないかと言われています。

尿酸と腎臓に関しては現在世界中で議論されているところでまだコンセンサスが得られていませんが、早期の腎臓病(eGFR45以上)を血清尿酸値が6mg/dl前後にコントロールした方が良さそうです。(詳しくはこちらの記事をご参照ください。)

高尿酸血症と尿路結石について

高尿酸血症を有していることで必ずしも尿路結石の頻度は上昇しませんが、尿の尿酸値が高い場合、尿路結石の頻度が上がります。その他、水分摂取が少なくて尿量が少ない場合、尿の酸性であると結石の発生率が上がります。

後で触れますが、高尿酸血症の治療は主に尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬の2つあります。尿酸排泄促進薬は結石の発生率を増やしてしまうため治療薬は尿酸生成抑制薬を使用します。

高尿酸血症になる原因

高尿酸血症になる原因として環境要因と遺伝要因があると言われています。

環境要因とは、食事・運動・不規則な生活習慣・ストレスなどの原因です。実は明治時代の日本人で痛風になる人は殆どいなかったようで、近代化によって痛風になる人が増えたそうです。遺伝要因は言葉どおり遺伝で、生活習慣が規則正しくても尿酸が上がりやすい人がいるのは事実です。

尿酸に関して、食事が基本的な原因と考えられているのですが、食事として外から取り入れられる尿酸よりも体内で作られる尿酸の方が多いと言われています。

これはどういうことかというと、長期的に積もり積もった食事・運動・不規則な生活習慣・ストレスなどの環境要因の先にある体質が尿酸値に大きな影響を与えていることになります。

つまり、短期的に尿酸が上がりやすい食事を減らすというよりは、食事・運動・不規則な生活習慣・ストレスなどの生活習慣を長期的に変えて行く必要があります。それを踏まえた上で食事・運動について触れたいとおもいます。

食事としてはアルコール、肉類、アクエリアスみたいな砂糖入りソフトドリンクの摂取が多い人が高尿酸血症になりやすくて、逆に果物・野菜の摂取が多い人は高尿酸血症になりにくいのではないかと考えられています。また乳製品、コーヒーの摂取が多い人は痛風になりにくいという報告もあります。

運動に関しては、ランニングなどの適度な運動を行っている人は高尿酸血症になりにくいと言われています。(強い負荷のかかる運動は逆効果らしいです。)一方で肥満の人、特に内臓脂肪が多い人は尿酸の尿への排泄を低下させて身体に貯めてしまうため高尿酸血症になります。

高尿酸血症の診断

採血で行います。血清尿酸値が7.0mg/dlを越えたら診断となります。但し変動することがあるので複数回の測定が必要だと言われています。

一応、高尿酸血症は3つのパターンに分類する事ができます。3つとは尿酸排泄低下型、腎負荷型(尿酸産生過剰型 or 腎外排泄低下型)、混合型です。但し、この3つに分ける意味は近年薄くなってきていると言われています。(高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版にも同様に記載されています。)

痛風の診断

痛風は臨床経過、身体所見から診断しますが、他の疾患の可能性が疑われる時はエコーや関節穿刺などで診断することもあります。

痛風の時に、尿酸値が一時的に下がっていることがあり採血結果は診断的価値は高くないと言われています。

高尿酸血症の治療

まずは生活習慣の改善をしましょう。食事・運動・不規則な生活習慣・ストレスなどの生活習慣を長期的にしっかり改善させましょう。しっかり水分もとってください。それでも改善しなければ内服薬を開始します。内服薬には尿酸生成抑制薬(尿酸を作らせないようにする)と尿酸排泄促進薬(尿酸を身体の外に出す)があります。尿酸の値とその他の疾患の有無で、治療方針を決めます。

 

尿酸値7.0mg/dl以上であれば生活指導。

尿酸値8.0mg/dl以上+尿路結石、高血圧、CKDがあれば生活習慣+薬物治療。

尿酸値9.0mg/dl以上では合併症に関係なく生活習慣+薬物療法。

 

詳しくは以下の図をご参照ください。

<尿酸生成抑制薬> 

尿酸を作らせないようにするお薬です。基本的にはこの尿酸生成抑制薬から始めることが多いです。具体的にはアロプリノール(ザイロリック、アデノック、アロシトール、サロベール、リボール)やフェブキソスタット(フェブリク)などが当てはまります。

・アロプリノール(ザイロリック、アデノック、アロシトール、サロベール、リボール)

腎機能障害があると、容量調整が必要です。免疫抑制薬、ACE阻害薬、サイアザイド系薬剤、抗菌薬などで併用に注意を要する薬があるため注意が必要です。

副作用としては、非常に稀ではありますが、血球減少、肝機能障害、腎機能障害、間質性肺炎などの報告がありますので投与後に症状が出たり、採血結果をみて中止することもあります。

・フェブキソスタット(フェブリク)

腎機能障害があっても容量調整が不要なのがメリットです。

免疫抑制薬、抗ウイルス薬などで併用に注意を要する薬があるため注意が必要です。副作用としては、非常に稀ではありますが、肝機能障害、過敏症があります。

<尿酸排泄促進薬>

尿酸を身体の外に出しやすくする薬です。具体的にはプロベネシド(ベネシッド)、ブコローム(パラミヂン)、ベンズブロマロン(ユリノーム、ナーカリシンなど)あたりがこれに当てはまります。

尿酸の排泄が乏しい患者さんによく使用しますが、CKDstage4以降の方や尿路結石の既往がある患者さんには基本的に使用しません。

痛風の治療

痛風発作時には主に痛みに対して治療を行います。痛風発作中は安静、冷却、禁酒がした上で薬物療法を行います。コルヒチン、NSAIDs、副腎皮質ステロイド薬などを使用します。

発作の初期(前兆期)にはコルヒチン1錠(0.5mg)を使用します。症状の経過をみて症状が強い時はNSAIDs(インドメタシン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプロフェンなど)を短期的に多量に投与します。それでもコントロールが付かない場合は副腎皮質ステロイド薬も短期的にして痛みを抑えます。(この時に市販の鎮痛剤などでアスピリンが入っているお薬は発作を長期化させるので飲まない方が良いです。)

要注意なのは、痛風発作時に尿酸を急に下げるのは痛みを長期化させるので発作が収まり2週間ほど経つまでは経過をみます。(既に内服している場合は内服継続します。)その後に尿酸を下げるお薬を少量から開始します。この時に少量のコルヒチンを併用すると良いと言われています。)3-6ヶ月かけて尿酸値6.0mg/dl以下を目指します。

診療依頼はコチラ > 記事の一覧へ >

管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
管理人近況
  • (2018.11.04)
    ファンデリー様企画の数百人規模のイベント「ミールタイム健康フェスタ」で『生活習慣病の食事療法・運動療法の最新の知見』と題して講演させて頂きました!
  • (2018.10.27)

    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

  • (2018.10.10)

    ジャパンヘルスケアベンチャーサミットでCKDオンラインを発表しました!

  • (2018.09.21)

    日経メディカル様に取り上げて頂きました!詳しくはこちらへ!

    リンク先はこちら

  • (2018.09.06)

    週刊東洋経済2018/9/8号で少しお話させて頂きました!

     

管理人近況の一覧はコチラ