No.7 CKDと食事について 〜基礎編〜

No.7 CKDと食事について 〜基礎編〜
No.7 CKDと食事について 〜基礎編〜

腎臓内科医の森 維久郎です。今日は食事について書きます。

CKDの治療で食事療法は非常に大切です。一方で食事の情報があまりに多すぎて何が正しいかわからずノイローゼになる患者さんが一杯いるのでこの記事では本当に大切なことに絞って書いていこうと思います。詳しい記事は「食事」、「豆知識」のカテゴリーでお伝えしようと思います。

塩分

一番大切なのは減塩です。目標は3-6g/日以下を目標にしましょうと言われています。日本人が塩分好きで10-11g/日の塩分摂取をしていると言われており、日本人平均の1/3-1/2にするのが望ましいと言われています。

ただし、こんな事言うと怒られるかもしれませんが、3-6g/日以下なんて無理で、実際にCKDの患者さんで塩分6g/日以下を達成している人は10-20%ぐらいしかいないという報告もあります。

またCKDの患者さんで味覚が低下している可能性があり、塩っ辛いものを食べないと満足出来ない身体になっていて人より多く塩分を摂ってしまう傾向にあるそうです。

とはいえCKDでは塩分→血圧→腎臓→味覚という悪循環が起きるので、この循環を止める必要があります。

よって中々達成できない減塩を頑張って達成させる必要があります。

幸いにも減塩をすると味覚が良くなると考えられており、実際減塩を数週間続けると慣れて塩分の濃いものを嫌がる患者さんが結構いらっしゃいます。

また減塩をすると、血圧が下がります。私の経験では、減塩食を1週間程食べた結果、普通に血圧が10-20mmHg程下がり降圧薬が少なくなった患者さんが一杯います。

血圧はCKDの治療で一番大切です。腎臓の障害を抑えるだけでなく脳や心臓への負担を減らす事ができます。収縮期血圧10mmHg、拡張期血圧5mmHgの低下で脳梗塞、脳出血になるリスクが約40%低下して、心筋梗塞のなるリスクが約20%低下するという報告もあります。

減塩を達成させるにはテクニックが必要です。ダシを使ったり、酢を使ったり、香辛料、レモンなどをうまく利用します。ここらへんは栄養士さんと相談するのが一番良いので私は栄養相談を積極的にオススメしています。

時折、6g/日という値にこだわる医療者、患者さんがいますが、私は6g/日にそこまでこだわる必要はないと考えております。15g/日よりも12g/日の方が良い、12g/日よりも8g/日の方が良いと考えて貰えればよいです。その代わり長期的に治療していきましょう。

水分

CKDが進行して尿量が少なくなると身体にとって不要な水分が貯まり、浮腫になったり、心臓に負担がかかるのでその場合は飲水制限をしてもらいます。

患者さんの状態によるのですが、心不全があったり、糖尿病による合併症が強くない限りはCKDstage4後半くらいまで大きな制限をしなくても良いと私は考えております。

「水分は少なければ少ない程良い」と考えている人が結構いるのですが、結局バランスなのです。夏場では脱水になる方が腎臓を悪くするので飲水制限は逆に良くない可能性があります。常識の範囲内で喉が乾いたら飲むというイメージで自己調整をしてもらっています。

CKDの進行具合をみて適宜ラシックスなどの利尿薬を開始して水分のバランスをコントロールします。

タンパク質

タンパク質に関しては、諸説諸々あり医師の間でも意見が割れます。タンパク質を制限すると腎臓への負担が減り、保護する方向に進むと考えられているのですが、一方でタンパク質を制限した分、他の炭水化物や脂質で補う必要があります。栄養士さんのような食事管理が出来ればまだ良いのですが、正直難しいと思います。

結果、タンパク質を減らそうと頑張ったけど、結果食事量そのものが減ってしまい、筋肉が衰えて衰弱しきってしまう患者さんが一定数います。なので私は高齢者には若くてガッチリした人にはタンパク制限を勧めますが、その他の方には積極的にタンパク制限をしないようにして、摂りすぎないように心がけてもらう程度にしています。

また植物性タンパク質と動物性タンパク質であれば、植物性タンパク質の方が良さそうなので、肉などの動物性のタンパク質ではなく豆腐などの植物性のタンパク質、加えて魚のタンパク質がベターという話をしています。

またハム・ソーセージなどの加工食品には添加物が多く入っており、心臓などの動脈硬化に関わるリンという値を増やす可能性があるのでこういった食事は控えめの方が良いと伝えています。

野菜・果物(カリウムについて)

カリウムが身体に貯まり過ぎると心停止になる可能性があり、要注意なのですが、こちらに関してもCKDstage4になった頃から気をつけてもらう程度にしています。

カリウムも結局バランスの話になります。野菜・果物は適量であればしっかり食べたほうが良いとされているのですが、食べ過ぎると心停止する可能性があるので要注意という話なのです。

この記事では基本的な話を触れましたが、詳しいお話が希望の方はこちらの記事にガッツリまとめましたのでこちらをご参照ください。(食事療法についてまとめました。)

次は運動療法です。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
管理人近況
  • (2018.11.04)
    ファンデリー様企画の数百人規模のイベント「ミールタイム健康フェスタ」で『生活習慣病の食事療法・運動療法の最新の知見』と題して講演させて頂きました!
  • (2018.10.27)

    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

  • (2018.10.10)

    ジャパンヘルスケアベンチャーサミットでCKDオンラインを発表しました!

  • (2018.09.21)

    日経メディカル様に取り上げて頂きました!詳しくはこちらへ!

    リンク先はこちら

  • (2018.09.06)

    週刊東洋経済2018/9/8号で少しお話させて頂きました!

     

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