CKDと貧血について

CKDと貧血について
CKDと貧血について

腎臓内科では、ネスプやミルセラという薬を良く使用します。患者さんに腎臓と貧血の関連がよく分からないと質問されるので、改めて貧血と腎機能障害について書いてみようと思います。

貧血、腎不全、心不全の関連とは?

上記の如く、貧血、心臓、腎臓は深い関わりがあります。

まず腎臓が悪くなると、貧血になるのは主に腎臓から分泌される血を作る作用のある『エリスロポエチン』という物質が減るからです。糖尿病がある場合、ない場合など個人差はありますが、慢性腎臓病(CKD)ステージ3bの状態になる頃から、エリスロポエチンの分泌が減り始めます。また、腎臓が悪くなると貯まる毒素や、赤血球という血の成分の寿命の低下が関わっていると言われています。

貧血が起きると、心不全に負担がかかりやすくなります。貧血という状態は、血の酸素の濃度が低くなっている状態をイメージして頂けると良くて、余分に心臓が頑張って酸素を全身に届ける状態が続いてしまいます。過去の研究データーでも貧血がある慢性腎臓病(CKD)患者さんは、そうでない患者に比べて、予後が良かったと証明されております。

具体的な治療は?

『ネスプ』や『ミルセラ』という造血物質を1ヶ月に1度受診してもらった際に投与します。これは個人的な印象にすぎないのですが、ネスプは早く効くタイプ、ミルセラは長期間効くタイプと考えていますが、実際はあまり変わらないとのことです。ネスプやミルセラを使用して貧血の指標である『ヘモグロビン』という値を11-13g/dlを目標にします。

ヘモグロビンが高ければ高い程良い訳ではありません。またこのヘモグロビンという値の変動が激しいのも良くないため、例えば14g/dlになって、いきなり休薬したりするよりはなるべく減量して対応して良いバランスが取れる量で調整します。

患者さんは良く副作用を気にされます。基本的な副作用は、5%程度の血圧上昇、血栓塞栓症、赤芽球癆が挙げられます。特に血栓塞栓症(具体的には脳梗塞、心筋梗塞)は稀ですが要注意です。ネスプやミルセラによって血液が濃くなってしまい、血が詰まりやすくなるからと考えております。そのため2ヶ月程の定期的な採血でしっかりヘモグロビンやヘマトクリットの値を評価しておく必要があります。また血栓リスクのある病気を持った患者さんには注意して投与します。

貧血の原因は腎臓以外にもある?

患者さんの中には、他の原因で貧血になっている方も多くいます。慢性腎臓病(CKD)患者での代表例が鉄不足です。採血の鉄、TIBC、フェリチンで評価します。鉄不足が原因で一生懸命ネスプやミルセラを打っても意味がありません。鉄剤を経口で100-200mg投与します。便が黒くなりますが問題ありません。また消化管から出血している可能性もあります。便が黒くなっていたり、便に血が混じっていたりするかをチェックします。慢性腎臓病(CKD)患者では味覚の異常が起きて食欲が落ち栄養不足になり、亜鉛や葉酸、ビタミンB12などが足りなくなる事もあります。

まとめると、腎臓を守るためには貧血の対策が必要です。貧血の原因は腎性貧血に限らず、鉄不足など様々な原因が考えられるためしっかり評価して行います。この記事が慢性腎臓病(CKD)の患者さんの疑問に答えるようになれば幸いです。

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