No.3 CKDと腎臓・透析 〜基礎編〜

No.3 CKDと腎臓・透析 〜基礎編〜
No.3 CKDと腎臓・透析 〜基礎編〜

腎臓内科医の森 維久郎です。今日はCKDと腎臓・透析について書きます。

CKDと透析について

CKDの治療戦略の最重要事項は「これ以上腎臓の障害を悪くしないようにして透析にならないようにすること」です。

腎臓は一度悪くなると良くはなりません。No2で触れたeGFRが現在の腎臓の能力を示しますが、このeGFRが徐々に低くなり目安15ml/min/1.73m2前後で透析・移植の準備を本格的に開始します。

ここで数年間の採血結果をみて年間でどのくらいeGFRが下がっているかを確認しましょう。

例えば現在のeGFR30で、年間5ずつeGFRが下がっているなら、このままだと後3年程で透析・移植の準備が必要になることが予想されます。少しでもこれ以上腎臓の障害が起きないようにして、4年、5年と透析・移植の準備が必要になる時期を遅らせるために治療します。

主な治療は、食事療法・運動療法・薬物療法です。それぞれの詳細は別記事で触れますが、食事・運動・薬の治療を行い、その結果「血圧」、「血糖値」、「タンパク尿」などを指標にして治療評価をしていきます。

腎臓と血圧

高血圧を治療せずに放置すると動脈硬化が進行します。腎臓は細い血管の集まりであり、高血圧による動脈硬化の影響を強く受けると言われています。動脈硬化が進行すると糸球体などの腎臓の正常な構造が壊れて腎臓の障害が進行します。

そのため腎臓病では血圧をしっかり管理するのが大切です。具体的には以下の目標血圧とします。

・タンパク尿が出ていない場合:140/90mmHg以下

・タンパク尿が出ていない場合:130/80mmHg以下

 (75歳以上の場合は150/90mmHg以下にすることもあります。)

腎臓病になると身体の様々なメカニズムが原因で血圧の薬が聞きづらくなります。腎臓病で血圧を目標値以下にコントロール出来ている患者の割合は2-3割しかいないという報告もあります。(Bakris GL AJKD 2000:36;646-661

腎臓と血糖値

日本で腎臓病が進行して透析になってしまう患者の4割程が糖尿病が原因と言われています。

糖尿病の状態が10年ほど続くと腎臓が痛み始めます。そのため血糖値をしっかりコントロールして腎臓が悪くならないようにする必要があります。年齢にもよりますが、早い段階でHbA1c7.0%以下の状態を保つことによって腎臓の障害を遅らせる事ができます。

一方で、ある程度腎臓の障害が進行してからだとそこから治療を始めても腎臓の障害を止めることができなくなると言われています。腎臓の能力が下がる前に、尿に「アルブミン」というタンパク質が漏れ出るようになります。

この「アルブミン」の量が少ない段階で治療を開始出来るとある程度進行を食い止める事ができると考えられており糖尿病の方は定期的に尿検査を行うのが望ましいと考えられています。

腎臓とタンパク尿

糖尿病や高血圧などが進行すると様々なメカニズムを経て腎臓に障害が起きます。腎臓には身体に必要な物質を外に出ないようにする働きがありますが、腎臓が障害されると身体に必要なタンパクが尿として外に漏れ出てしまいます。

「尿タンパク」とは、腎臓が現在障害されており「腎臓がSOSを発している」みたいな状態を意味します。

「eGFR」が「現在」であれば、「尿タンパク」は「未来」と言い換えることが可能です。血圧や血糖値をしっかりコントロールすることによって「尿タンパク(アルブミン尿)」が減ると腎臓の障害のスピードを抑える事ができると考えられています。

今日はCKDと腎臓についてお話をしましたが、実はCKDの場合、腎臓だけでなく心臓や筋肉など多臓器に渡る障害があるためこちらの治療が大切になります。次回はCKDと心臓について触れたいと思います。

N0.4 CKDと心臓はこちら

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