健康診断で血尿と言われたらどうすればよいか

2017.08.07
健康診断で血尿と言われたらどうすればよいか
健康診断で血尿と言われたらどうすればよいか

今日は血尿について書きたいと思います。ちなみここで言う『血尿』とは、見た目血尿にみえないのに顕微鏡でよくみると血が混じっている『尿潜血』の事を言います。血尿の原因は、腎炎、IgA腎症などの腎臓内科領域の疾患、尿路結石や膀胱癌などの泌尿器科領域の疾患、あるいは過度の運動によるものなどさまざまです。腎臓内科医としては腎疾患において『蛋白尿』と同じで『血尿』も腎臓のSOSの役割を担う事が多くあります。

本当に血尿なのかを確かめる。

健康診断で血尿を指摘されても、本当に血尿じゃない事があります。あくまで健康診断で行う尿検査は『簡便でざっくりした結果』を出すための検査です。尿検査にはより詳しく調べる事ができる尿『沈渣』という検査があります。

尿『沈渣』では実際の血液の成分の『数』と『形』を見る事が出来ます。健診のざっくりした検査で『潜血陽性』と出てしまっても実際『数』を数えてみたら無かったという事も多々あります。(ビタミンCは検査前は取らないようにしましょう。)

近くの開業医など医療施設で簡単に調べる事が出来るので確認しましょう。

また『数』だけではなく『形』も重要な情報になります。

腎臓という臓器は尿の通り道が細く、赤血球が壁にぶつかりながら前に進むため、結果的に赤血球がボコボコになって尿として出てきます。これを『変形赤血球』といいます。一方で腎臓よりも下流から出血した場合は変形せずに尿として出てきます。(厳密には変形する事もありますが・・・。)

血尿かを確かめるために『尿沈渣』の検査をする。

(ちなみに女性は生理の時期を外しましょう。)

腎臓内科または泌尿器科にかかる。

実は『血尿』はどこの専門科にかかれば良いか、医療関係者でもすら良く分からないというのが現状です。基本的には『腎臓内科』か『泌尿器科』です。

http://www.matsunami.co.jp/senmonsinryou/img/jin_1.jpg

腎臓内科は『腎臓』をみます。上の図の豆みたいな臓器ですね。それに対して泌尿器科は『腎臓以外の尿路系』をみます。腎臓から出血しているか、腎臓以外から出血しているかで受診する診療科が変わります。(めんどくさいですよね、ゴメンナサイ・・・。)

どっちから出血しているかを判別するために二種類方法があります。

尿検査で蛋白尿があるか(+以上)をみる。

腎臓になんらかの障害があれば血尿と一緒に蛋白尿が出て来る事が多いです。蛋白尿の記事でも伝えましたが、『蛋白尿1+以上かつ潜血1+以上』は基本的に腎臓内科受診で良いと思います。(早朝尿だとベスト!)大事なのでもう一回書きましょう。蛋白尿が出ている血尿は腎臓内科を受診。

尿沈渣(試験紙よりも更に詳しく調べた尿検査)で赤血球に変形がないかをみる。

腎臓の疾患であれば変形赤血球を認めます。変形赤血球があれば腎臓内科受診で良いと思います。蛋白尿が出ていなくても、変形赤血球があれば腎臓内科を受診。

以下の場合は泌尿器科にかかる方が良いと思います。

1:蛋白尿で出ていない

2:変形赤血球が出ていない

実はこのプロセスは血尿のガイドライン(教科書みたいなもの)にしっかり記載されています。

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腎臓内科を診療する場合は、内科的疾患であるIgA腎症、血管炎、腎硬化症などが考えられるため、採血、採尿、画像検査などを行い、最終的に必要があれば腎生検で診断をつけます。それに対して、泌尿器科を受診する場合は、尿路上皮癌や結石などが考えられるため細胞診という尿の検査や画像検査、強く疑う場合は最終的に膀胱鏡を行います。

大きな病院行ったほうが良いですかという質問をよくされます。これに答えは無いのですが、私個人の感想としては、専門医を標榜しているクリニック、つまり泌尿器科クリニック、腎クリニックみたいなクリニックであれば採血、採尿、細胞診、画像検査までは出来ると思いますので、大丈夫だと思います。遠い、待ち時間の長い大病院に行くよりは、近くて、比較的待ち時間の短いクリニックをまず受診して、それでも精密検査が必要と判断すれば大病院を受診すれば良いと思います。

まとめると、

①かかりつけの内科で尿沈渣を測定する。

②結果に基づいて、必要であれば『泌尿器科』もしくは『腎臓内科』に紹介してもらう。

の流れが患者さんにとって一番スムーズだと思います。

健康診断で血尿を指摘されても、実際は血尿ではなかったり、治療が必要でない事もありますが、腎臓内科医としては『蛋白尿』と『血尿』が両方ある人は、放置すると若くして透析になるような病気が進行してしまい、手遅れになってしまう患者さんをそこそこ現場で見ているのでお忙しい中大変恐縮ですが、一度かかりつけの内科で『尿沈渣』を測定してみる事をおすすめします。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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