腎臓リハビリテーションについてまとめました。 〜運動で腎臓を守れ!!〜

2019.03.04
腎臓リハビリテーションについてまとめました。 〜運動で腎臓を守れ!!〜
腎臓リハビリテーションについてまとめました。 〜運動で腎臓を守れ!!〜

腎臓内科医の森です。ほんの10年程前「腎臓病の患者は運動をしてはいけない」と言われていたのですが、ここ数年、運動が腎臓にとって良いのではないかという報告が世界中からされており、腎臓リハビリテーションという概念が誕生しました。今日は、腎臓と運動の話、腎臓リハビリテーションについて書きます。

腎臓リハビリテーションとは?

腎臓リハビリテーションとは、腎臓病、透析患者さんに対して行われる運動を中心としたプログラムを言います。腎臓病の患者さんの特徴は、後でも触れますが腎臓が悪いだけでなく、心臓、骨、筋肉など多岐に渡り影響を受けており、また身体的だけでなく精神的な影響を受けていることもあります。また、腎臓病の治療は医学的な要素より本人の生活習慣に依存する要素が重要であり、指導・教育をしていくことが非常に重要になります。

腎臓リハビリテーションガイドラインには腎臓リハビリテーションについて以下のように記載されています。

「腎臓リハビリテーションとは、腎疾患や透析医療に基づく身体的 ・精神的影響を軽減させ,症状を調整し生命予後を改善し心理社会的ならびに職業的な状況を改善することを目的として、運動療法、食事療法と水分管理、薬物療法、教育、精神・心理的サポートなどを行う。長期にわたる包括的なプログラムである。」(腎臓リハビリテーションガイドライン)

単に運動をするだけでなく、食事、薬物治療とリンクさせて治療を行っていく必要があり、理学療法士だけでなく、医師、看護師、栄養士などがダッグを組んでいくことが望ましいと考えられています。

まだ、限定的ではありますが、日本では医療費として腎臓リハビリテーションが保健収載されており今後注目されている治療です。今日は、腎臓病と身体機能や医学的な話について触れて具体的な評価項目、具体的な運動方法について触れます。

腎臓病になると身体が衰える??

腎臓が悪くなると、透析になるだけなく、心筋梗塞、心不全、脳梗塞、脳出血など心血管疾患になるリスクが上がると言われてます。実は、腎臓病の患者さんでは透析になる人よりも心血管疾患で無くなる率の方が圧倒的に多く、腎臓病の患者さんにはしっかり心血管疾患、心臓・脳を守ることが重要視されてきました。

加えて近年注目されているのが、腎臓病患者における筋力・骨・体力の低下です。腎臓病の患者さんでは健常者に比べて身体機能が7割まで低下することが報告されています。実際、腎臓病の患者さんの中でフレイルという身体機能が衰えて虚弱の状態になった患者さんは腎臓病が進行すればするほど、数倍に増えていきます。また透析患者では12.5%が1日の半分以上を寝たきりの状態で過ごしていると言われています。

(Am J Nephrol. 2013;38(4):307-15)

腎臓病で身体機能が落ちる原因はまだはっきりと解明されていませんが、腎臓病が進行すると身体の毒素が溜まり筋肉の衰えを助長することや腎臓病が進行することで貧血が進行すること、腎臓病で食事摂取量が低下すること、腎臓病で認知機能低下が生じていて活動量が低下している可能性など様々な要素が関与していると考えられています。

(CJASN 2014 9;1183-1189)

また歩行の習慣がある人は、ない人に比べて死亡率が大きく変わるため身体機能を保つことは非常に重要な治療戦略になります。上の研究では週5日以上の歩行の習慣がある人はそうでない人に比べて40%も死亡率が異なることが分かっています。

腎臓リハビリテーションで身体機能を改善させる!

過去に運動療法を行うことで身体機能がよくなることを報告した研究が世界中から報告されています。有酸素運動、軽いレジスタンス運動、生活習慣(歩数など)を変えることで最大酸素摂取量、6分歩行距離、握力などが改善することが報告されています。(最大酸素摂取量、6分歩行距離については後で詳しく説明します。)

腎臓病の患者さんに運動療法を行っても身体機能は衰えるのを予防することが出来ても、改善は流石にしないんじゃないかとも思われていたのですが、しっかり運動をすることで改善することが最近わかってきました。

腎臓リハビリテーションで透析を遅らせる!

近年運動を行った事で腎臓を守られているという研究結果が数件報告されるようになりました。特に一番有名なのがAJKDという腎臓領域で有名な科学誌より2015年に発表された研究結果です。

この研究は、リハビリテーションを行ったグループ(週3回有酸素運動を行った人達)と、そうでない患者のグループを分けて腎臓の機能の推移をみた研究です。(点線:リハビリテーション、実線:そうでない)縦軸がeGFR(腎臓の機能)を示しており、横軸の時間軸です。

(腎臓リハビリテーション学会作成資料参照)

前半12ヶ月は両方のグループ運動療法を行わず観察を続けて、後半の12ヶ月でリハビリテーションを行うグループは運動療法を、そうでないグループは観察を続けました。結果、点線の後半の如く、腎臓の機能を示すeGFRという値が上昇する結果となりました。

これは驚くべき結果で、基本的に腎臓の機能は一度悪くなると良くならないと言われてきたにも関わらず、今回の研究結果ではeGFRが上がっており、世界中で話題になりました。

この研究結果だけで全ての腎臓病患者で『運動をすれば、腎臓が良くなる』と言うことは早計ですが、腎臓病に対する治療は限られており様々な取り組みがされている中で気軽に出来る運動という手段が腎臓病の治療になることは非常に画期的なことです。

ただし、この研究で行われている腎臓リハビリテーションはかなり特殊で週3日の内、週2日は医療機関を受診し、週1日は自宅で自主トレーニングを行ないこれを1年間続けるというプログラムです。
医療機関に受診したときは有酸素運動と筋力トレーニングを行い、筋力トレーニングはベンチプレス、プルダウン、アームカール、レッグプレス、膝伸展、ハムストリングカール、カーフレイズなどを1つの競技で10回×1-2set、(徐々に3セットにしていく)を行います。自宅ではセラバンドやスクワットなどを行ないます。
このプログラムを日本に1300万人もいる腎臓病患者さん全員に行うのが医療資源の観点から不可能であり、医療保険もここまでカバーは出来ていません。結果、このプログラムを提供している医療機関は私の知る限りありません。
私自身は2020年に開業するのですが、なるべくこのプログラムに近い腎臓リハビリテーションプログラムを提供しようと思っていますが、医療機関として提供する難しさを痛感しています。(恐らく自費リハビリテーションになりそうです・・・。)
ただし。この研究以外にも、少しずつ同様の研究結果が他の研究グループから出てきており、日頃の歩数を増やすだけでも身体機能が改善する報告も出ており、もしかしたら腎臓を守る作用があるかもしれないと前向きに考えられています。

腎臓リハビリテーションの身体機能評価(医療関係者以外は読み飛ばし可)

ここからは腎臓リハビリテーションの身体機能評価について書きます。(書いた後に気付いたのですが、かなり専門的なため一般的な患者さんには必要のない情報かもしれません。次の項まで読み飛ばして下さい。)

腎臓リハビリテーションにおける運動耐容能の評価

運動療法を行う際には、患者さんの運動の負荷に耐える力である「運動耐容能(うんどうたいようのう)」を評価する必要があります。

1)Borg指数を使った評価

一般的なリハビリテーションではBorg指数(ボルグ指数)という指標を使います。Borg指数は、運動を行う本人がどの程度の疲労度、「きつさ」を感じているかを測定する指標です。「非常に楽である」から「非常にきつい」までの自覚症状を6~20の数値で表されています。

一方で、腎臓病の患者さんは心臓に病気を抱えていたり、糖尿病、高血圧、肥満例が多く、普段から運動習慣がない患者が多いため正確性は乏しい可能性があります。

2)運動負荷をして呼気ガス分析を行う評価

心肺運動負荷試験(しんぱいうんどうふかしけん)というトレッドミルや自転車エルゴメーターなどの運動負荷装置を使って負荷をかけながら運動をしてもらい、心電図及び連続呼気ガス分析などで呼気中の酸素濃度二酸化炭素・換算量を測定する方法で評価をします。

具体的な指標として最大酸素摂取量(VO2Max)、嫌気性代謝閾値(AT)、VE/VCO2 slope、⊿VO2/⊿WRなどが測定できます。かなり専門的なので読まなくても大丈夫ですが、一応最大酸素摂取量(VO2Max)と嫌気性代謝閾値(AT)について書きます。

呼気ガス分析装置による評価を行い客観的な連続記録を行うことでより詳細な運動耐容能を評価する事ができると同時に、心臓のポンプの評価、運動療法の評価の指標として評価できます。

最大酸素摂取量とは1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量を示します。この酸素摂取量は加えて心臓のポンプから出る血液の量である心拍出量や、エネルギー代謝量、運動強度の指標として使用されます。

嫌気性代謝閾値とは、運動負荷をかけたときにある程度まで負荷がかかると特別な筋肉の代謝の働きが起きて乳酸という物質が出るようになり、その時の最大酸素摂取量が嫌気性代謝閾値といいます。嫌気性代謝閾値は運動耐容能の指標、生命予後の指標として重要で運動療法を継続することで大きく改善する値です。

腎臓リハビリテーションにおける歩行機能評価

歩行機能評価では歩行速度、TUG(Timed up and go test)、6分間歩行テストなどが挙げられます。

1)歩行速度

10mの距離を歩いたときの所要時間から測定します。

2)TUG

肘掛け付き椅子から立ち上がり3mの歩行を行ってから方向転換をしてから椅子に戻るまでの時間を測定します。この尺度は歩行機能、転倒リスク、QOLなどとの関連性が高く様々な領域で使用されている指標です。

3)6分間歩行テスト

平坦な場所でストップウォッチを使って6分間の間にどれだけ歩くことが出来るかを調べる検査です。歩行中に心拍数、呼吸状態、血圧などを測定して全身的な評価を行うこともあります。

腎臓リハビリテーションにおける筋力評価

徒手筋力検査法、HHD、トルクマシンなどを使って筋力を測定する方法があります。様々な方法があります。筋肉の中で一番測定されるのは膝を伸ばす筋力である膝伸展力です。

1)トルクマシン

一番信憑性に優れるのはトルクマシンで検査をすることですが、高価なため一般的ではありません。

2)HHD(hand-held-dynamometer)

HHDという携帯性に優れて10万円程度で買える機材を使って筋力測定を行うのが一般的です。

3)徒手筋力検査法

機材なしで理学療法士などが力をかけることで測定出来るのが徒手筋力検査法です。

また筋力そのものではなく立ち上がりが何回出来るかなどを測定することで評価する方法があります。

4)30秒椅子立ち上がりテスト(CS30)

30秒間に何回立ち上がれるかを調べています。下肢進展筋力との関連も報告されています。30秒間できつい高齢者の場合、10秒間で行うCS-10という指標を使うこともあります。

5)5回椅子立ち上がりテスト(SS-5)

5回の立ち上がりを何回行うかを調べています。

腎臓リハビリテーションでは栄養評価も大事

近年リハ栄養という概念がある程、どれだけ運動をしてもしっかり食事を取れていなければ意味が無い、逆に筋力を衰えさせてしますことが分かっています。そのため腎臓リハビリテーションでは栄養状態も評価する必要があります。SGA、GNRI、MNA-SF、PEWが有名なので4項目について触れますが、どの評価が一番望ましいというのはありません。患者さんは読み飛ばして下さい。

1)SGA(主観的包括的評価)

病歴と身体検査の結果で栄養状態を良好、中等度不良、高度不良に分けて評価します。評価の項目は以下の如くです。

病歴
①年齢、性別
②身長、体重、体重変化(過去6ヶ月間と過去2週間)
③食物摂取状況の変化(期間、食形態)
④消化器症状(2週間以上の持続:悪心、嘔吐、下痢、食思不振)
⑤ADL(期間、日常生活可能、歩行可能、寝たきり)
⑥疾患と栄養必要量との関係

身体検査
①皮下脂肪の減少
②筋肉の損失
③浮腫
④腹水

2)GNRI

アメリカで作られた指標で高齢者の入院患者の予後予測のために作られ.握力に相関したり、生命予後を予測することが可能と言われている。透析患者では血清アルブミン、身長,ドライウエイトを用いて算出できて簡便な方法である。一般的には以下の計算式で値をだすこと出来る。

計算式:(1.489×血清アルブミン値)+(41.7×体重÷理想体重)

理想体重→22×身長(m)×身長(m)もしくは男性:身長(cm)-100-{身長(cm)-150}/4、女性:身長(cm)-100-{身長(cm)-150}/2.5

この計算式で82未満が高リスク、82-92が中リスク、92以上が低リスクになります。

3)MNA-SF

以下6項目を評価して、14点満点で12-14点で栄養状態良好、8-11点で低栄養状態の恐れ、0-7点以下なら低栄養状態とする。

①過去3ヶ月間の食事量減少
②過去3ヶ月間の体重減少
③自力歩行
④神経・精神的問題
⑤過去3ヶ月間の精神的ストレスと急性疾患
⑥BMI(もしくは下腿周囲長)

4)PEW

PEWとは身体の蛋白と体脂肪の蓄積が減少した状態です。診断基準は以下の如くです。下記四つのクライテリアのうち三つ該当すれば PEW と診断する 。

●血液生化学(下記のうちどれか 1 項目) 
血清アルブミン<3.8 g/dL
血清トランスサイレチン<30 mg/dL
血清総コレステロール<100 mg/dL 

●体格検査(下記のうちどれか 1 項目) 
BMI<18.5 kg/m2 (欧米人では<23)
意図しない体重減少→3カ月間に5%または6カ月間に10%以上 
体脂肪率<10% 

●筋肉量(下記のうちどれか 1 項目) 
筋肉消耗→3カ月間で 5%、6 カ月間で 10%以上 
クレアチニン産生率 2 カ月間で 5%,6 カ月間で 10%以上 
上腕筋囲面積→健常人の平均より 10%以上低値 

●食事摂取量(下記のうちどれか 1 項目) 
意図しない低たんぱく質摂取→少なくても 2 カ月間 0.8 g/ kg/ day未満 
意図しないエネルギー摂取→少なくても 2 カ月間 25 kcal/kg/day 未満

サルコペニア・フレイルの評価

1)サルコペニア

サルコペニアとは加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こることを指します。サルコペニアの評価はコンセンサスが無いのですが、以下の3項目を認めればサルコペニアということができます。

・筋力低下(握力:男性26kg未満、女性18kg未満)

・身体機能低下(歩行速度0.8m/秒以下)

・骨格筋量減少(DXAで男性7kg/m2以下、女性5.4kg/m2以下。もしくはBIAで男性7kg/m2以下、女性5.7kg/m2以下)

2)フレイル

フレイルとは高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し,生活機能障害,要介護状態,死亡などの転帰に陥りやすい状態のことを指します。身体的問題のみならず,認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題,独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念なのが特徴で、身体的フレイル、認知的フレイル、社会的フレイルに分けることができます。

身体的フレイルの評価にはFriedらのフレイルの評価基準を使用します。

1体重減少

2主観的疲労感

3日常生活活動量の減少

4身体能力(歩行速度)の減弱

5筋力の低下

フレイルの評価基準の5つの項目のうち、3項目以上該当した場合をフレイル、1~2項目該当した場合をプレフレイル、該当項目が0の場合は健常と判断されます。

認知的フレイルには軽度認知障害を認めた場合該当と考えます。(ただし、認知症は除く。)

社会的フレイルには

1独居である (はい)

2昨年に比べて外 出頻度が減っている (はい)

3友人の家を訪ねている (いいえ)

4家族や友人の役に立っ ている と思う (いい え)

5誰かと毎日会話をしている(いいえ)

これら 5項目のうち2項目以上があてはまると社会的フレイル、 1項目該当の場合を社会的プレフレイルと判断します。

腎臓リハビリテーションにおけるADL・QOLの評価

ADL(エーディエル)とは、人が生活を送るために行う活動の能力のことです。腎臓病の患者さんでは身体機能が衰えて日常生活をおくることが出来なくなりやすいため評価します。指標としてはBarthel Index、FIMなどを使用します。Barthel Indexはシンプルに活動能力を評価して、FIMは能力だけでなく実際の活動や実行の状況を評価できます。またIADLといって複雑な食事の準備、服薬管理などの評価でありIADL尺度という評価を使用します。

QOL(キューオーエル)とは、一人一人の人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことで健康に関連したQOLをHRQOLといいます。NRQOLの評価指標として、SF-36、SIP、WHOQOL、EQ-5Dなどがあります。また腎疾患患者のQOL尺度としてKDQOL、糖尿病の患者のQOLとしてPAID、がん患者のQOL尺度としてEROTCQOLなどがあります。

腎臓リハビリテーションの具体的な運動方法

腎臓リハビリテーションの実際の運動内容

A 有酸素運動:水泳、サイクリング、ウォーキングなどを、1回につき20-60分、1日あたり1-2回、週3-5日程度の頻度で行います。心地よく息が切れる程度の負荷で無理なく休憩を入れながら行います。強度は高齢者では普通の歩く程度、中高年では早歩き程度、若年者では軽いジョギング程度を目安にしますが個人差が大きくあります。運動耐容能の増加、骨が強くなる、体脂肪が減る、高血圧・糖尿病のコントロールがよくなるなどの効果があります。

B 軽い筋トレ(レジスタンス運動):バンド、腕立て、可能であればダンベルを使用して、週2-3日の頻度で行います。1セットで15回程行える負荷で、各種目1セット行います。徐々にセット数、負荷の量を増やしていきます。筋トレというとバーベルや腹筋などを連想されますが、なかなかそこまで出来る患者さんはいないので、ゴムバンドなどを使う負荷トレーニングをおすすめします。

C 柔軟体操:一般的なストレッチを週2-3日で行うのが望ましいです。

私の外来患者さんには万歩計を買って、歩数を図ってもらっています。iphoneのようなスマートフォンのアプリケーションで図ってもらって構いません。ちなみに、私も毎日万歩計で歩数を測定しています。患者さんの中には、私以上に歩いてドヤ顔をする方もいます。そのくらいの勢いで歩行してもらえると結果が付いてきます。歩数の目標は、今までの歩数の1000歩以上の歩数を目指してもらい、徐々に増量していきます。

腎臓リハビリテーションをしてはいけない患者について

腎臓リハビリテーションを行って良い患者さんはあくまで安定した患者さんです。腎臓病の患者さんは心臓に何らかの異常を抱えていたりリスクが上がる可能性があるのでリスクをしっかり評価します。負荷心電図などを測定します。また糖尿病を合併していることも多く、眼の障害、神経の障害、足病変がある際はリスク評価を行います。具体的には脈波検査、眼底検査などを行います。腎臓病が進行して、全身浮腫があったり、電解質異常がある場合も要注意です。

絶対禁忌の場合は行わず、相対的禁忌の場合はメリットが上回らない限り行ないません。行う場合も専門的な施設で行うことが望ましいと考えられています。心臓リハビリテーションの絶対禁忌、相対的禁忌、中止基準を以下に載せます。腎臓リハビリテーションは心臓リハビリテーションを参考に作られており、よく参考にされます。

<絶対禁忌>

2日以内の急性心筋梗塞、内科治療で安定していない不安定狭心症、自覚症状または血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈、症候性の高度大動脈弁狭窄症、コントロール不良の症候性心不全、急性の肺塞栓症または肺梗塞、急性の心筋炎または心膜炎、急性大動脈解離、意思疎通の行えない精神疾患

<相対的禁忌>

左冠動脈主幹部の狭窄、中等度の狭窄性弁膜症、電解質異常、重度高血圧(収縮期血圧200mmHg以上、拡張期血圧110mmHg以下)、頻脈性不整脈または徐脈性不整脈、肥大型心筋症またはその他の流出路狭窄、運動負荷が行えない精神的・身体的障害、高度房室ブロック

<運動負荷試験の中止基準>

症状:胸痛、呼吸困難、失神、めまい、ふらつき、下肢疼痛

兆候:チアノーゼ、顔面蒼白、冷汗、運動失調

血圧:血圧低下、異常な血圧上昇

心電図:明らかな虚血性変化、調律異常(異常な頻脈・徐脈、心室頻拍、心房細動など)

腎臓リハビリテーションの今後に期待!

腎臓リハビリテーションについて、かなり詳しい所まで書きました。『運動制限』→『運動推奨』という大転換を経て、腎臓病の治療で運動療法は非常に重要な要素になるのは間違いなさそうです。

ただ、まだまだ科学的根拠としては情報が足りないため今後新しい情報が出てくると思います。その度に情報提供させて頂きますので宜しくお願いします。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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  • (2018.10.27)

    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

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  • (2018.09.21)

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  • (2018.09.06)

    週刊東洋経済2018/9/8号で少しお話させて頂きました!

     

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