ネフローゼ症候群:尿から大量の蛋白が漏れる病気

2017.08.12
ネフローゼ症候群:尿から大量の蛋白が漏れる病気
ネフローゼ症候群:尿から大量の蛋白が漏れる病気

今日はネフローゼ症候群の話をします。以前、蛋白尿の話をさせて頂きました。

その蛋白が尿から健康な人の数十倍漏れている状態で、伴って血液の蛋白が足りなくなる状態をネフローゼ症候群といいます。採血検査、採尿検査をされて手元に結果がある方はその紙をみて頂くと、採血のアルブミン(Alb)という項目が低く、採尿の尿蛋白・クレアチニン(Cre)比という項目が高くなっていると思います。この蛋白が異常に漏れている状態の問題点は2つあります。

そもそも血液の蛋白が少ない事自体の問題。

皆さんもイメージがつきやすいと思いますがタンパク質は身体にとって必要な物です。筋トレの後、タンパク質を摂取するのもそうですが、血液の中でも様々な活躍をしております。

A:水分をkeepできなくなる。

タンパク質は水分を血液中に引っ張ってキープする役割があります。もしタンパク質が少なくなると血液中に水分をキープできないため、血管から水が漏れていきます。ホースをイメージしていただければ良いと思いますが、水やりをする時ホースから水が漏れていくと水やりができないと同じように、血管から水が漏れていくと心臓から送られた血液が全身に届かなくなります。

ネフローゼ症候群では腎臓に必要な血液が届かなくなり、腎臓が栄養不足になり下手をすると尿を作る事が出来なくなります。体の老廃物を出せなくなるため、ネフローゼの状態をほっておくと透析という人工的に老廃物を出すような医療処置が必要になります。(病態にもよりますが。)

B:免疫力が下がる。

実は免疫は、たんぱく質で出来ています。たんぱく質が尿から漏れるネフローゼ症候群は免疫を低下させます。ネフローゼ症候群ガイドラインという教科書みたいな本には免疫低下について強く言及していて、重症のネフローゼ症候群ではHIV/AIDSに匹敵するほど免疫が低下する事があります。

C:体が浮腫む

Aに付随しますが、水をkeepできなくなった状態で漏れて出て行った水は皮膚の下や、肺やお腹の中に留まります。皮膚の下に溜まるとパンパンになります。中には皮膚に炎症を起こしたりする事もあります。それより怖いのが、肺に水が溜まる事で呼吸が苦しくなったりします。

ネフローゼ症候群は腎臓内科医による専門的な治療が必要になります。

腎臓に何らかの異常がある事が問題。

腎臓は必要な物を取り込んで、不要な物を出す臓器です。基本的には蛋白は尿として出ていきません。蛋白尿が出ていれば、それが腎臓のSOSの可能性がありますが、今回のお題であるネフローゼ症候群はその『漏れるはずのない蛋白』が大量に漏れている状態であり、腎臓に大きな障害が起きていると考えられます。

腎臓の障害の原因としては微小変化型ネフローゼ、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体硬化症、糖尿病性腎症、アミロイドーシスなど多岐に渡ります。

原因を調べるには、問診に加えて採血、採尿、画像検査などを行いますが、最終的に腎生検という検査を行って診断するのが一番良い方法です。

ネフローゼ症候群は怖い病気

僕はブログで一貫として、不安を煽らないようにするというスタンスを保とうとしております。医者じゃないメディアが書くと結局『すぐに病院に行きましょう』って不安を煽ってばかりで、医療現場がそのせいで疲弊しているのを身をもって実感しているため、比較的安心なものは不安を煽らないようにしております。『もし忙しくて時間がないなら最悪amazonでこの試験紙を買って自分で検査しましょう』みたい情報提供も大事なのではないかとも思ってます。(医療行為ではないので自己責任ですが。)

しかしながら、ネフローゼ症候群は自分の中では怖い病気だと思っています。1週間で身体がむくんで体重が5kgぐらい増えて、呼吸が苦しくて、尿が出ないとか泡立ちが強いみたいな事があれば迷いなく、病院受診で良いと思います。

 

迷いがあるならamazonか薬局かなんかで取り敢えず試験紙でも買って調べてみても良いと思います。

ネフローゼ症候群は比較的若い患者さんにも起きるため、このブログが患者さん本人に届く可能性があると思って今週はこのテーマにしました。稀な疾患ですが、やはり早期発見、早期治療が良い病気です。役に立てば幸いです。

*私のブログを研修医の先生方や他の専門の先生方もみて下さっているとの話を聞いたので、ガイドラインを添付しておきます。ちなみに無料です。 ありがたいですね・・・。

エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2014』

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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