尿酸値が高い事で腎臓が悪くなる。

2017.10.21
尿酸値が高い事で腎臓が悪くなる。
尿酸値が高い事で腎臓が悪くなる。

2017年に書かれた記事で、2018年にアップデートされた内容の記事があるのでご参照下さい。

 

尿酸というと、痛風をイメージされる方が多いと思いますが、実は尿酸は腎臓を障害することが最近分かってきましたので、そちらに触れたいと思います。

 

尿酸は基本的に体内から作られるパターンと食べ物から摂取するパターンがあり、具体的には、肥満、ストレス、激しい運動、暴飲暴食で体内から作られて、食事としては干魚、レバー、卵、脂肪などに多く含まれています。

上記に書いてあるように、意外と食べ物から直接体内に作られるよりも、体内で合成される量が多いと言われています。肥満であったり、ストレスだったり、一瞬一瞬の食事摂取より、患者さんの長期的な生活が反映されると言われています。詳しくは『尿酸を下げよう.com』というサイトが見やすく書かれているので貼っておきます。( http://243sageyo.com/ )

 

腎臓の機能が下がると尿中に尿酸が排泄出来なくて血中の尿酸値が高くなると言われています。更に、元々腎臓が悪くなる背景として高血圧、糖尿病を有している事が多く、生活習慣が比較的安定していないため、尿酸値をしっかりコントロールする事が重要視されております。

 

近年腎臓内科領域では、尿酸が高いと腎機能が悪くなる可能性があるのではないと言われており、下記のような研究も出ております。

(CKD診療ガイド2012)

上記は、尿酸値が男性で7.0以上、女性で6.0以上とそれ以下の方で、末期腎不全になる確率を比較した結果です。この結果だけで、尿酸そのものが腎障害を起こす根拠にはなりませんが、事実として尿酸が高い患者さんは要注意という事には代わりがないという解釈が出来ます。高血圧が原因の腎障害、腎硬化症の患者さんや糖尿病性腎症の患者さんには特に尿酸値の管理をしていきます。

 

詳細なメカニズムは不明ですが、酸化ストレスと過酸化ラジカルという物質などが小さな細い血管の障害に関わっており、それらを多く含む腎臓の障害に繋がっているのでないかと言われております。最近、大阪市立大学が面白い研究をしていたので、貼っておきます。

『高尿酸血症が腎臓の機能障害の原因に 少しの異常でも腎臓に悪影響』

http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2017/009374.php

 

 

尿酸値は多くても、少なくてもいけないと言われておりますが、現代人の過食な食事摂取環境から基本的には異常低値になる事は少なく、実際の臨床現場では高尿酸血症のコントロールをする事が多いです。具体的には、アロプリノールという体内の尿酸の生成を抑制する薬を使っていました。しかしながら、腎臓の機能が悪くなると副作用が出る事もあるため容量を調整しながら投薬します。

 

最近ではフェブキソスタット(フェブリク)という薬も良く使われます。腎機能で容量調整が不要のため使いやすい薬ではありますが、新しい薬であり本当に腎障害を抑制するかは議論されている段階です。アロプリノールとフェブキソスタットを比較した研究がされており、フェブキソスタットも悪くないという研究もそれなりに出始めています。腎臓内科医の先生方でもフェブリクを積極的に使う先生も多くいます。

 

何度も言いますが、腎臓内科は医者の中でもマイナーな領域で、メインストリームは心臓や脳、癌などです。基本的に腎臓の事なんて考える暇もないくらい忙しい先生方が多く、個人的には、確証は持てませんが、他科の先生には容量調整の不要なフェブリクを勧めています。10mgが徐々に増量して40mgまで投与可能です。肝障害の副作用が一応報告されているため注意しながら増量します。

 

後、尿酸の話をする上で欠かせないのが、痛風発作時の対応です。痛風発作を起こすとロキソニンなどのNSAIDsを内服して痛みを止めます。しかしながら、ロキソニンを大量に飲むと腎障害があるためあまりオススメされません。そういう場合はステロイドを投与する方法があります。具体的にはプレドニゾロン15-30mgから開始して一週間ごと1/3ずつ減量する方法です。(この方法はCKD診療ガイド2012にもしっかり書かれております。)

 

尿酸が腎機能障害に影響するという事は、腎臓内科の中でも議論されている所です。しかし流れとしては尿酸をコントロール方向に向かっている印象です。記事が増えてきたら改めて現在注目されている論文やその研究の限界についても触れていこうと思います。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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