多発性のう胞腎の治療方法、トルパブタン(サムスカ)についてまとめました。

多発性のう胞腎の治療方法、トルパブタン(サムスカ)についてまとめました。
多発性のう胞腎の治療方法、トルパブタン(サムスカ)についてまとめました。

多発性のう胞腎とサムスカ

多発性嚢胞腎の患者さんで、以下のような条件に当てはまる患者さんにはトルバプタン(以下:商品名サムスカ)という使用することが出来ます。サムスカは難治性の心不全の患者さんでも一般的に使用される薬剤で、合併症に注意しながらもしっかり投薬して効果が期待出来る薬剤です。(心不全に使うときよりも量が多いため副作用には特に注意を要する必要があります。)

多発性嚢胞腎は腎臓などの臓器に液体の塊であるのう胞が出来て正常な臓器を圧迫して障害を引き起こします。多発性嚢胞腎は年が経つにつれてのう胞が少しずつ大きくなっていくのですが、サムスカを使用することでのう胞が大きくなるスピードを遅くして、腎不全で透析や移植が必要になるのを先送りすることが出来ると言われています。(病気そのものを治療する薬ではありません。)

一方で、尿量が増えてしまうため患者さんの中には、仕事柄内服することが困難であり内服を事態する患者さんも多くいます。

実際サムスカを始める場合は、認可を得た施設で処方する必要があります。サムスカ導入時は入院していただき、定期的に採血を行う必要があります。

サムスカの有効性について調べた科学的根拠

サムスカの有用性を調べた研究があります。簡単に紹介します。TEMPO3:4試験は日本人で行われた研究で、腎機能がまだ保たれている(eGFR60以上)方に対してサムスカが効くのかを調べて、最終的にeGFRの進行を27%減らして、腎臓の容積の増加率を50%程度減らすと報告されました。

REPRISE試験という研究では、比較的腎機能障害が進行した(eGFR25-65ml/min/1.73m2)の方に対してサムスカが効くのかを調べた研究で、最終的にはeGFRの低下速度を35%抑制するという結果が出ました。

一方で両者とも肝障害などの所見が報告されており、定期的な採血でフォローする必要があるとされております。

サムスカの副作用について

サムスカには主に肝機能検査や高ナトリウム血症などの副作用が報告されており、定期的に採血検査を行う必要があります。サムスカを飲むことで尿量が増えるため飲水をしっかり摂取する必要がありますが、水分補給が十分でないと高ナトリウム血症という体に塩分が溜まったような状態になってしまいます。しっかり飲水(2L〜6L/日)をしてください。また、グレープフルーツと一緒に飲まない、カフェイン・糖分の取り過ぎについても注意しましょう。

また一緒に内服してはいけない薬も多くあります。シメチジン、ラニリジン、シロスタゾール、フルボキサミン、タクロリムス、シクロスポリン、エリスロマイシン、フルコナゾール、ジルチアゼム、ベラパミル、クラリスロマイシン、テラプレビルなどCYP3A4阻害する薬が当てはまります。

サムスカに関して、患者さんにとって効果のばらつきがあり、尿量が増えることによるQOLの低下があること、さらに腎不全を先送りにする効果が期待できる一方で根本的な治療にはならないため適応のある患者さんとしっかり相談して話しをしていきます。

難病申請は可能です。

2015年から多発性嚢胞腎は難病に指摘されて、特定の条件を満たせば、医療費の助成を受けることが出来ます。

1:腎容積750ml以上かつ腎容積増大5%/年以上。

2:CKD重症度分類ヒートマップが赤の場合。

サムスカは非常に高価な薬剤なので、場合によっては難病申請を行う方が金銭的にメリットがある可能性もあります。収入によって5000〜20000円の自己負担をイメージして頂ければ良いと思います。一方で、難病申請自体にお金がかかり、あまり金銭的にメリットが無い場合もあります。(難病申請については今後、別記事でまとめます。)

診療依頼はコチラ > 記事の一覧へ >