本当に減塩で腎臓を守る事が出来るのか?

2017.10.21
本当に減塩で腎臓を守る事が出来るのか?
本当に減塩で腎臓を守る事が出来るのか?

『ネットで減塩は意味が無いという記事をみました。私の努力は無駄だったんですか?』

 

最近、患者さんに聞かれる事が多く、実際googleで調べてみると、減塩は意味がない、日本人は海に囲まれた国だから塩分を取っても大丈夫。塩分にはミネラルが含まれているから塩分はしっかり取らないとダメ、日本人は塩分を取っているから心臓が強い、みたいな事が書かれている記事が多く一度しっかり腎臓内科医として記事を残しておこうと思いました。なので減塩について触れたいと思います。

 

実は、意外かもしれませんが『減塩が無意味かもしれない』という論文もそれなりに出されており、『本当に減塩に意味があるか』という議論が現在でも世界中の研究者の間で行われております。

 

しかしながら、研究をする際に、塩分以外の要素を調整できない事や、食事が健康に与える影響を長期間追跡しないと結果が出ない事など、様々な方法上の限界があり、減塩によって腎臓が悪くなることを妨げたり、死亡率を改善させる事を示す絶対的に示す事は困難であり、高血圧領域、腎臓内科領域の見解では大方『減塩には意味がある』という事で一致しております。

 

私自身も減塩という治療に対して賛成派の立場で、慢性腎臓病患者の治療において非常に重要な治療の一つだと確信しております。特に糖尿病性腎症、高血圧による腎硬化症の患者さんは高血圧を有している事が多く、減塩をする事で血圧コントロールが良好になります。

 

私の個人的な肌感覚としては、高血圧の人が1週間ほど入院して減塩食を食べて生活すると血圧が10mmHgくらい下がります。結果的に飲んでいた降圧薬を減らす事が出来ます。減塩で血圧を減らす事が出来るという研究も数多く存在します。例えば下の図です。

英語で見づらいのですが、1988年に行われたIntersalt研究という研究では、横軸が塩分摂取量(の近似値)、縦軸が収縮期血圧を占めております。塩分摂取量が多い人程、血圧が高い可能性が示唆されております。(一方でこの論文の対象患者の設定や、塩分摂取量の測定方法などの限界は指摘されております。興味がある方はIntersalt studyでググって調べてみて下さい。)また、減塩をすると降圧薬自体の効果を高める事が出来るという研究結果も出ています。(Tone study)

 

具体的な1日の目標塩分摂取量は6g/day以下です。ちなみに日本人の平均塩分摂取量は10.7g/dayです。(ちなみに塩辛い者が好きな私は15g/dayでした・・・。)ちなみにWHOは5g/day以下を推奨しております。

 

実際やってみると分かるのですが、6g/day以下の減塩は普通にチャレンジしても中々上手く行きません。ダイエットと同じで挫折する患者さんも多く、実際達成されている患者さんをみると心から尊敬してしまいます。

 

腎臓内科になってから実際主治医になって患者さんをみて気付いたのは『減塩はテクニックだ』という事です。塩分が無くても、食事の満足感が得られる方法、具体的には酢を使ったり、出汁を使ったり、醤油を使い方を工夫したりするというテクニックを栄養士さんの栄養指導を通じて学び実践して達成を目指していく事が望ましいと思われます。

 

減塩は非常に奥が深く、一つの記事にとても収まりきらないので、今後どんどん記事数を増やしていきます。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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