ステロイド(プレドニン)の治療、副作用についてまとめました。

2018.06.13
ステロイド(プレドニン)の治療、副作用についてまとめました。
ステロイド(プレドニン)の治療、副作用についてまとめました。

『ステロイド(プレドニン)の治療を開始します。』

そういうと患者、家族共に凄く不安そうな顔をされます。患者さんの中には『ステロイドは麻薬みたいな薬なんでしょ、怖い。』とおっしゃる方も多くいます。1.2年前にWEBメディアやニュース番組がステロイドの不安を煽った特集を連発した事もあってか一度ステロイドを開始した患者さんでも不安になって『ステロイド辞めたい!』と言い始める人がいます。なので一度この記事でステロイドの効用、副作用をまとめたいと思います。

ステロイドの効用

ステロイドとは私の体の中でも作られている物質で、糖の代謝、ミネラルなどの代謝から性ホルモンまで 多岐にわたる作用を示します。一方で、炎症を抑えたり、免疫を抑えたりする力もあります。この炎症を抑えたり、免疫を抑えたりする力に期待して私達は特定の疾患に対してステロイド治療を行います。腎臓内科領域では、微小変化型ネフローゼ症候群、膜性腎症、ANCA関連血管炎などで使用します。免疫抑制薬としては抜群の効果があり、他の免疫抑制薬に比べてやっぱり効く印象が個人的にあります。

このステロイドという物質は生命維持にとても重要な働きをしているホルモンで、プレドニン5mg1錠がおおよそ一般的に生体内で作られる一日のステロイドの量に相当します。治療で使う量は生体で作られる量よりはるかに多いため、治療中は自らが作るステロイドホルモンを控えるようになります。そのため急に服薬を中止すると血圧低下、低血糖など重篤な症状をきたし注意が必要です。

ステロイドの副作用

一方で、ステロイドが投与される事によって、副作用が出現します。その副作用が多岐にわたるため、結果的にステロイド以外の薬を一杯飲まなくていけなくなります。ステロイドの治療で一番管理が大変なのは、この副作用の対策です。下記に、ステロイドを使用している患者さんにとっての主な注意点を並べていこうと思います。

・糖尿病

ステロイドを内服すると血糖値が上がりやすくなります。元々、糖尿病の方や糖尿病予備群の方は特にステロイドを飲む事によって糖尿病が発症する事があります。適宜、採血や血糖測定を行なって糖尿病と診断が付けば、食事療法、運動療法を加えて薬物治療を行います。夕方から夜間にかけて血糖が上がっていくのが特徴で、薬物でコントロールが付かない時は一時的にインスリンを使用する事もあります。ステロイドを減量すると次第に改善していきます。

・高血圧

ステロイドを飲むと血圧が高くなります。特に腎臓内科領域では慢性腎臓病の患者さんが多く、理想的には収縮期血圧を130mmHg以下にする事が望ましく、減塩を含めた食事療法、薬物治療を積極的に行います。過去に知人が主治医の患者さんで自己免疫性疾患でステロイド治療を数年行って、経過がよくステロイド内服終了した方が、今度は腎硬化症という高血圧や喫煙などの動脈硬化性病変が主体の腎疾患になっていたという事がありました。ステロイドを減量すれば次第に降圧薬は減量する事が可能ですが、長期間血管に負担をかける事は腎臓によって好ましくないためしっかり血圧コントロールをして頂く必要があります。

・骨がもろくなる

ステロイドを飲むと骨がもろくなります。腎臓でステロイドを内服する方は最初の頃は量が多いため基本的に骨粗鬆薬を内服します。骨粗鬆症の薬には歯科的治療を行った上で開始しなければいけないものが多く 、一度歯科を受診していただきます。ステロイドを徐々に減量して7.5mg/day以下になったら、患者さん毎にリスクを評価して可能であれば中止します。具体的には年齢、骨密度、骨折の既往、今後のステロイドの量などを評価します。

・食欲が増す

ステロイドを飲み始めると、食欲が増します。

・顔が丸くなる、体幹部の肥満

ステロイドを飲むと中には顔が丸くなる患者さんがいます。特に若い女性だと気にされる方が多く、心苦しい気持ちになります。カロリーを抑える(1日1600ml以下)事で防ぐ事ができると考えている先生もいますが、はっきりとは分かってはいません。ステロイドを飲むと食欲が増すのでカロリーを抑えるのは非常に難しいです。個人的にはステロイドで糖尿病になった際は積極的GLP-1製剤を使っています。GLP-1製剤には、食欲を抑える効果がありそれに期待をして使っています。

一方で医学的根拠はまだまだ乏しいですが、一応ステロイド性糖尿病に対してGLP-1製剤が著効した症例報告は散見されていて、個人的な使用感でもGLP-1製剤は糖尿病のコントロール、食欲のコントロールとして悪くない印象です。

・胃が荒れる

ステロイドが原因で胃潰瘍になったり、元々ある人は悪化する事があります。ステロイド単剤であれば、症状が無い際は胃薬であるプロトンポンプ阻害薬、抗ヒスタミン薬を使用せずに経過を見ることもありますが、血をサラサラにする抗血小板剤、抗凝固剤を使用している際には出血予防で胃薬を使用する事があります。

・細菌やウイルスに対する抵抗力が弱くなる。

ステロイドを飲んでいると、軽い感染でも重症化する事があります。また、元々の免疫を抑えているので、感染しても熱が出なかったり、症状が出なかったりする事があります。重篤な合併症予防のために定期的に予防薬を飲んでもらうことがあります。

・寝付きが悪くなる

ステロイドを飲んでいると夜寝付きが悪くなります。特にステロイドを始めた最初の頃は、不眠になる患者さんが多いです。その際には睡眠薬を使っても良いことにしています。

・緑内障、白内障のリスクが高くなる。

ステロイドを飲むと緑内障、白内障のリスクが高くなるので、ステロイド内服前、内服してから1年後に眼科を受診してもらっています。

これらの合併症があるため、ステロイドを飲み始めると、内服の数が増えてしまいます。ステロイドを飲むのを急に辞めてしまうと副腎不全という非常に重篤な命に関わる状態になるため絶対に自己判断で中止をしないようにしてください。(テレビやWebメディアがステロイドによる不安を煽るため結構困っています・・・)

 

ステロイドは副作用が多く、患者さん本人としても苦難が多い薬ではありますが、薬効としては非常に良い薬ですし、副作用が多い事を承知で主治医が必要と判断して投与しています。絶対に自己判断で中止しないようにしてください。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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