<腎臓内科医直筆>膜性腎症についてまとめました。

2019.01.04
<腎臓内科医直筆>膜性腎症についてまとめました。
<腎臓内科医直筆>膜性腎症についてまとめました。

膜性腎症(まくせいじんしょう)とは、糸球体(しきゅうたい)という腎臓の中の必要なものと不要なものを濾過しながら分ける役割のところに異常が起きて、体のタンパクが漏れる病気です。ネフローゼ症候群の主な原因の一つで成人例のネフローゼ症候群の20-30%がこの膜性腎症が原因と言われています。(ネフローゼ症候群についてはこちらを)比較的稀な病気ですが、僕の担当患者さんにも情報提供が必要な患者さんがいるので今日は膜性腎症についてまとめたいと思います。

膜性腎症の原因について

膜性腎症の原因は詳細は解明されてはいませんが、自己免疫の関与が疑われています。膜性腎症は原因によって一次性(いちじせい)と二次性(にじせい)に分けることが出来ます。一次性とは「他に病気がなくて起きたパターン」の事を指し、二次性は「他に病気があり起きたパターン」の事を指します。

二次性膜性腎症の原因となる他の病気とは多岐に渡ります。具体的には、感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、マラリアなど)、薬剤(ペニシラミン、プロベネシドなど)、悪性腫瘍(大腸がん、肺がん、乳がんなど)、膠原病(SLE、Sjogren症候群、MCTD、サルコイドーシス、橋本病、ANCA関連疾患など)が可能性として考えられますので、膜性腎症の患者さんはこれらの疾患が隠れていないかを調べる事になります。(細かくは検査のところで触れます。)

いずれにせよ、自己免疫関連のメカニズムで糸球体に障害を及ぼして、留めておくべきタンパクが尿から出てしまいます。

膜性腎症の症状・検査について

膜性腎症は、中年以降の男性によく見られる疾患で症状の出現はゆっくりで月単位で進行していきます。典型例で、2ヶ月前から体がむくみ始めて、3-4kg以上体重が増えて気になって病院に来ましたみたいな場合、もしかして膜性腎症かなと腎臓内科医は考えて採血・採尿をして調べタンパク尿が出ていて、身体のタンパク質が不足している状態であれば精査にします。

採血・採尿・画像検査(エコーやCT)を行った上で腎生検(じんせいけん)を行った上で診断をつけます。(腎生検についてはこちら)先程申し上げた通り、二次性膜性腎症の可能性があり考えられる疾患のスクリーニング検査も同時に行います。腎生検の結果から大まかな一次性なのか二次性なのかの目星をつける事も出来ます。

膜性腎症の治療について

膜性腎症の予後は10年後に透析や移植が必要になる可能性が約10%程度と言われています。特に、男性・高齢・蛋白尿が多い・腎機能低下があるという場合は予後が悪いと言われています。治療法は一次性なのか二次性なのかで大きく異なる。

一次性膜性腎症の場合は、重症であればステロイドという免疫抑制薬を使用して、比較的軽症であれば免疫抑制薬を使わず他の薬で保護的に経過観察します。ステロイドは治療薬としてのキレが良いのですが、副作用も多いためメリット・デメリットを考えて使用していきます。(ステロイドについてはこちら。一般的にタンパク尿がどのくらい出ているのかを基準にします。あと、年齢・患者さんのその他の病気との関連なども考慮にいれます。

タンパク尿が強い場合はステロイド薬を使用します。ステロイドのみで効果が出る場合もありますが、それでも効果がない場合は他の免疫抑制薬も合わせて2剤使用する事もあります。(医師によって考え方が変わります。)膜性腎症の場合、免疫抑制が効いてくるのに数ヶ月かかるため辛抱強く治療をしていきます。

逆に蛋白尿がそこまで強い場合は、積極的に免疫抑制薬を使用せずに腎臓を保護する降圧薬などを使用しながら自然軽快を期待して経過をみていくこともあります。(腎臓を保護するRAS系阻害薬についてはこちらへ

二次性膜性腎症の場合は、原因となる疾患の治療を中心に行います。感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、マラリアなど)、薬剤(ペニシラミン、プロベネシドなど)、悪性腫瘍(大腸がん、肺がん、乳がんなど)、膠原病(SLE、Sjogren症候群、MCTD、サルコイドーシス、橋本病、ANCA関連疾患など)が原因となるので精査して治療します。

膜性腎症の治療については、近年原因となる免疫関連の物質が特定されたりしており今後根本的な治療が見つかる可能性があります。随時本サイトでも情報提供していきます。

 

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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