膜性腎症

膜性腎症とは

膜性腎症(まくせいじんしょう)とは、糸球体(しきゅうたい)という腎臓の中の必要なものと不要なものを濾過しながら分ける役割のところに異常が起きて、体のタンパクが漏れる病気です。

ネフローゼ症候群の主な原因の一つで成人例のネフローゼ症候群の20-30%がこの膜性腎症が原因と言われています。

比較的稀な病気ですが、時折見かける症例なため膜性腎症についてまとめたいと思います。

膜性腎症の原因について

膜性腎症の原因は詳細は解明されてはいませんが、自己免疫の関与が疑われています。

膜性腎症は原因によって一次性(いちじせい)と二次性(にじせい)に分けることが出来ます。一次性とは「他に病気がなくて起きたパターン」の事を指し、二次性は「他に病気があり起きたパターン」の事を指します。

二次性膜性腎症の原因となる他の病気とは多岐に渡ります。具体的には、以下のような要素の関与が考えられます。

  • 感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、マラリアなど)
  • 薬剤(ペニシラミン、プロベネシドなど)
  • 悪性腫瘍(大腸がん、肺がん、乳がんなど)
  • 膠原病(SLE、Sjogren症候群、MCTD、サルコイドーシス、橋本病、ANCA関連疾患など)

が可能性として考えられますので、膜性腎症の患者さんはこれらの疾患が隠れていないかを調べる事になります。

いずれにせよ、自己免疫関連のメカニズムで糸球体に障害を及ぼして、留めておくべきタンパクが尿から出てしまい大量の尿蛋白が出るのが特徴です。

膜性腎症の症状・検査について

膜性腎症は、中年以降の男性によく見られる疾患で症状の出現はゆっくりで月単位で進行していきます。

典型的なエピソードとして、2ヶ月前から体がむくみ始めて、3-4kg以上体重が増えて気になって病院に来ましたみたいな場合に膜性腎症を考えます。

採尿検査をしてタンパク尿が出ており、採血検査で身体のタンパク質が不足している状態であれば精査にうつります。

画像検査(エコーやCT)など追加の検査を行った上で腎生検(じんせいけん)という腎臓の組織をとる検査を行い診断をつけます。

この腎生検の結果で、一次性なのか二次性なのかの違いも大まかにつけることが可能です。

膜性腎症の治療について

膜性腎症の予後は10年後に透析や移植が必要になる可能性が約10%程度と言われています。

特に、男性・高齢・蛋白尿が多い・腎機能低下があるという場合は予後が悪いと言われています。治療法は一次性なのか二次性なのかで大きく異なります。

一次性膜性腎症の治療

一次性膜性腎症の場合は、重症であればステロイドという免疫抑制薬を使用して、比較的軽症であれば免疫抑制薬を使わず他の薬で保護的に経過観察します。

ステロイドは治療薬としてのキレが良いのですが、副作用も多いためメリット・デメリットを考えて使用していきます。ステロイドを使うかどうかの判断材料として以下のようなものを考慮に入れます。

  • タンパク尿の量
  • 腎臓の組織学的な評価
  • 年齢
  • 患者さんの合併症 など

特にタンパク尿が多いときは、免疫抑制薬を使用します。

免疫抑制薬はステロイドが代表的に使われますが、時と場合によってはステロイドに加えてもう1種類の免疫抑制薬を使うこともあります。

膜性腎症の場合、免疫抑制が効いてくるのに数ヶ月かかるため辛抱強く治療をしていきます。

逆に蛋白尿がそこまで強い場合は、積極的に免疫抑制薬を使用せずに腎臓を保護する降圧薬などを使用しながら自然軽快を期待して経過をみていくこともあります。

二次性膜性腎症の治療

二次性膜性腎症の場合は、原因となる疾患の治療を中心に行います。

感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、マラリアなど)、薬剤(ペニシラミン、プロベネシドなど)、悪性腫瘍(大腸がん、肺がん、乳がんなど)、膠原病(SLE、Sjogren症候群、MCTD、サルコイドーシス、橋本病、ANCA関連疾患など)が原因となるので精査して治療します。

膜性腎症の治療については、近年原因となる免疫関連の物質が特定されたりしており今後根本的な治療が見つかる可能性があります。随時本サイトでも情報提供していきます。

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