<内科医直筆>脂質異常症についてまとめました。

2018.11.15
<内科医直筆>脂質異常症についてまとめました。
<内科医直筆>脂質異常症についてまとめました。

腎臓内科医の森 維久郎(もり いくろう)です。生活習慣病の食事・運動についてお話した「健康フェスタ」の内容をまとめています。

1:食事の健康情報を正しく選ぶ方法をまとめました。

2:高血圧についてまとめました。

3:糖尿病についてまとめました。

4:脂質異常症(ししついじょうしょう)についてまとめました。←今日はここ!

脂質異常症だと何が問題なのか?

脂質異常症には、コレステロールや中性脂肪が関わります。コレステロールには2種類あり、悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールと善玉コレステロールと言われるHDLコレステロールがあり、中性脂肪を含めてこの3つの検査項目で診断しますが、一番気にするべきなのはLDLコレステロールです。

このLDLコレステロール が高い状態を長年放置すると、心臓の病気(心筋梗塞・心不全など)や脳の病気(脳梗塞や脳出血など)が起きるとされています。心臓の病気・脳の病気を総じて心血管イベントと私達は呼んでいます。

上の図の細かい所は、無視して頂いて問題ありませんが、LDL-Cが高ければ高い程、心血管イベントが起きる確率が上がります。逆に、低ければ低い程心血管イベントが起きる可能性が下がります

脂質異常症の原因

不規則な食生活、運動不足、甲状腺の病気、ネフローゼ症候群などが原因として考えられます。また、遺伝的にコレステロールが上がりやすい体質の方がいて家族性コレステロール血症といいます。(家族性コレステロールについてはこちら

診断は基本的に採血検査でつけます。採血で空腹時に行う事が望ましいとされています。以下3項目が診断の基準になります。

LDL-C:140mg/d以上

HDL-C:40mg/dl未満

中性脂肪:150mg/dl以上

脂質異常症の治療(食事・運動)

脂質異常症の治療として、まず生活習慣の是正です。治療の3本軸は「食事」「運動」「禁煙」です。その結果、体重が減る事が望ましいと考えられています。

細かい内容は省略してもらって健康ですが、2型糖尿病の方で5%以上の減量を行う事でLDLコレステロールが下がる事が分かっています。

有酸素運動を定期的に行い・揚げ物などの食事を減らして青魚などに置き換えていく事が望ましいとされています。減量についてはこちらの記事にまとめています。(ダイエットのための食事についてまとめました。

一方で、食事・運動でLDLコレステロールをコントロールするのは正直な所かなり大変です。腎臓内科.comでは、食事・運動を積極的に行い、薬を飲む事をなるべく少なくする事を勧めていますが、この脂質異常症に関しては、スタチンという薬でしっかりコレステロールを下げる事を勧めています。

脂質異常症の治療(薬)

まずよく使われるのがスタチンという薬です。世界中で使われているコレステロールを下げる薬で、心筋梗塞などの心血管イベントを防ぐとされています。基本的に、現場の臨床医としては休薬する程の副作用が出る頻度は少なく頻繁に使用する薬です。

腎臓内科としては、別記事でも触れましたが、腎臓が悪いと心血管イベントが増えるとされており積極的にスタチンを使っています。(CKDとは 〜慢性的な腎臓病「慢性腎臓病とは」〜

次に良く使う薬が、ゼチーアです。先程のスタチンにプラスして使用します。基本的には、スタチン、ゼチーアのみでコントロールが付きますが、家族性コレステロール血症の方や、腎臓領域だとネフローゼ症候群の方はレパーサという新薬に頼る事もあります。物凄くキレが良いのですが、1回あたり数万円するためどうしても抑えたい時に使用するイメージです。

治療の副作用について

特にスタチンは、筋肉、肝機能障害などの副作用が出る事があります。使用を開始してから数日後、数週間後に採血で副作用が無いかチェックします。

7%程で筋肉痛があるとも言われていますが、本当に重篤な筋障害は0.1%にも満たないとされ、ある程度は様子をみて内服を継続します。

採血でCKという筋肉の障害を示す値が正常の10倍程に(1000-2000IU/L程度)上昇したり、痛みで日常生活に支障が出る場合は治療を中断したり、スタチンの種類を変えて調整します。

非常に稀な副作用として(周りの医師に聞いても経験した人がいない程)スタチン誘発性自己免疫性筋炎という病気があります。休薬しても全然症状が治らない場合は検討できます。

腎臓病の患者さんは、この脂質異常症をしっかりコントロールするが治療戦略の多くを占めます。何か分からない事があれば気兼ねなくご相談下さい。

今日のまとめ

1:脂質異常症は心血管イベントを引き起こす。

2:治療は取り敢えずLDLコレステロールを下げる。

3:食事・運動も大切だが、ある程度、薬頼るのも手段!

診療依頼はコチラ > 記事の一覧へ >

管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
管理人近況
  • (2018.11.04)
    ファンデリー様企画の数百人規模のイベント「ミールタイム健康フェスタ」で『生活習慣病の食事療法・運動療法の最新の知見』と題して講演させて頂きました!
  • (2018.10.27)

    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

  • (2018.10.10)

    ジャパンヘルスケアベンチャーサミットでCKDオンラインを発表しました!

  • (2018.09.21)

    日経メディカル様に取り上げて頂きました!詳しくはこちらへ!

    リンク先はこちら

  • (2018.09.06)

    週刊東洋経済2018/9/8号で少しお話させて頂きました!

     

管理人近況の一覧はコチラ