蛋白尿を調べる検査について 〜ここで医学的説明をします。〜

2017.10.01
蛋白尿を調べる検査について 〜ここで医学的説明をします。〜
蛋白尿を調べる検査について 〜ここで医学的説明をします。〜

今日は尿蛋白の検査の話をします。実は今だからいえますが、研修医の頃は、尿の蛋白を測る検査について良く分かっていませんでした。色々難しい項目があり、ググっても難しい説明ばかりで、他の仕事で忙しいためスルーしていた領域でした。

実は医師の中でも、良く分からないという声があるのが現状で、看護師、保健師からも教えてほしいと要望を頂く領域です。一般の方からすると『えー!そんなもんなの』と言われますが、このブログでは何度も伝えていますが、腎臓は医療の中で凄くマイナーな領域で、心臓の医師は心臓の事で多忙、脳の先生は脳の事で多忙なため、そんな尿の事なんて気にしてられないのが現状なのです。

今になって思うのが、尿蛋白の検査は物凄くシンプルです。大まかに3つの種類があって、『簡単だけど大雑把』、『医療機関にいかなくちゃいけないけどある程度正確』、『メンドイけど正確』の3種類の検査があります。

試験紙を使った検査(尿定性)=『簡単だけど大雑把』

 健康診断などで使うのがこの検査です。小学校で理科で使ったリトマス紙みたいな紙で蛋白尿、潜血、白血球などを調べる事が出来ます。非常に簡便ですが、この検査結果はざっくりしています。更に、あくまで濃度をみているので、例えば脱水だと、尿の濃度が濃くなるため、『尿蛋白があまり出ていないのに、出ている』という判断になってしまいます。

 しかしながら、この検査で(2+)や(3+)という結果が出れば病歴な蛋白尿である可能性があるため精査が必要だと思います。また(-)という結果が出れば大方問題がないと考えます。問題は(+-)や(1+)の時です。この時はどちらか分からないので、尿定量検査に進みます。また、日中に採取すると日常に生活をしている内に蛋白尿がある程度出てしまうため、正常なのに病的蛋白尿と判断される事があり、それを防ぐために早朝尿で検査をした方が良いとされます。

 尿定量は医療機関で行うのが一般的ですが、なかなか医療機関を受診する時間が無いという社会人が多いのも事実でそういう方には私は普段から薬局やamazonで試験紙を自分で買って検査をすることを勧めています。それで何度も試験紙で1+、2+であれば医療機関受診をするようにしてます。簡便な検査でも何度も測定することで正確性が出てくるので意外と患者さんにも納得して頂いてます。

推定の1日の蛋白尿の量を測る。(尿定量)=『医療機関にいかなくちゃいけないけどある程度正確』

 試験紙を使った検査より正確に蛋白尿の量を調べることが出来ます。試験紙は濃度が濃かったり、薄かったりすると間違った検査結果がでてしまうため、その濃度の異常を補正して検査結果を出します。具体的には尿検査の検査結果である『尿蛋白量』の値から『尿Cr値(クレアチニン)』を割り算する事で出た値である『尿蛋白クレアチニン比』を使用して、1日の蛋白尿の値を推定する事で得られる値です。

実はこの値は尿中にCr(クレアチニン)という物質を1g/日排泄しているという前提で『尿蛋白クレアチニン比=1日の蛋白尿の値』としています。例えば筋肉量が少ないおばあちゃんなどは、筋肉の量が少なく、1日のCr(クレアチニン)排泄量が少ないため、実際には大きく見積もっていまう可能性があります。

蓄尿検査=『メンドイけど正確』

 本当の値がみたい場合は、蓄尿検査をするしかありません。ペットボトルか何かに24時間分の尿を溜めて外来にもってきてもらいます。それを検査に出して、1日の尿蛋白量を調べます。手間ではありますが、これが一番良い検査です。更に、1日の塩分摂取量を調べることもできます。

 蛋白尿は腎臓の異常を見つける非常に良いツールであり、更に治療効果を測定するために重要な検査です。どういった検査をどのように医者が解釈しているかが分かる良いかと思いまして、記事を作成しました。

 

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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