食事の健康情報を正しく選ぶ方法をまとめました。 健康フェスタで本当に伝えたかった事①

2018.11.06
食事の健康情報を正しく選ぶ方法をまとめました。 健康フェスタで本当に伝えたかった事①
食事の健康情報を正しく選ぶ方法をまとめました。 健康フェスタで本当に伝えたかった事①

腎臓内科医森です。11月4日(日)にファンデリー様が主催する「健康フェスタ2018」で講演させて頂きました。45分お時間を頂いて話をしました。ご高齢の患者さんから医療従事者まで多種多様な人がいらっしゃって、色んな話をしました。消化出来るボリュームではなかったと思うので、本日から一つ一つ改めて公開していこうと思います。

1:食事の健康情報を正しく選ぶ方法をまとめました。

2:高血圧についてまとめました。

3:糖尿病についてまとめました。

4:脂質異常症についてまとめました。

食事の健康情報を正しく選ぶ方法をまとめました。

今日は、食事の健康情報を正しく選ぶ方法についてです。日本人は健康に対する関心が高くメディアや雑誌・健康本から色んな情報が発信されます。量が多い事は良い事なのですが、中には、「そもそも間違っている情報」や「あまり重要では無いのにあたかもそれが全てで絶対的である」ように魅せる情報発信が散見されます。

情報は多ければ良いわけではなく、緩急をつけて本当にやるべき事を確実に達成していく事が重要です。現場にいて多くの患者さんが情報量の多さで困惑している姿をよくみます。そのため、まず「本当に私達が向き合っていく必要がある敵は誰なのか」をはっきりさせる必要があります。

健康のために私達がするべきこと

左の図をみると分かるように、ここ50年で日本人が死ぬ理由は大きく変化し「感染症・脳卒中」→「癌・心疾患・肺炎」に変化しました。昔は治療の進歩や救急医療の進歩が急務でしたが、今はどちらという長いスパンでの各人の生活習慣や行動変容、健康のマネージントに起因する「癌・心疾患・肺炎」が増えて、医療技術の進歩より患者自身の行動を長期間マネージメントする必要性が出てきました。

右の図は、私達の日常生活の中でどの生活習慣が死因に結びつくかを示しています。一目瞭然で「喫煙・高血圧・運動不足・高血糖・塩分摂取」が大事な事が分かります。この緩急が非常に大切です。私が日々触れている情報より何倍も大切で、当たり前にやるべきことがあります。ちなみに日本人で高血圧の治療目標を達成している人は40%もいません。当たり前にやるべき血圧コントロールが出来ていないのが日本の現状です。

私が診ている患者さんでも、血圧目標が達成出来ていないにも関わらず、「〇〇は体に良いって聞いたんですが、どうなんですか?」「△△はいいんですか?」と心配で堪らず矢継ぎ早に尋ねてくる患者さんがいらっしゃいます。

様々な健康情報を知る事を否定しませんが、本当に大事でやるべき事を出来ていないのに細かな所にばかりを目がいってしまって困惑している患者さんが多くいます。これは医者を含めた医療関係者・非医療者の情報発信ともに責任があり向き合って解決していくべき課題だと思っています。

受験の時に、基礎的な参考書をしっかりやり込む人が優秀で、「この参考書が良い!この参考書が良い!」といって、参考書をコロコロ変える人が優れなかったように、医学でもしっかり「禁煙、血圧コントロール、運動習慣」がある人は予後が比較的良いのではないかと思います。

どんな健康情報を手に入れるか?

とはいえ、自分の体の事であり、世の中にある色んな情報を知りたいという気持ちがあるのも事実です。なのでどんな情報が正しいかを見極める方法をお伝えしようと思います。一番大事なのは、科学的根拠を大切にする事です。一方で科学的根拠そのものに非医療者がアクセスする事は至難の業です。

非医療者の方にまず知っていただきたいのは、科学的根拠を大切にして健康情報を集めると「本当に科学的根拠があり患者さんにとって大切な情報はごく少数しかない」という事です。言い換えると世の中に溢れている健康情報はほとんどジャンクであまり気にする必要がないという事をまず知っていただきたいと思います。

後で触れるのですが、世の中の食事の健康情報は主に5パターンに分ける事出来て、その内大切なのは2パターンのみです。その他3パターンは正直ジャンクもしくは重要度は低い情報です。

また栄養素ベースで「リコピンが体に良い」「カロテンが体に良い」みたいな健康情報は基本的にはジャンクな事が多く、個人的には栄養素ベースで健康に大きく影響して、誰にとっても本当に大切なのは「塩分」ぐらいなんじゃないかと思います。

5パターンしかない食事の健康情報

食事の健康情報は大きく分けて5パターンしかありません。AやEは世界中でその食品に対する研究が数多くされており、明らかに健康に良い、もしくは健康に悪い食品を指します。一方でB・C・Dは小規模な研究結果や、人間では無くマウスにおける研究結果を受けている場合、もしくは心臓の観点からは健康に良いが、脳の観点からは健康に良くない場合などが含まれています。本当に大切なのは「Eを減らして、Aを増やす事」です。白米を減らして玄米に置き換えたり、牛・豚を減らして魚・鶏に切り替えていくのです。ちなみに「ダイエットのための食事についてまとめました。」の記事に詳しく書きましたが、食事に関しては減らす・増やすではなく「置き換える」という考え方をしていく事も大切です。

この時も栄養素ではなく、食品で考えていくのが大切です。上の図は、腎臓内科.comでも何度も引用しているアメリカの研究結果で、食品と体重増加の関係をみた図です。同じ炭水化物でも白米と玄米で違う体重の増える・減るが異なります。

この玄米と白米については他の世界中の研究でも同様に証明されています。

どんな食品がAとEに当たるのかは津川先生の上記の本に詳しく書かれています。非医療者でも非常に読みやすい方で僕も患者さんに勧めています。

ご高齢の方は肉も炭水化物もしっかり食べる。

食品を選んでいくのも重要ですが、一方で75歳や80歳を越えたご高齢の方の場合は、「取り敢えず食べられる物を食べる」という考え方も意外と重要になってきます。まず大前提として日本人の80歳以上の30%以上の方が運動能力が低下しており寝たきりに近い状態になっていると言われています。

その上で2つの表はどちらも腎臓の患者さんのデーターですが、高齢者でタンパク質摂取が少ない患者さんは筋力低下している、そして慢性腎臓病の患者さんは味覚障害されたり、内服薬が多く食事摂取が減っているというデーターです。

腎臓を悪くしない、心臓病を起こさないという観点だけではなく、筋力を落とさない、周りの生活を自分で出来るようにするという観点で食事療法を組み立てた時に「食べたい」という患者さんの気持ちをもっと大切にしていく食事療法を勧めていく必要があります。

私、個人的な診療方針ですが、腎臓領域で必要と言われているタンパク制限は高齢患者さんには基本的にしていません。(詳しくはこちら:高齢の腎臓病患者にタンパク質摂取を制限をしない理由をまとめました。

一方で、定期的な歩行、簡単なスクワットなどの筋トレを行っていくは大切であり、筋力を保つという観点から非常におすすめです。食事で神経質になるくらいなら、食事はどんぶり勘定である程度許容して、その分しっかり運動するという作戦をとるのも手だと思います。

 

今日のまとめは以下です。

1:大切なのは「喫煙・高血圧・運動不足・高血糖・塩分摂取」。

2:科学的根拠が大切で、本当に科学的根拠があり大切な情報はごく少数しかない。

3:食事の健康情報も大切な物は限られている。

 

次回は、高血圧についてお話します。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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