IgA腎症とは 〜腎臓内科医として早期発見したい病気の一つ〜

2017.09.24
IgA腎症とは 〜腎臓内科医として早期発見したい病気の一つ〜
IgA腎症とは 〜腎臓内科医として早期発見したい病気の一つ〜

端的に言うと『風邪などが起きて細菌やウイルスなどを攻撃する時に何故か知らないけど腎臓を攻撃してしまう病気』と思ってください。(厳密にはIgA診療ガイドラインを参照して下さい。)詳しいメカニズムなどは良く分かっておりませんが、口や鼻などの粘膜が関わっているのではないかと言われております。日本の透析患者の中でIgA腎症を原疾患とする患者さんが多く腎臓内科としては早期発見、早期治療をしたい病気の一つです。

IgA腎症の症状は?

症状としては、風邪を引いた後に血尿が出たり、皮膚炎の後に血尿が出たりします。その他には明らかな症状はなく、目に見える血尿がなかったのにIgA腎症が発症したというケースも多々し、気づいた時には結構腎臓の障害が進んでいたというケースも多くあります。

このブログでは蛋白尿の記事と血尿(潜血)の記事を一杯書いておりますが、健康診断で潜血が毎年のように出ており、蛋白尿も時折認めるような患者さんが腎臓内科に紹介されてIgA腎症と診断を受けるケースが多いです。

 

IgA腎症をみつけるための検査

検査としては採血検査(クレアチニン、補体、IgAなど)、採尿検査(尿蛋白、1日蛋白尿、尿潜血、尿赤血球数、赤血球変形率など)を確認して、画像検査(腎臓の大きさや形)などで大方のあたりを付けますが、最終的には腎生検という腎臓の組織をとって、顕微鏡で実際の変化を診る検査で診断をつけます。

腎生検はリスクを伴う検査のため、ある程度の蛋白尿が出ていたり、IgA腎症っぽいと担当医が判断するまで行われなかったりしますが、今僕が勤めている病院では沸点を極力下げて腎生検を行なうようにしておりますし、自分が担当する患者さんにはなるべくそうする事にしてます。

IgA腎症の治療

治療はその患者さん毎で変わります。IgA腎症の治療を説明する事は難しく自分自身、学生や研修医の時は良く分かっていませんでした。なので僕はいつも患者さんに大雑把な説明として『家の火事』として例えています。パターンは大まかに3つあり、

  1. 『火種』と『焦げ跡』がある状態
  2. 『火種』と『燃え盛っている火』と『焦げ跡』がある状態
  3. すでに燃える物もなくなり『焦げ跡』が大半を占める状態

上記3パターンで治療方針が変わります。

1)の場合は『火種』を取り除き、次の火事が起きないようにします。具体的には扁桃摘出という喉の組織を手術をして取り除いたり、副鼻腔炎、虫歯、睡眠時無呼吸症候群などをしっかり治療したりします。また近年では上咽頭処置という治療も施設によっては行われております。腎臓内科医の間でもIgA腎症領域で有名な先生で、上咽頭処置について詳しく書かれているサイトがあるため末尾にリンクを貼りました。

2)の場合は『火種』を除くだけでなく、今の『燃え盛っている火』を水で消しに行きます。具体的にはステロイドなどを使用した薬物療法を行います。

3)の場合は、積極的に『火種』を取り除いたり、『燃え盛っている火』を水で消したりするよりは、残っている腎臓を保護する事がメインの治療になります。

どのパターンに該当するかは、尿所見や腎生検の結果で腎臓内科医が判断します。加えて、女性であれば今後妊娠する可能性があるのかなどの患者背景や元々持っている病気など総合的な判断を行います。実はこのIgA腎症という病気はメカニズムも良く分かっておらず、治療法は腎臓内科医によって考え方があり、コンセンサスが得られていないのが現状です。Webメディアの情報に惑わされず患者さんの事をしっかり見てくれている担当主治医の考え方をしっかり聞いて治療していく事が望ましいと思われます。

IgA腎症の予後は?

予後は、当初良いとされておりましたが、1990年代に日本やフランスから予後が悪い病気として報告され、現段階は診断から20年で透析や移植が必要になる可能性が40%にまでのぼると言われております。日本は積極的に火種を取る扁桃摘出などの治療を行っており、まだ明らかな結果は出ておりませんが、早期治療をすれば良い結果が得られている印象があるとされております。

IgA腎症は比較的若い患者さんに発症する病気のため、極力早期発見して、早期治療を行う事に非常に意味がある病気だと個人的には考えております。やはり健康診断などで腎臓のSOSである蛋白尿、血尿に気付いてあげる事が大切な疾患だと思います。

IgA腎症に関しては、こちらのサイトで詳しく書かれております。ご参照頂ければと思います。

上咽頭処置に関してはこちら。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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