<腎臓内科医直筆>蛋白尿(タンパク尿)とは?〜尿に蛋白が混じっていれば腎臓に異常がある〜

2018.10.16
<腎臓内科医直筆>蛋白尿(タンパク尿)とは?〜尿に蛋白が混じっていれば腎臓に異常がある〜
<腎臓内科医直筆>蛋白尿(タンパク尿)とは?〜尿に蛋白が混じっていれば腎臓に異常がある〜

蛋白尿は「腎臓のSOS」です。腎臓という臓器は沈黙の臓器と言われて、障害を受けても中々症状が出ません。症状は出ないのですが、障害を受けている事を「蛋白尿」というSOSを出して私達に教えてくれます。実際診療をしていて、「蛋白尿」を放置して気付いた時にかなり腎障害が進行している事が多々あり皆さんに知ってもらうべくこの記事を書いております。

蛋白尿の意味合いとは?

腎臓という臓器は「必要な物を体に留めて、不要な物を尿として体の外に出す」臓器です。腎臓の糸球体(しきゅうたい)というフィルターのような構造がこの役割を担っており、蛋白は私達の体にとって必要な物なため原則外に出る事はありません。

尿に蛋白が混じっているという事は、「出ていくはずのない蛋白が尿に出ている」という事であり、腎臓に異常がある可能性が考えられます。

蛋白尿が出ている患者は透析になりやすい。

あまり不安を煽るのは好きではありませんが、蛋白尿が2+、3+の患者さんは数年後・10数年後に透析になっている確率が高いという研究結果があります。

(CKD診療ガイド2009)

上のグラフは、沖縄県で健診で尿蛋白の結果と17年後までに透析になった人の割合を示したグラフです。蛋白尿の検査は「ー」、「±」、「1+」、「2+」、「3+」の順番に悪くなる事を示しており、「2+」、「3+」だった人はそれ以外に比べて圧倒的に透析になった割合が多い事が分かります。

実際、診療していて蛋白尿「2+」、「3+」を放置されて、気付いた時は時既に遅しだった患者さんを一杯見ます。

蛋白尿が出る原因とは?

基本的に蛋白尿が出る原因は、大きく3パターンあります。

生活習慣病を背景とする蛋白尿

高血圧・糖尿病・喫煙などの生活習慣病を背景とする腎障害で起きるものがこちらに当たります。

日本で腎障害が起きて、透析という医療が必要になる患者の40-50%が糖尿病を背景する腎障害の「糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)」です。10-20%程度が高血圧・喫煙などの動脈硬化が原因で起きる「腎硬化症(じんこうかしょう)」です。

その他にも肥満を原因とする「肥満関連腎症」などがあります。

免疫や遺伝の病気など

生活習慣病以外が原因となる腎障害、IgA腎症・多発性のう胞腎・巣状糸球体硬化症・微小変化型ネフローゼ症候群・血管炎などこちらに当たります。日本で割合が多いのが、IgA腎症・多発性のう胞腎です。(多発性のう胞腎は比較的蛋白尿が出ないですが。)

異常の無い蛋白尿

時折、体の構造上蛋白尿が出やすい患者さんも時折います。こちらは腎臓に異常が無いための治療は必要ありません。

蛋白尿を見つけたらどうすれば良いか?医師の頭の中は?

1)本当に蛋白尿なのかを調べる。

蛋白尿が厄介なのは、「検査方法」と「検査時間」で結果が変わる事があることです。

「検査方法」についてですが、蛋白尿を調べる検査は実は色々あります。

健康診断で使われるのは「試験紙法」と呼ばれるリトマス試験紙みたいなキットを使って行う検査です。薬局で買って調べる事が出来るくらい、非常に簡便なのですが、結果がザックリしています。というのは、この試験紙法は蛋白尿の「濃度」をみているため、尿が濃かったり、薄かったりすると結果が動いてしまいます。

この時は、「尿蛋白定量」という検査を行います。医療機関に行く必要がありますが、尿中の蛋白量とクレアチニンという物質の量は両方測定して、1日の出ている蛋白尿の大方の量を調べる事が出来ます。これをg/gCr(グラム・グラムクレアチニン比)と呼んでいます。

「検査時間」も大切です。一番望ましいのは、前日の夜寝る前に尿を出し切って、当日朝一番の尿を検査に出すことです。この尿を「早朝尿(そうちょうにょう)」と言います。日常生活を送っていると生理現象として尿に蛋白が混じる事があります。本当は異常ではないにも関わらず、異常と診断される事があります。

2)血尿がないか確かめる。

「蛋白尿だけ」か「蛋白尿と血尿、両方か」で腎臓内科としても診療のモードが大きく関わります。蛋白尿と血尿が出ている時は、中には早急に対応しなくてはならない疾患もあります。

尿路結石などの血尿が出る疾患がある場合や、女性で生理中の場合は評価しずらいので、申し出をしたり、時期をずらして検査をするのが望ましいと思います。

3)腎臓の異常が考えられるときは、精査をする。

以下の3つの場合は専門医の所で精査をする事が望ましいと思われます。

A:試験紙法で蛋白尿2+以上ある場合、もしくは尿定量検査で0.5g/gCr以上だった時。

B:蛋白尿1+・血尿1+の時

精査としては、詳細な問診・超音波検査を含めた画像検査・眼底検査などが挙げられます。それでも良く分からない場合は、腎生検(じんせいけん)という検査を行います。腎生検については、別途記事を作りましたのでこちらをご参照下さい。

 

蛋白尿は「腎臓のSOS」です。普段から診療していて、蛋白尿を放置されて重症化してから医療機関にかかる事ケースを結構目の当たりにしております。この記事で少しでも早期発見・早期治療に結びつける事が出来ればと思っています。

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森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
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