尿タンパクとは
結論から申し上げると、尿タンパクは「腎臓のSOS」であり、放置すると透析が必要な状態になるので放置せずにしっかり医療機関にかかることをオススメします。
尿タンパクとは、尿にタンパクが混じっている状態です。
腎臓という臓器は「必要な物を体に留めて、不要な物を尿として体の外に出す」臓器です。
腎臓の糸球体(しきゅうたい)というフィルターのような構造がこの役割を担っており、タンパクは私達の体にとって必要な物なため原則外に出る事はありません。
尿に蛋白が混じっているという事は、「出ていくはずのない蛋白が尿に出ている」という事であり、腎臓に異常がある可能性があります。

実際診療をしていて、「尿タンパク」を放置して気付いた時にかなり腎障害が進行している事が多々あります。
尿タンパクが出ている透析になる?
尿タンパクが出ていると透析になるかどうかについて、下の図を見ていただけると明確です。
(CKD診療ガイド2009)
上の図の結論は、「尿タンパクが2+、3+の患者さんは17年後に透析になっている確率が圧倒的に高い」という内容です。

にも関わらず、健康診断で、尿タンパクが2+、3+だった患者さんが一杯いるのでもっと啓発が必要だと個人的に思います。
尿タンパクが出る原因
基本的に蛋白尿が出る原因は、大きく3パターンあります。
高血圧・糖尿病・喫煙などの生活習慣病を背景とする腎障害で起きるものがこちらに当たります。
日本で腎障害が起きて、透析という医療が必要になる患者の40-50%が糖尿病を背景する腎障害の「糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)」です。
10-20%程度が高血圧・喫煙などの動脈硬化が原因で起きる「腎硬化症(じんこうかしょう)」です。
その他にも肥満を原因とする「肥満関連腎症」などがあります。
2)免疫や遺伝などが原因
生活習慣病以外が原因となる腎障害、IgA腎症・多発性のう胞腎・巣状糸球体硬化症・微小変化型ネフローゼ症候群・血管炎などこちらに当たります。
日本で割合が多いのが、IgA腎症・多発性のう胞腎です。(多発性のう胞腎は比較的蛋白尿が出ないですが。)
3)異常のないタンパク尿
時折、体の構造上蛋白尿が出やすい患者さんも時折います。こちらは腎臓に異常が無いための治療は必要ありません。
医療機関で行うこと
1)尿タンパクを詳しく調べる
実は健康診断などで使われる尿検査は、不正確な部分もあり、もう少し詳しく調べることが出来ます。
例えば、脱水だったりすると、尿タンパクが出ていないにも関わらず、尿タンパク出ていると判定されることがあります。
そのため、実際の出ているタンパク尿の量を測定するとより正確に調べることが出来ます。
また可能であれば朝一番の尿検査が一番正確ですので、朝に調べると二度手間なく評価をすることが出来ます。
2)血尿がないか確認する
タンパク尿に加えて、血尿が出ていると、早急に対応しなくてはならない疾患があるのでしっかり精査する必要があります。
尿路結石などの血尿が出る疾患がある場合や、女性で生理中の場合は評価しずらいので、申し出をしたり、時期をずらして検査をするのが望ましいと思います。
以下の場合は専門医の所で精査をする事が望ましいと思われます。
A:試験紙法で蛋白尿2+以上ある場合、もしくは尿定量検査で0.5g/gCr以上だった時。
B:蛋白尿1+かつ血尿1+の時
3)適宜、画像検査・病理検査を
採尿検査で異常が本当にありそうであれば、採血検査・CT・超音波検査などを行います。
腎臓の現在の状態や腎臓の形を評価することで、背景にある原因を予想します。
その上で、必要時には腎生検(じんせいけん)という検査を行い、腎臓の組織を採って、病理学的に評価を行います。
Q&A

Q1 タンパク質を一杯食べているから、尿タンパクが出るというのは本当ですか?

基本的には、タンパク質を一杯とっていることと、尿タンパクが出るのは関係ありません。異常のない尿タンパクはないです。
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