慢性腎臓病

慢性腎臓病とは

慢性腎臓病とは、高血圧や糖尿病などが原因で慢性的に腎障害が起きた状態をいいます。

腎臓の本来の働きである不要物の排泄や、体に必要なホルモンの生成ができなくなることで、腎臓だけでなく心臓、筋肉、骨など全身に多様な障害を起こします。

日本人の8人に1人が罹っており、高齢化社会の国民病です。

慢性腎臓病が重症化すると、透析医療(もしくは移植医療)が必要になります。

慢性腎臓病の定義

慢性腎臓病の定義はガイドラインで以下のように記載されています。

CKDの定義は以下の通りであり、①、②のいずれか、または両方が3カ月以上持続することで診断する。

① 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、特に0.5 g/gCr以上の蛋白尿(30 mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要。

②  GFR<60 mL/分/1.73 m2

慢性腎臓病のステージ

慢性腎臓病には、軽症から重症にかけて5段階に分けることができます。

eGFRと呼ばれる腎臓の状態を評価する採血項目の値で、ステージ1・2・3・4・5の5段階に分ける事が出来ます。自分の採血結果表をみて、どこに該当するかをご参照ください。

慢性腎臓病のステージ(もっと詳しく)

さきほどはeGFRという項目だけで分けましたが、更に詳しく分ける「CKDの重症度分類」方法があり、基本的にはこちらを使用します。

この分け方では「GFR」と「タンパク尿」という2つの検査項目を使い、ステージを分けます。

下の図のGが「GFR」、Aが「タンパク尿」で右下に行けば行くほど重症になります。

Gに関しては、「eGFR」をさきほどの分類の通りに分けたものです。

Aに関しては、「尿タンパク」の量を、0.15g、0.5gを境にして3段階でA1、A2、A3に分けます。

「タンパク尿」が出ている状態は「腎臓がSOSを発している」状態であり、A3だと今後腎臓が悪くなる可能性が高くなります。

医師
医師

腎臓の状態は、「eGFR」と「尿タンパク」で評価します。「eGFR」は現在の状態、「尿タンパク」は未来の状態と考えることもできます。

慢性腎臓病の症状

原則、慢性腎臓病のステージG4の後半になるまで症状がないことが多いです。

そのため、健康診断などで腎臓の異常を指摘しても、放置されることが非常に多い病気です。

慢性腎臓病が進行すると以下のような症状が出ます。これらの症状が出るようになると透析医療も検討していく必要があります。

  • 倦怠感
  • 浮腫
  • 尿量低下
  • 呼吸苦 など

慢性腎臓病の原因

慢性腎臓病の原因は数多くありますが、大まかに「生活習慣病」と「生活習慣病以外」で分ける事が出来ます。

前者としては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病性腎症
  • 腎硬化症
  • 肥満関連腎症 など

日本で透析になる患者さんで一番多いのは、糖尿病性腎症ですが、近年高齢化の影響で動脈硬化が原因の腎硬化症が増えています。

後者としては免疫や遺伝の病気が多く、以下のようなものがあります。

  • IgA腎症
  • 多発性嚢胞腎
  • 膜性腎症 など

慢性腎臓病の治療

慢性腎臓病の治療は何か一つをやればよくなるというものではなく、食事、運動の治療をしながら必要な薬を飲む必要があります。

慢性腎臓病の食事

食事療法は、塩分制限、タンパク制限、野菜・果物制限など様々な制限を必要とします。

ただし、すべて制限する必要はなく患者さんの腎臓病の重症度、年齢、腎臓病の原因などで優先度を決めて食事療法をおこないます。

慢性腎臓病の運動

10年ほど前まで、腎臓病の患者さんは運動をしてはいけないと言われてきましたが、近年運動が腎臓に良いということがわかってきて、「腎臓リハビリテーション」という運動療法が誕生しました。

有酸素運動、筋力トレーニングなどを中心に行なっていきます。

慢性腎臓病の治療薬

慢性腎臓病の治療で一番大切なのは、血圧の治療です。

血圧の治療

血圧が高いと腎臓が悪くなるスピードは早くなるため、収縮期血圧を130mmHg以下を目指します。

腎臓を守る作用がある「RAS系阻害薬」を使うことで透析を遅らせることができると言われているので適宜使用していきます。

その他

  • 血糖の治療:糖尿病がある場合は、腎臓を守る作用がある「SGLT-2阻害薬」を使用しながら血糖の治療をします。
  • 貧血の治療:腎臓が悪くなると血を作る能力が下がり、貧血になります。適宜貧血の治療を行なうことで腎臓、心臓への保護効果も期待できます。
  • カリウムの治療:カリウムが体にたまると突然死につながる不整脈を起こす可能性があるのでカリウムを吸着する薬の治療をします。
  • その他:カルシウムの調整、リンの調整、心臓の治療など腎臓病による全身の障害への治療をします。

最後に

慢性腎臓病の治療は、長い間続くため患者さんの生活環境に合わせて行う必要があります。

特に食事・運動の治療は、主治医および可能なら管理栄養士や作業療法士と一緒に相談して行っていくと良いでしょう。

また慢性腎臓病は、高齢社会の病気でもあり、一律的な食事制限を辞めて運動を勧めるような流れになってきています。

不要な食事制限をして身体機能が衰える患者さんや、精神的な負担を感じる患者さんも多くいて近年問題になっています。

何かご不明な点がございましたら遠慮なくご相談ください。

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