<腎臓内科医直筆>CKDとは 〜慢性的な腎臓病「慢性腎臓病とは」〜

2018.11.05
<腎臓内科医直筆>CKDとは 〜慢性的な腎臓病「慢性腎臓病とは」〜
<腎臓内科医直筆>CKDとは 〜慢性的な腎臓病「慢性腎臓病とは」〜

CKD(シーケーディー)とは、慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)ともいい慢性的な腎障害を指します。日本には約1300万人程いる国民病で、今後高齢化社会に伴いドンドン増えていくと言われています。腎臓は不要な物を尿に出す働きがありますが、腎臓の機能が障害されると不要な毒素や水分が溜まってしまい透析医療(もしくは移植医療)が必要になります。CKDは透析医療が必要ではないものの腎臓が障害されており、このまま進行すれば透析が必要な状態になるというリスクがあるのと同時にまたCKDが進行すればする程、脳梗塞や心筋梗塞で死亡するリスクが増えるとされており、特別な治療が必要になります。

(CKD診療ガイドライン2012より引用)

後で詳しく説明しますが、右に行けば行くほど腎臓が悪い状態であり、伴って死亡リスクが増えるとされています。

CKDの診断

CKDの診断の基準は下記の如くです。

① 検査所見で腎障害の存在が明らかである事(血液・尿検査、画像検査、病理)

② eGFR<60 mL/分/1.73 m2

①、②のいずれか、または両方が3カ月以上持続することで診断する。

検査として、まず採血検査でクレアチニン、eGFRなどを評価します。クレアチニン、eGFRは腎臓の機能を調べる検査です。(詳細は別途記事をまとめましたのでそちらをご参照下さい。)

次に尿検査で腎臓の異常を示す所見がないのかを確認します。具体的には、尿蛋白、尿潜血を調べます。腎臓は必要な物を尿に出さないようにする働きがあり、一般的にはタンパクや血は尿に出ないはずです。尿にタンパク、血が出ているという事は何らかの異常がある可能性があります。(尿蛋白、尿潜血に関しても別途記事をご参照下さい。)

採血、尿検査で異常があったら画像検査・病理の検査に移ります。エコー、CTなどを参考に腎臓に特徴的な所見がある疾患もあります。その他、様々な検査を行った結果、腎臓に何らかの障害があり、それが3ヶ月以上続くとCKD(慢性腎臓病)の診断となります。(検査についても下記にまとめました。)

クレアチニンとは? 〜数値が高いと腎臓に問題がある?〜

eGFR とは???腎臓が悪くなるほど低い値になる?

蛋白尿とは?〜尿に蛋白が混じっていれば腎臓に異常がある〜

尿潜血とは? 原因は腎臓にある?

腎臓の検査の方法をまとめました。

CKDには6段階の重症度がある。

採血・採尿検査などでCKDの診断となった後に、実際どのくらい重症なのかを調べます。CKDに重症度があり大まかに6パターンに分ける事が出来ます。GFRの値をみて、ステージ1・2・3A・3B・4・5の6段階(下記のステージ3はAとBで分けます。)に分ける事が出来ます。自分の採血結果表をみて、どこに該当するかをご参照ください。

またこの分け方よりもう一歩踏み込んだ分け方があります。GFRに加えて「尿タンパク」を考慮した分け方です。実は、「尿タンパク」が出ていればいる程、腎臓の障害の進行が早い事が分かっています。「私CKDステージ2だから、まだいいや♪♪」っておっしゃる方がいるのですが、尿蛋白が物凄く出ている場合は今後、進行が早いので要注意です。

上の図は医師なら誰もが知っている分類表です。縦が「GFR」、横が「タンパク尿」です。「GFR」、「タンパク尿」は腎臓病の患者さんには必ず理解して欲しいので、先程載っけた記事のリンクを必ず見てほしいのですが、イメージとしてはGFR=点数(現状)、タンパク尿=SOS(未来)です。GFRとタンパク尿をみて、重症度を決めていきます。

CKDに症状がない?

CKDの厄介な点は2点あります。第一に、症状が全然出ない事です。原因にもよりますが、ざっくりeGFRが20程度になるまでは全く症状がありません。実際診療していて、健康診断などで異常は指摘されたが、症状がないから放置していて、いざ病院行ってみたらeGFRが1桁で透析直前だったという患者さんも一定数います。

第二に、徐々に障害された腎臓は一度悪くなると原則元に戻らない事です。先程の例のように、気づいたら透析直前だった患者さんに対して治療をして良くしたいという気持ちは凄くあるのですが、残念ながら良くする方法はありません。なるべく早く見つけて、早く介入するのが望ましいと考えられています。

CKDが進行すると、倦怠感・浮腫・尿量低下・呼吸苦などの症状が出ます。腎臓は体に不要な物を尿として出す臓器なのですが、腎臓の機能が下がると体に毒素・不要な水分が溜まってしまい症状が出ます。特に尿が出なくなり、体に水が溜まり、肺に水が溜まって呼吸苦になった場合は非常に危険なので緊急入院をする事もあります。

CKDの原因は?

CKDの原因は多種多様ですが、大まかに「生活習慣病」と「生活習慣病以外」で分ける事が出来ます。生活習慣病としては糖尿病を背景とする「糖尿病性腎症(糖尿病性腎臓病)」・高血圧・タバコなどによる動脈硬化による「腎硬化症」・肥満を背景とする「肥満関連腎症」などがあります。日本で腎臓が悪くなり透析医療が必要になる患者さんの内45%程度が「糖尿病性腎症」が原因、10-20%程度が「腎硬化症」が原因とされています。

一方で、生活習慣病以外の「IgA腎症」、「多発性嚢胞腎」などが原因で免疫・遺伝などが原因で腎臓を悪くなる事もあります。これらの原因を突き止めるために採血検査・採尿検査・画像検査を行うのですが、中々はっきりとした診断をつける事が難しい場合は「腎生検」という検査を行います。(腎生検についてはこちら

CKDの治療は?

治療は背景の原因によりますが、どのような疾患であっても血圧コントロール・食事療法・運動療法を中心として加えて薬で貧血・カルシウムなどの電解質を調整します。特に大切なのは血圧コントロールです。下の図は平均血圧と年間での腎障害の推移をみた図です。

血圧コントロールが悪いと腎臓の障害が強い事が分かります。また腎臓だけでなく血圧コントロールが悪いと心筋梗塞と脳梗塞などが原因で無くなる可能性も上がります。

背景の病気毎の治療に関しては、別途その疾患の説明記事で触れさせて頂きます。

CKDはやっぱり見つけるのは早い方が良い!

腎臓の障害が進めば進む程、日々の生活の制限が多くなります。腎臓は一度障害を受けると良くはならないので、なるべく早く検査をして診断をつけて治療をするのが一番良いと思います。何かご質問などあれば、診察を受け付けておりますのでご連絡下さい。

 

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
管理人近況
  • (2018.11.04)
    ファンデリー様企画の数百人規模のイベント「ミールタイム健康フェスタ」で『生活習慣病の食事療法・運動療法の最新の知見』と題して講演させて頂きました!
  • (2018.10.27)

    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

  • (2018.10.10)

    ジャパンヘルスケアベンチャーサミットでCKDオンラインを発表しました!

  • (2018.09.21)

    日経メディカル様に取り上げて頂きました!詳しくはこちらへ!

    リンク先はこちら

  • (2018.09.06)

    週刊東洋経済2018/9/8号で少しお話させて頂きました!

     

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