<腎臓内科医直筆>腎臓の役割・働きについてまとめました。

2018.09.03
<腎臓内科医直筆>腎臓の役割・働きについてまとめました。
<腎臓内科医直筆>腎臓の役割・働きについてまとめました。

腎臓内科医の森 維久郎です。今日は腎臓という臓器の役割・働きをまとめたいと思います。というのも、腎臓という臓器は非常に地味であまり知られていないのですが、非常に大切な臓器です。

腎臓というと尿を作る臓器というイメージがあると思うのですが、心臓、肝臓、腸、骨などの様々な臓器と関わっていて体全体をコントロールしています。腎臓の働きが悪くなり、役割を担えなくなると全身に様々な合併症が起きて、対策が必要になります。

体にとって不要な物質を出す

腎臓の基本の役割・働きは『1)いらない物を出す、2)必要な者を出さない』です。腎臓には糸球体(しきゅうたい)という場所と尿細管(にょうさいかん)という場所があって、それらの緻密な構造によってその役割を果たしています。

糖尿病や高血圧などによって腎臓の働きが悪くなると、このやり取りする働きが衰えて体外に必要なものが出たり体内に老廃物が溜まっていきます。腎臓の働きが悪くなって役割を担えなくなると、体にとって必要な蛋白が尿として体の外に出てしまいます。

蛋白尿が「腎臓のSOS」と言われるのは、腎臓の異常を示唆しているからです。

血液を作る

腎臓で作られる『エリスロポエチン』と言うホルモンがあります。このホルモンは骨髄という血液を作る臓器に作用して血液を作らせる役割があります。腎臓の働きが悪くなるとこのホルモンが出なくなるので貧血になります。これを『腎性貧血(じんせいひんけつ)』と言います。

貧血が起きると、心臓に負担がかかり、周り回って腎臓の働きを悪くします。更に腎臓の働きが悪くなると再び貧血が起きます。この悪循環でドンドン腎臓の働きが悪くなるため、慢性腎臓病(CKD)の患者では定期的に『エリスロポエチン』を補充します。詳細は下記のリンクを貼ったのでご参照ください。

筋肉の萎縮を防ぐ

腎臓の働きが悪くなると、高頻度で筋肉量、筋力が低下することが知られており、寝たきり、サルコペニア、そして死亡率が高くなると言われています。

例えば、一番腎臓の働きが落ちている慢性腎臓病(CKD)のStage5の患者では健康人に比べて、フレイル(衰弱した状態)になる確率が約5〜6倍になると言われています。(Am J Nephrol. 2013;38(4):307-15)

昔は慢性腎臓病(CKD)患者では、運動はしてはいけないと言われていましたし、未だに過去の知識をアップデートしていない開業医の先生から『運動をしないように』と言われて安静にしている慢性腎臓病(CKD)患者さんが結構います。

近年では腎臓リハビリテーションという概念も生まれており、万歩計や歩数手帳を使って運動を促す流れになっています。

骨を強くする

腎臓から出る『活性型(かっせいがた)ビタミンD』という物質は、 腸からのカルシウムの吸収に大きく関わります。腎臓の働きが悪くなると腸からのカルシウム吸収が悪くなります。すると、体はなんとかカルシウム濃度を保とうとして骨を溶かして血液中のカルシウム濃度を保とうとします。そのため骨が脆くなり、骨粗鬆症の状態になりやすくなります。

また骨を溶かした際にカルシウムと一緒に出てくる『リン』という物質は、様々なメカニズムを経て慢性腎臓病(CKD)患者の心筋梗塞、腎機能障害、死亡率を挙げます。またこの骨のメカニズムには首の近くにある『副甲状腺』という臓器も関わっており、定期的に検査して異常が無いかを確認します。

ミネラル、イオン、体液のコントロールをする

腎臓の中でも『尿細管』は緻密な構造を持ち、ナトリウム、カリウムなどイオンのやり取りをする役割があります。腎臓の働きが悪くなるとこのやり取りに障害が起きます。特に大切なのは『カリウムという物質が溜まる事』、『体が酸性になる事』です。前者は、致死的な不整脈の原因になり、後者は、腎障害を進行させたり、重症になるとこちらも致死的になります。

また、水分コントロールの役割もあります。腎臓の働きが悪くなると水分が排泄されず浮腫になります。この状態が進行すると肺や心臓、全身に水が溜まり呼吸不全や心不全の原因となります。

血圧をコントロールする

腎臓という臓器は、先程の水、塩分の調整や『レニン』や『アンジオテンシン』などのホルモンの作用を経て血圧をコントロール役割があります。腎臓の働きが悪くなるとこの調整が障害されて高血圧になります。慢性腎臓病(CKD)患者の半数以上に高血圧を合併しており、高血圧がまた腎臓を障害します。慢性腎臓病(CKD)患者ではしっかり血圧コントロールを行っていく必要があります。

他にも色々あります・・・

代表的な物を色々挙げました。他にも腸内環境の関連も指摘されていますし、睡眠との関連も指摘されています。それぞれを全て挙げるとキリがありません。一つ一つ記事にしていきます。

一方で、腎臓の働きが悪くなって、一つ一つカバーしていくと腎臓の役割は多岐に渡るため薬が多くなったり、食事制限などの生活の制限が多くなっていまいます。腎臓に関しては、予防が一番大切です。

私は腎臓の重症化予防のためにこのブログを更新していますし、2020年には腎症予防クリニックを作ります。何か質問がありましたら、声をおかけ下さい。

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管理人情報

森維久郎・写真
腎臓内科医
森 維久郎(もり いくろう)
『防げる透析を少しでも減らす』を理念に腎臓内科医をしています。
腎疾患をなるべく早く見つけて、しっかり介入するには、診察以外での情報提供が必要だと感じて『腎臓内科.com』を立ち上げました。
管理人近況
  • (2018.11.04)
    ファンデリー様企画の数百人規模のイベント「ミールタイム健康フェスタ」で『生活習慣病の食事療法・運動療法の最新の知見』と題して講演させて頂きました!
  • (2018.10.27)

    開催内容はこちら!(https://xn--v6q559gj6ehpa.com/archives/1206

  • (2018.10.10)

    ジャパンヘルスケアベンチャーサミットでCKDオンラインを発表しました!

  • (2018.09.21)

    日経メディカル様に取り上げて頂きました!詳しくはこちらへ!

    リンク先はこちら

  • (2018.09.06)

    週刊東洋経済2018/9/8号で少しお話させて頂きました!

     

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